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生産が減っていても「増勢」な野菜 ゴボウ/ヤマトイモ/ニラ/トウモロコシ【第340回】

野菜の生産は、バブル崩壊後ずっと長い間、一方的に減ってきた。最初の10年余は急降下、そのあとは横ばいながら漸減。しかし、近年では稲作転換品目としてタマネギやサトイモなどが、地域によっては野菜生産が盛んなケースもある。農水省が毎年行なっている野菜の面積や出荷量の調査にもとづき、面積や単収、収穫量、出荷量を総合的に検証すると「増勢」といえる品目がある。それを市場入荷と対照してみよう。
※4グラフとも東京都中央卸売市場のデータにもとに作図


ゴボウ/面積減でも反収6%増、国産需要はあと4万t超ある

【概況】23年のゴボウ作付面積は6880haで、前年対比96%と4%も減っている。それでもゴボウが「増勢」だと考えられるのは、10a当たりの収量が106%、収穫量も出荷量もそれぞれ102%だからだ。実際の出荷数量は、収穫量比88%の10万4700t。ゴボウは反収が平均1.7tと、野菜のなかでは効率が悪い品目だが、23年産は太物が多かったのだろう。生鮮輸入が23年で4万tほどあるが、冷凍や調理品としての輸入も安定している。

ゴボウ

【背景】東京市場23年12月から24年11月までの1年間の入荷動向を前年対比すると、入荷量は91%に減ったが、単価は105%と高くなった。入荷量は1年間で5680tあるが、そのうち輸入品は75tしかない。4万tの輸入があるなら、入荷期待値は4000t。しかし、中国産には小売店需要がないため、卸売市場では業務・加工用として流通しているのみ。国内産地は、単価の高い小売店仕向けの商材化だけでなく、加工・業務用を意識した商品化が期待される。

【今後の推移】輸入のキロ単価は23年で72円(港渡し、保険料込み)。東京市場に入荷している中国産は277円だから、3倍の付加価値がついている。国内産10万tに対して、輸入が生鮮だけで4万tもあるのだから、少なくとも国産をあと4万t増やしてもマーケットがある。ゴボウ増勢と判断する所以だ。JAや任意組合、産地市場、そして輸入をからめて流通が多元化しているために、振興策や加工とのバランスがとりにくい面はあるが、こんな天候不順下で反収を上げたことに注目。

ヤマトイモ/反収が1割近く増、「和食」求めるインバウンドにも

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