ネット本屋でリアル本屋を超える偶然の出会いが起きて驚いた話
恩師から預かった戦前〜戦後にかけての絵葉書がファイルに収まったので、絵葉書のことを勉強してみようと思い、本を探し始めた。図書館がフル活用できないのでこういう時は困ってしまう。まあ、取り急ぎ、良さそうな本をいくつか買ってみよう。まずはAmazonで新刊を一冊ポチっ。
次に「日本の古本屋」で「絵葉書」をキーワードに検索。候補の中で目に留まったのが鶴見俊輔『絵葉書の余白に 文化のすきまを旅する』。「へえ〜、鶴見俊輔が絵葉書のこと書いてるんか〜。これは買いやな!」というわけでポチっ。
で、届きました。『絵葉書の余白に』
帯に「海外を旅して問う人間としての生き方」の記載。フムフム、面白そうじゃの、とページを捲ると・・・。えーと、結論から言うと絵葉書自体を論じた本ではありませんでした。裏表紙の帯には「日本を代表する哲学者が、何度か海外でくらす機会を得た時に、仕事からはなれて歩いたおぼえがきがこの本である」とある。・・・ま、よく考えたらそうですよね。ちょっと舞いあがって注文した私が悪い。
でも、このことが面白いなと思いました。この勘違いって、リアルの本屋さんでは起こらないことなんじゃないかって。
よく言われるように、ネットで本を買う時は目的が決まっているから出会う本に逸脱が少ない。一方、リアルの本屋さんでは、偶然目に留まり、思ってもなかった本を手に取る。だから、リアルの本屋さんのほうが視野が広がりやすい。確かにそうだと思います。本屋さんでウロウロするの大好きです。(最後はお財布との厳しい折衝がありますが・・・)
ただ、この〈絵葉書事件〉(大げさ)はリアルの本屋さんでは起こらなかったでしょう。だって、買う前に絶対に手にとって中身を見るから。パラパラめくって「面白そうだけど、今探している本と違うな」と思うはず。買う買わないはその時のテンション次第なのでなんとも言えませんが。
そう考えると、ネットの本屋さんもやり方次第で偶然の出会いが沢山生まれそうだなと思いました。そして、その偶然のインパクト、想定外の驚きは、リアル本屋を超える可能性も大いにあって。どっちがいいとかではなくてどちらの本屋さんの形でも可能性がたくさんあると思っています。
そして、この『絵葉書の余白に』。買ってよかったです。
鶴見俊輔『絵葉書の余白に 文化のすきまを旅する』東京書籍