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あの子へ

食べ残したおかずにラップをしたみたいに
うすく透明な膜でおおわれて
わたしは感情がさわれない
ふれようと伸ばした先に
やわらかく
けれど何ものもを閉ざす
やぶれない膜が感情をおおっている
ぴっちり隙間なく
指一本ふれさせまい と

ちいさいユウの面倒を
少し大きくなったユウがみている
大きなユウが
お外行く?
と尋ねると
ちいさいユウはぷいと外を向くのだった
ああ
わたしはわたしの面倒もみられない
わたしはわたしの世話もできない

もう わたしの面倒なんてみたくないよ
お世話は疲れちゃった
あのときの写真のなかのわたしみたいに
そんなに笑顔でいられるものか

お外行く?
ぷいと外を向く寸前 ユウはユウを一瞥する
目があったその瞬間
そのおおきな黒目がこわくて
視線をそらしてしまうのだった


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