介護日記2#27母と桜のお花見へ
この日は朝からお天気で、数日前に開花し始めた桜も随分と開いている。開花の後すぐに寒くなったのでなかなか進まないだろうと思っていたのに日増しに花が咲いている様だった。
見かける度に綺麗な桜の花達が"私を見て"と呼び掛けてくれているよう。
母にも見せたかった。
週末の午後から家に帰ってくるスケジュールだったのでこのタイミングかなと。数日前から天気予報とにらめっこしていた。
帰宅予定日は気温も高く穏やかになりそうなのに、翌日は雨風が強くなり荒れてしまうらしい。
母が送迎車で帰って来た。
まず水分補給と血圧測定。
問題無さそうなので、膝掛けとLLサイズのウインドブレイカーを着せて、いざ車椅子で外へ。
思ったより暖かいかも。しかし1~2分進むと強い風がやはり冷たく感じる。
実は我が家から数分歩いた所に桜の名所があって母も覚えているかもと期待して向かっていた。
「今から桜見に行くからね。覚えている?あの桜の名所だよ」
母は"うんうん"と頷きながら桜の方に目を向けていた。
桜の近くで写真を取ったり、眺めたり。
短時間だが念願の桜のお花見が出来た。
昨年は泊まり中心のスケジュールで自宅には週に1度帰って来るだけで。あいにく天気が雨となりタイミングが合わず行けなかった。
それ以前の母が元気だった頃は私がフルタイムで仕事にいっていたし、それ程花見の必要性を感じていなかった。
母が倒れ、車椅子での生活となった今。
あと何回こうして出かける事が出来るのかと考えると貴重なこの時間がありがたく思えてくる。穏やかな時間。
身体がすぐ冷えてしまうのでゆっくりは出来なかった。それでも30分程は外で過ごしたと思う。
自宅に帰り、水分補給をした後。
「お花見行けて良かったね」
その私の声に
「花見なんて行ってないよ」
とキョトンとした顔で返答する母。
やはり記憶には残らなかったか。
しかたない認知症とはそういうものだ。
でも私は、記憶を呼び起こしながら桜を見ていた母を隣で見ることが出来、そしてしかめっ面だったけれど写真に納められて良かったと思う。
来年も行けます様に。
読んで下さってありがとうございます
今日も明日も良いことがありますように(桜)