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140字小説【実話:イカ省略】

 子どもの頃、イカの握りで死にかけたことがあった。

 ここでイメージしてほしい。筋を噛み切れぬまま真っ二つになりかけたイカを。

 舌の上に残るイカ、先を急ごうとするイカ、それらを繋ぎ止める一筋の糸。そして押し寄せる吐き気の波……

 ……果たして無事に飲み込めたのか、その後の記憶がない。