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雨粒がコロコロとフロントガラスを転げ落ちていく 海沿いの木々が逆光の中で黒々とその輪郭を浮き出し 遠くに、青白く瞬くラブホのネオン流れていく 突然…あの頃のことがまざまざと蘇りわたしの心に滲み出した 彼女の奥深く微かに輝く瞳や控えめの声…仄かな甘美な匂い… すべては過ぎてしまってからわかる… わかった時はすでに遅いからこそ 残された思い出だけがいつまでもわたしの冷凍庫に眠っている いったい人はどのくらいの時間が経つと過去のことを忘れられるのだろうか… 転げ落ちる雨粒が