「Simple」で号泣した思い出
仕事中のBGMとして、某サブスクを利用している。自分の好みをある程度登録しておけば適当に選曲してくれるので、考える必要がなくてとても便利だ。
Mr.Childrenの「Simple」が流れてきてふと思い出したことがある。
2017年の9月に行ったMr.Childrenのライブ。その時のツアーはもともとそこまでディープではないファンである私にとっても神セトリで、一緒に行った夫も、チケットを譲ってくれた友達夫婦も、「最初からクライマックス」だとか「やばい泣く」とか言いながら、アンコールになる頃には4人で肩を組んで歌っていた。よくわからないと思うが、とにかくすごいライブだった。
その時のライブで、「Simple」も披露されていた。
曲自体は知っていたけれど、正直にいって、Mr.Childrenの楽曲の中で「これが好き!」と思って聞いているものではなかった。
でも、その時の私にはちゃめちゃに響いた。涙が止まらなった。
ここで歌詞は書かないが、私の解釈では『何気ない日常がとても幸せで、そんな”Simple”なことに気づいた、“10年先も20年先も”一緒にいられたらいいな』とまさにSimpleに願っている曲だ。(気になる方はぜひ歌詞検索を)
その頃の私はというと、同年に挙式・披露宴を終えたばかりで、まさになんというか、私のその当時の気持ちにとてもマッチしすぎていた。
夫とは、結婚までにいろんなことがあった……と言えないほどに波のない、穏やかなお付き合いだった。ケンカのひとつやふたつはあるけれども、別れの危機と言えるような諍いはこれまでに一度もないと言っていいかもしれない(少なくとも私はそう思っている)。
それでも結婚が決まったときは感慨もひとしおだったし、そもそも私のような女と付き合って一緒になりたいと思ってくれる夫は奇跡とさえ思った。
「Simple」こそ、私の気持ちをうたった歌だと思った。
その号泣ライブのすぐ後に、私が妊娠していることがわかった。私は「Simple」を噛み締めて夫とふたりでずっと生きていくのだろうと思っていたので、子どもができるというのはなかなかの事件だった。
今はふたりきりだった頃に比べたらとても慌ただしく、幸せをかみしめる余裕もない。夫がゴミ出しを忘れただけでブチ切れるような日常ではあるが、そこそこ現状には満足しているし、こんな日々も悪くないなと思っている。