車中泊に潜む「エコノミークラス症候群」のリスク〜1年間、被災地で車中泊して考えた災害と避難part3〜
これまで車中泊避難のメリット、デメリットについてご紹介してきました。
今日書いていくのは、車中泊避難するなら覚えておくべき必須事項「エコノミークラス症候群」についてです。
過去に車中泊により死亡事例がある危険な病気。
どうしてなってしまうのか、どう対策をしたら良いのか簡単にご説明しますので、
自分ならどうする?を考えてみてください。
★おさらい★「車中泊避難」とは
シリーズpart1「車中泊避難」のメリットにてご紹介した通り、私のnoteでは、車の中で寝起きしている状態での避難を「車中泊避難」と呼んでいます。
必ずしも車の中で避難生活を送るのではなく、日中は避難所などで過ごし、寝起きのみ車の中で過ごす場合も「車中泊避難」に該当します。
少しでも、自分が当てはまる可能性があるという方は、ぜひ「車中泊避難」のコツを知っていただけたらと思います。
シリーズ目次
part1:「車中泊避難」のメリット
part2:「車中泊避難」のデメリット
★part3:車中泊に潜む「エコノミークラス症候群」のリスク ←今ココ
part4:体が痛くならない就寝スペースづくりのコツ
part5:車中泊避難する駐車場選びとマナー
part6:車中泊の防犯豆知識
part7:猛暑極寒を乗り越えるには
part8:車中泊に必須&あったら便利な道具
エコノミークラス症候群とは
エコノミークラス症候群は、正式には「急性肺静脈血栓塞栓症」といいます。
★車中泊で起きやすい例
長時間座席に座っているとき、太ももの静脈が、太もも自身の重量により圧迫されます。
(動脈は心臓から流れていく血、静脈は心臓に帰っていく血)
静脈の流れが滞ると、血栓という血液の塊ができやすくなります。
そして、血栓ができた状態で立ち上がった時、圧迫されていた血液が流れだし、血栓も移動していきます。
これが肺の毛細血管に到達すると、血管が細くて詰まってしまい、「急性肺静脈血栓塞栓症」になり、最悪死に至ります。
血管系、血液系の持病のある方は、特に気を付ける必要があります。
(お医者さんにどうしたらよいか、対策はあるか相談してみてください)
エコノミークラス症候群対策①足を延ばして過ごす
私は、車内で過ごす際は、車を運転する時以外は、靴を脱いで、足をイスにあげていました。
私の車は、座席がフラットになる為、自宅のリビングでくつろぐイメージです。
長距離バスに乗ったことがある方はわかるかもしれませんが、ずっと座っていると、結構、足が浮腫みますよね。
デスクワークの方も経験があるのではないでしょうか。また、会社から、時間毎のストレッチを取り入れるよう言われている方もいるかもしれません。
エコノミークラス症候群の原因の血行不良を防ぐためには、できるだけ血管を圧迫しないような姿勢を取ることが大切です。
そして、時々車外を散歩して、体を動かすことも心掛けましょう。
エコノミークラス症候群対策②凹凸を無くす
前述したように、エコノミークラス症候群の原因は、圧迫により血行不良になってしまうこと。
足を伸ばしていれば大丈夫というわけではありません。
車内のクッションは少し硬いので、部分的に体重をかけていると、圧迫されることで血流が悪くなります。
例え車内がフラットの状態でも、構造上凹凸ができてしまう車種が多いと思います。
特に凸の上に長時間座っていると、血行不良だけでなく、腰を痛めたり、余計な体力を消費することにも繋がります。
車内に凹凸がある場合は、それをできるだけ無くしてあげることが大切です。
こちらはpart4で詳しくご紹介します。
エコノミークラス症候群対策③水分をしっかりとる
車の中は温度変化が激しく、
特に冬場でも、日の当たるところに車を置いていると、かなり蒸し暑く感じるでしょう。
このとき、人間は体温調整をするために水分を使っています。
必ずしも汗をかくわけではないのでわかりづらいかもしれませんが、じっとしているだけでも水分を失っていっているのです。
体内の水分が少なくなると、血液が濃くなって、血栓ができやすくなり、エコノミークラス症候群になる可能性が高くなります。
よく、「一日2L以上の水を飲みましょう」と聞きますよね。
これを目安にして、しっかり水分をとることが大切です。
事前に、車内にケースで水を積んでおくと安心ですが、水がない時はまわりに助けを求めましょう。
エコノミークラス症候群にならない車内空間のつくり方
しっかりと快適な車内空間をつくれば、エコノミークラス症候群のリスクは大幅に減らせます。
実際に、被災地で車中泊をして10年になる災害支援の先輩も知っています。
⇒体が痛くならない就寝スペースづくりのコツ~1年間、被災地で車中泊して考えた災害と避難part4~
こちらもぜひ、合わせてお読みいただければと思います。
※注意点
災害発生時及び直後の車での避難は、緊急車両の通行ができず、救助活動の妨げになったり、交通マヒによる逃げ遅れが起きたり、重大な混乱を引き起こす可能性があります。
災害時は、走行中の車は車道の脇に寄せ、人間だけ避難することが原則です。
(様々な事情により、自力での避難が困難な場合は除く)
車で避難する場合は、天気予報や避難指示前による「事前避難」や、一旦落ち着いた後の「事後避難」としたほうが良いでしょう。