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じつわこれじつわ −140字の「実話」小説集−

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これまでに公開してきた140字小説の中で、ナゾリの実体験に基づくシリーズをまとめてみました。事実は小説よりも奇なり。 ※無断利用および転載は原則禁止です。
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2024年7月の記事一覧

140字小説【実話︰こっち】

140字小説【実話︰こっち】

 あれは学生の頃、文化祭で友人と共に入ったお化け屋敷でのこと。あまりに暗くて出口が見えず途方に暮れていたら、やがて「こっち……こっち……」と、微かに声がした。

 本来なら耳を傾けてはいけない声だったかもしれない。それでも藁にもすがる思いで導かれてみたら……

 ……無事に外へ出られた。

140字小説【実話︰かなりぐねった道の先に】

140字小説【実話︰かなりぐねった道の先に】

 とあるファストフード店でテイクアウトし、お店を出ようとした矢先。たった三〜四段の短い階段を見落とし、危うく転びそうになった。

 何とか右足で踏ん張った際、足指が二本ほど反り返りはしたが、とくに損傷はなし。昔から手指や足指が若干曲がりやすいという地味な特徴が、役に立つ日が来るとは。