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俺がお前らの捨てた友情を拾ってやるぜ! 第二回:勝海舟と福沢諭吉

 さて仲違いした人たちを強引に仲直りさせる本シリーズですが、今回は勝海舟と福沢諭吉を仲直りさせてみようかと思います。といっても歴史に詳しい読者の中にはこの人たち元から仲良くなんかないでしょと思われる方も居るかもしれません。だけどそんな事はなしです。世界は一つ。みんな仲間。憎しみ合うより手を繋げです。さあ今から彼らの友情を取り戻してあげましょう。

 仏の加護か、はたまた神風が吹いたのか。あれほど互いを罵倒していた勝海舟と福沢諭吉は突然友情を取り戻した。福沢諭吉は痩せ我慢の説で勝海舟を罵倒した事を詫び。勝も諭吉はお金が大好きでと言った事を詫び。お詫びの印に血判状まで認めたのだった。こうして仲直りした二人は咸臨丸での苦労話に花を咲かせた。「全く私は呆れるぐらい勉強好きなんだからなぁ」と諭吉はまず嵐で揺れる船でも自分は全く酔わず、平気な顔で蘭書に読み耽った事を笑いながら語った。それから同乗していたアメリカの船員とも軽いジョークを言い合って盛り上がった事も話した。「あれは最高でしたよ。ああやって話していると西洋人も我々日本人と全く変わらないんだなって思いました」諭吉はさらに自分が船員の手伝いをしたことも話した。

「私はね。船員が嵐の中大変そうだったから手伝ってやったんですよ。したら船員は喜びましてね。うちの艦長もアンタみたいな人だったらよかったのにとか愚痴ってましたよ。なんでもその艦長、艦長なのに船酔いで部屋に篭りっきりで一日中ゲロ吐いていたみたいなんですよ。全くどうしようもないですね。お前船に乗れないんだったら咸臨丸乗るなよって感じです。で、勝先生も咸臨丸に乗ってたんですよね?どこにいたんですか?一度もお見かけしませんでしたが」

 諭吉はにこやかな顔で勝に聞いた。勝はわなわなと肩を震わせて奥に飾られている刀を見た。その勝に向かって諭吉がダメ押しのようにこう言った。

「あの、勝先生。今からもんじゃ食いに行きませんか?西洋の小麦を溶かしやつと切った食い物を鉄板に落として焼いて食べるんですが、まぁ見た目がゲロみたいなんですよ。勝先生のお口に合うかどうかわかりませんが、一回そのゲロみたいなもの食べてみましょうよ。話のネタにはなりますよ」

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