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平行線

「こんなに苦しんでまでバンドやり続ける意味なんかあんのかよ! 俺はもう限界だよ!」

「バカヤロ!ロックは意味なんかでやるもんじゃねえだろ! 衝動だよ! 衝動を忘れたらロックじゃねえんだよ!」

「勘違いしてんじゃねえよ! 俺はロックじゃなくて今のバンドの状況の事を言ってんだよ!」

「なんだとこの野郎! 俺がバンドを勘違いしてるって言うのかよ! このバンドの音楽性が自分のイメージしたロックバンドじゃねえとでも言うのか? お前リーダーでもないくせに仕切り出すんじゃねえよ!」

「だからバンドの音楽性の話してんじゃねえってのがわかんねえのかよ! あのマネージャーになってからバンドのイメージがあさっての方向に行ってるじゃねえか!」

「あさっての方向ってなんだよ? お前、俺が方向音痴なのディスってるのかよ! 俺が道に迷ったせいでライブが30分遅れたのをまだ根に持ってんのか? なんて小さい野郎だ!」

「お前こそ俺をバカにしてんじゃねえか!何が方向音痴だ! こんな時にくだらない冗談言うんじゃねえよ!」

「くだらない冗談? お前はいつもそうやって俺をバカにするよな? お前は今全国の方向音痴さんに喧嘩を打ったぞ。どうするんだ? 謝るんなら今だぞ!」

「なんで俺が謝らなきゃいけねえんだよ! 大体お前は俺の話をまともに聞いてるのかよ! てか聞く耳持ってんのか?」

「お前、今言っちゃいけない事言ったよな? 耳がねえって? 耳なし芳一じゃねえんだよ俺は!」


「あの〜、そこのシンバルとカウべル。いつまで喧嘩してんだよ! 演奏する気ねえんだったらさっさと帰れよ! お前らの代わりなんかいくらでもいるんだから!」


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