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【仏閣巡り】三河一向一揆・一向宗の主拠点となった本證寺(愛知県安城市)


はじめに

愛知県は寺院が多い。
明治時代初期に現・愛知県に非常に多くの住民がいたこと(当時、全国3位の人口数)や、武家に縁があった浄土宗の寺院の数も全国と比較して多いなど、どうやら昔からの所以があるようだ。

私の一族も結城秀康公に従った重辰の長男・重焉、織田信秀公に従った重辰の伯父・重旭も浄土宗の戒名(法名)が記録として残っている。

しかし、どういう理由だかわからないが、重辰以降、遺っている先祖代々の法名は浄土真宗の法名だ。
「神式(諡 おくりな)では……」と思いつつ、記録がないため分からない。

さておき、今回は、室町時代末期に三河一向一揆の一向宗(浄土真宗)側の主拠点となった本證寺を訪れた。

本證寺

場所

本證寺の位置を以下のとおりにお示しする。

緑:詳細説明、史跡 赤:今回の目的地
画像出典元:Googleマップ

前回の記事で触れた「誓願寺(安城市)」からおおよそ1㎞程南下した場所に在る。ちなみに誓願寺も浄土真宗の寺院だ。

本證寺の概要

率直に書くと、昨年の大河ドラマ『どうする家康』で訪れた方も多くいらっしゃるであろうこと。また、歴史が好きな方にはもはや説明不要な三河一向一揆の一向宗側の主拠点だ。

安城市役所様のHPでかなり詳細に記載されているため、そちらを参照いただけると幸いだ。

城郭寺院とだけここに記載しておくべきか。

実際に歩いてみる

駐車場が分からなかったため、最寄りのお店の「本證寺参拝の方もどうぞ!」という看板に甘え駐車させていただいた。

道路沿いにあった看板
裏側

少々北上してみると、「そとぼり橋」。

画像左端の石柱には「そとぼり」と刻まれていた
相当な規模の寺院だったと推測できる

さて、本證寺に向かう。

北側から撮った写真
城郭寺院と云われるだけある
正面から撮った写真

開かれた寺院という印象を受けた。

蓮と鼓楼
鼓楼と山門

7月に訪れれば、蓮の花を十分に楽しめるだろう。
野暮なことを書くが、『どうするーー』のCGを駆使した弥勒の地もなんだか理解できる気もする。
これだけ多くの蓮に囲まれた場所の再現は容易くはなかったのではないだろうか(※室町時代末期に蓮が植えられていたかは不明)。

山門前の常夜灯?
(文政6(1823)年建立と背面に刻まれていた)
大門(山門)

この日は9月にしてはかなり暑く。
しかし、空は随分と高くなった気がする。

戦禍を逃れた日本建築が目の前にあることが嬉しい

一礼し中へ。

鐘楼
光芒。ゴースト現象かもしれないが、御先祖の中で訪れたかった方がいたのかな、
そう都合よく考えてみる
鐘楼のディテール
ゴースト現象だと思うが、私は良いエネルギーを頂戴したと捉える
無粋なことを書くが、縁がない神社仏閣には呼ばれない(アポ取りも忘れ去られる等)
ご神体・ご本尊が「(今は)来るな」と仰っていると受け取っている

本堂へ。

本堂でお参りをしてから撮影
天水受の背面には「天保6年寄進」とあり

天水受のすぐ後ろ。
柱を見れば、何百年も大事にされてきたことがわかる。

何センチの柱だろうか
30センチ角以上あるかと
庫裡と本堂の間ぐらいから
彩を添えているのは、サルスベリの木(花)だろうか

御由緒

上記画像(庫裡と本堂の間あたり)に境内の案内板がある。

分かりやすくて有り難い

境内の案内図にクローズアップする。

如何に広い寺院だったかが判る。

お堀

実際に内堀を見ていく。

鐘楼、太子堂の近くに鶴のオブジェ+内堀
本堂の背面(向かって左側)近く内堀(それとも池?)か
本堂の背面
本堂の背面には古の鬼瓦だろうか、
随分と大きな鬼瓦(だと思われる)が置かれていた
内堀の外側から本堂を見る
正面に見えるのが鼓楼

上記の画像を撮った場所付近から名古屋方面を撮ったものが下の一枚。

非常に長閑な風景がしばらく続く

本證寺にて思った、命とは

ここで宗教論を説くつもりはない。
そもそも、私は他人様に生き方を説けるような高尚な人間でもない。
また、日本の古くから伝わる宗教は、”宗教”というよりも日々の生活に根付いた「善し悪しの規範」「しきたり」や「文化」等。現在の日本文化の一部だと思うからだ。

しかし、とても考えさせられることがあった。
原因はこれだ。

内堀に多くいたアメリカザリガニ
この画像の中でも最低8匹いる

アメリカザリガニは条件付特定外来生物だ。
外来種がいることで、本来いるはずの日本固有種の生物に大きな被害をもたらす。
ただ忘れてはいけないことは、置かれた環境で生きている外来種/アメリカザリガニに罪はない
放流してはいけない場所に後先考えずに外来種を放流した人間が宜しくない行いをしたのだと私は思う

生き物を飼う際は最後まで責任をもって飼育したい

幸いなことは、まだ固有の自然が多く残っている場所だからだろう。画像は載せないがツチガエル(だと思われる)がいた。
これ以上、日本の固有種が絶滅することがない環境であってほしい。

お寺だから生き物を大切にしてくれるだろうーーではない。神社でもそうだと思うが仏閣だからこそ殺生が簡単にできない。

本来はこのようなことを書くべきではないと思うが、それを書かずにいられないほどの数のアメリカザリガニを見た。あれが繁殖を繰り返すかと思うとここまで綺麗に保たれた蓮にも影響が出るのでは……と。
とても悩ましい問題だ。

まとめ

古の三河武士団を二分した出来事を象徴する仏閣に訪れた。
どちらが”善”かーーではなく、そういう時代だったというだけだと思うが。

意見の対立・思想の対立、人の気の移ろいやすさ・外来種(アメリカザリガニ)の問題等。
歴史を肌で感じるだけではなく、様々な問題や現代の考え方も肌で感じた散策だった。

次の世代に負の遺産を残さない活動を私もしていきたい
改めてそう思った散策だった

最終改定: 令和 年 月 日( 回目)
※後に読み返した際に変更があれば、改定日を修正いたします

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https://www.city.anjo.aichi.jp/

【参考文献/サイト】
安城市役所HP https://www.city.anjo.aichi.jp/
安城市観光協会 https://kanko.anjo-tanabata.jp/ 
レファレンス共同データベース https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/reference/show?id=1000225076&page=ref_entry&mcmd=25

本證寺リーフレット
『安城市史 通史編 原始・古代・中世1』
「日本の外来種対策」環境省 自然環境局 https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/regulation/jokentsuki.html

【画像出典元】
Googleマップ



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