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11/3金 #ゴジラマイナスワン 鑑賞 Always〜役割と貧乏くじと永遠の反英雄、呉爾羅〜

11/3 金 映画『ゴジラ -1.0』を鑑賞。
昼に通常回、そしてあまりに良すぎたので夜に4DXで2回目鑑賞。



ゴジラの正統派原点回帰みをかんじた。
よくもわるくもフラットかつ王道をしっかり進んでた。
人間ドラマは邦画的で人情に溢れてて、特撮/VFXの演出はハリウッド的という王道さかもしれない。そのうえでゴジラ映画に期待されていた演出は王道という、いい意味で裏切りのないすごくいい映画だった。ほっとした。


2回観ちゃった


シンゴジがつくりあげてからの、
海外でのモンスターユニバースや、アニメゴジラなどの
ゴジラコンテンツの系譜の復刻を経て、
初放時は突然無から(?)ゴジラ生誕70周年記念作品が湧いてでてきた感覚だった。
映画が突然生まれてきたってのは、劇中の呉爾羅と重なった。
いやまぁいろんなプロダクションが働きかけて時間をかけて、この70年目に間に合わせたんだろうけど。

シンゴジ対比の視点から:民間総出の貧乏くじ

シンゴジの原点回帰はとてもロジカルで緻密なシン解釈、まさしくシン約聖書・ゴジラだったけど、
#ゴジラマイナスワンは同じ原点回帰でもノスタルジックかつ54→84→GMK→永遠の0→アルキメデス→-1.0ゴジラと、王道特撮娯楽邦画の地続き上にある映画だった。

今回の対ゴジラ作戦は武器も弾薬もない、民間の作戦というオリジナリティ。
お役人セリフほぼゼロの民間人にスポットあててたオリジナリティで勝負してた。

「誰かが貧乏くじを引かなきゃいけない」
って言葉は、仕事でもずっと聞いてきたし、そういう立場にいることが多かったからか、印象的だった。

ミリタリー映画としての側面として、重巡洋艦 高雄、
試作戦闘機 震電の具現化ってのがすごかったらしい、
パンフ読んでてものすごく熱が伝わった。

「役割」と「生存」

テーマは軽率に永遠の0→ゴジラ -1.0
で繋がる「特攻」モノの戦後だよ、でおよそ概要は伝わりそう。
神木くん演じる、特攻という“役割“から逃げた負い目をずっと背負いながら生きる若者、敷島少尉の葛藤とトラウマ、自身の中で終わらない戦争と、
そこに襲い来る因縁“呉爾羅“へ立ち向かう“民間“の“生きて“抗う姿が一貫して描かれてた。

“役に立つこと“への没頭/依存

劇中で前向きに描写されたのは「役に立つ」ことの善性。「誰かの役に立ちたい」というエネルギーが正しく健康的に働いていたように思う。
よくわかる、とてもよくわかる〜。
常日頃自分が一喜一憂している悩みそのものだった。
自分を犠牲にしてでもの役割なのかどうか。

少し後ろめたい休みや、サボり、理不尽へのささやかな抵抗。
そして、仕事でちゃんと組織や社会の役に立っていると感じる時のあの充実感。役割ドーパミン。
神木くん演じる敷島と、あと近所の姉さんの感情の浮き沈みもまさにそこに沿っていた。人は独りでは生きられない、誰かを支えることで、自分もまたその役割に支えられているのだなと。

支えると言えば聞こえはいいけど、側面を変えれば役割への依存、と捉えてもいいもので。

役割が与えられない、全うできないことにも塞ぎ込んでしまうけれど、役割に押しつぶされてしまうことや、役割から逃げた自分の情けなさにも、その場から居なくなってしまいたくて、行き場所がなくなって、死へ逃げることもあるかと思う。

どうか健康的に役割と付き合っていきたいと、常々思う。

反英雄:呉爾羅

呉爾羅の役割としては、
乗り越えるための試練
生き物というより、理不尽、災害、神。
日本人にとっての反英雄ともとれる。
作品的娯楽としても、日本人の精神的実存としても。

と書いたら、パンフで山崎監督が、
「ゴジラ映画を創ることは、荒神を鎮め、神楽を舞う、神事に近いもの、最後のシーンは神殺し」だと言っていたので、
およそ自分も同じような気持ちになった。

日本人は無宗教というが、私は無自覚教と思っている。
つまり「罰当たり」を始めとする、道徳的タブーや、モノや自然を大切にし、畏怖する潜在的心情がキチンと存在している。
キリスト教が半ばイベント的にクリスマスを祝うように、
日本人は象徴として呉爾羅を崇め、鎮め、自然や災害の現身として、心に刻んで、現実の理不尽に抗う英気を養うのかもしれない。

絶望深度マイナスワンの放射熱線

絶望と希望のバランス、背負った業の昇華が丁寧で、全編通してマイナスに振り切った絶望を描くんだけど、特にその最高潮たる最後のあのシーン、まるで真空のような、息を呑むあの瞬間と、そのカタルシスが、配信で家で片手間で観ては感じられない、“鑑賞体験“だった。

特に殺意高めの放射熱戦シーン、海中、銀座、海上、そして最後の特攻の4回かな?
銀座のシーンの絶望は、シンゴジのあの内閣総辞職ビームに匹敵する絶望だった。
ましてやビーム直撃ではなく、ビームによる風圧と、その風圧の引き戻し描写にヒロインが巻き込まれて居なくなるという……絶望の最高潮のシーンだった。
なにあの!!!男の子が大好きな!!!背びれの機構!
ガコン…ガコン…と間隔が短くなり、大きく息を吸い込む(シンゴジはむしろぶわぁぁって吐いてた息を1点集中させた圧縮レーザーだったのが印象的)、
そしてあのキノコ雲と黒い雨、令和のはだしのゲンだよ。

海上での誘導熱戦は無人のブラフ、上手かったな……。

最作戦失敗後の、内圧が崩壊しかけてるゴジラの熱戦溜めシーン、ゴジラも限界になってて、眼が白目に……!
GMKの破壊神呉爾羅地味てて最高だった…!
(もしか、戦死者の魂の怨念の集合体に近かったのかも。災害ではなく、戦争の象徴のようにしっかり“人“を狙っていた)

あの白目ゴジラが水上で身を低めて目線に構えたシーン、絶望と対峙して誰もが諦めた永い一瞬、カール自走臼砲に狙いを定められたアンチョビの「こっち見てるぞ〜!」の再来だった。

いや〜〜〜〜あのシーンのクリアファイルとか何かが欲しい。
あと入場特典何もなかったのが、プリキュア・ガルパン・ワンピと2ヶ月ほぼ毎週映画館行ってたからか、違和感を感じるほどになってしまった。贅沢なことだね。

最後の最後、う〜んわざとらしすぎるかな?ってくらいのゴジラのテーマ重ねがけと、続編の伏線提示(クリフハンガー)がね!

ゴジラの再生は分かるとして、
あの首元の……あれはゾッとした
2回目よく見たら、下からちょっとずつ浮かび上がってて…
いい話で終わったけど、みんな被曝者なはずなんだよね
だからこの先長くないだろうし、
未来は苦しいものになるかもしれないんだろうなと…。

止まらない無言のツッコミ

鑑賞中、特に1回目は、目隠しで出された順に味見してたようなもので、どうしても否定的な、重箱の隅っこばかりつついた斜に構えたツッコミばかりしていた。心の中で腕組みながら。
没入感や夢中になるような時間というより、細かいご都合への冷ややかなツッコミがずっと止まらなかった時間が気持ち多くて。

電車ぶら下がるシーンとかわ浜辺美波以外みんなあっという間に振り下ろされるもんだからひとりだけ生き残ってるのちょっっっと違和感だった。
ヒロインがぶら下がるシーンアメコミ色強かったな〜って印象だったので、オマージュネタあるっぽくて納得。
あそこで合流できた理由は。偶然にしては出来杉くんかな…。
あとなんかしっかり船襲ったり東京向かったりがちょっと演出都合すぎないかな〜って思ってた。
けど、今回のゴジラ像は、彼らが自身の戦争を終わらせる、トラウマを乗り越えるための象徴・障壁として君臨した神と思えば、“戦争“の再来・現身が人為的に動いてるように感じるのも納得かもしれない。(GMK呉爾羅に近い戦死者の霊魂的存在に近いゴジラかも)

そう思うと、最初のシーンのわざとらしい前傾姿勢の“恐竜呉爾羅“の提示は、やっぱりハリゴジ/エメゴジへのアレだよな……ってのが映像からもパンフからもびんびんに伝わってきた。

あと、対ゴジラ作戦への不安、ツッコミを劇中の人間がつっこんでおくことが必要とパンフにも書かれてて、そりゃそうだと。
監督も自分で「そんなバカな」とツッコミながらだったと。
最後は上手くまとまってて、いろいろ細かいツッコミ吐き出した後のパンフとSNSの好意的な感想でだいぶ肯定ボルテージが浮上した。

それ、(頭の)悪い人/自分勝手な嫌な奴がいなかったからかも。
一度は辛く当たってくる人も、それだけじゃなかったし、角が立たない、丸く収まってたのもあるかも。

総評:山崎監督作品という認識フレームの獲得

国民的人気作の公開初日ということで、100%大絶賛しようとして見に来てる人というよりも、自分と同じように、ネタバレよりも先に自分で観たい、感想言いたい。みたいな人が多かったんじゃないかな。
すごく大衆映画的で、そうそうこういうのでいいんだよこういうの、映画だった。良くも悪くもフラットだった。
自分のような一般的な人も足を運ぶし、
ゴジラファンにもミリタリーファンにも別にそこまで下手に当たることは無いんじゃないかな。熱心なファンの人の感想聞きたいところ。

自分が経験してなかった、84〜90年代の毎年ゴジラ映画が放映されてた時期の東宝映画のお祭り感の一端を知れた気がした。

ずっと感じてたのは「Always 呉爾羅 〜永遠の-1.0の大戦」だった。
けど、恥ずかしながら、「山崎監督作品」という認識フレームが自分にはこれまであまり馴染みがなかったなかで、これまで観てきたあれもこれもこの人の作品なんだ、って気づけたので、改めて名作を見返そうって思えたのが大きい
山崎監督の過去作品も見返したいのと、
パンフ読んだ感想としては、
西武園ゆうえんちのの「ゴジラ・ザ・ライド」がとにかく良いらしい、
そんなに良いのか……と気になってる。
マイナスワン効果で観に行く人も多そう。

11/16(木)追記 小説版 『ゴジラ-1.0』感想

小説版『ゴジラ -1.0 』、読了しました。

敷島の心理描写や、映像で受け取りきれなかった情報の他、

“神と対峙することに等しい“

など、“神殺し“に手を染めている描写をより強く描いていました。

監督が直接脳内に情報を補完してくれる映画後の必修コンテンツ、おすすめです。

本の内容を含む感想記事を書きました。
公開に際して、後半は有料記事扱いにしてみました。


おすすめです。

11/6(月)追記 茨城県庁展示巡り

サザコーヒーで感想かきかき。世界一うまいコーヒーゼリー食べようと支払いまでしたのに、売り切れだった。誰かが貧乏くじ引かなきゃなんねぇんだよな。(ジェラートにしてもらえた)
ロケ地協力に茨城県フィルムコミッション全面協力とのことで、連休中県庁に日比谷のマイゴジ像が!
君、日比谷にもいたよねぇ!(10月に初日比谷シャンテ行ったら東宝のお膝元だった)
茨城県でロケ地巡り企画が盛り上がってた
スタンプラリー、ぜひ回りたいところ。
ゴジラコラボ新商品①干し芋のしっぽ味かりんとう。
ゴジラコラボ新商品②ぷれすた
ほしいもをプレスしてえびせんみたいにしてた
えびせんは口が乾く感じがするのに。これは食べると腹にたまる!
薄いのにしっとり感とずっしり感がある!おもしろおいしかった!
衣装展示! 敷島と並んでるのが隣家のおばさんの割烹着なの笑った
サインと実際に使用された小道具たち!
おおお!あの!「プリキュア集合!」っぽいあのシーンの!
カメラは撮影の合間にも実際に撮るなど使われてたんだって
茨城が誇る笠間焼の受注販売、これはすごい……
足型のカップはまだわかる(わからない)
スマホスタンドなのかもゴジラのグッズなのかも分からない…笑

おわり

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