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JRPGの素晴らしき世界

 またカインが裏切ったのだった。一度ならず二度までも!セシルは友人の裏切りに絶望し泣き叫んだ。そんなセシルを優しく抱きしめたのがローラである。
「セシル、カインは悪くないのよ。悪いのは私、彼の気持ちに応えられなかった私なのよ」
 しかしセシルはそんなローラの言葉を厳しい言葉で制したのだった。
「いや、ローラ君は何も悪くない。悪いのはアイツだ。アイツが弱いからまたゴルヘーザに取り込まれてしまったんだ!」
 ローラはかつては深い友情で結ばれていた二人がまた争うのが辛くてたまらなかった。だから彼女はセシルにカインと争わないでとお願いしたのだ。セシルはそんなローラに微笑んでこう答えた。
「もちろん僕からは争う気はないさ。向こうからかかって来ない限りはね」

 その時だった。なんとカイン率いるゴルヘーザ軍がセシルたちが乗っている飛空艇の前に現れたのだ。竜騎士のカインは飛空艇に飛び乗ってきてセシルに挑んできた。
「やっぱりお前を殺さなければならない。さあ、かかってこい!ローラは俺がもらった!」
「なんてやつだ!貴様というやつは!やはりローラを諦めぬつもりか!」
「黙れ!セシル!来ぬのならこっちからいくぞ!」
 もはや戦いは避けられぬ。セシルはローラを見つめた。ローラは涙を流してセシルを見ている。セシルはローラに言った。
「大丈夫さ。カインは絶対に殺しはしない。そして二度と裏切る真似なんかさせない!」
「フハハ!何を言っている!ゴルヘーザ様から頂いたこのパワーなら貴様を倒すことなど造作も無いこと!いくぞセシル!」
「望むところだ!カイン!」
 バキッ!ガスッ!ボキッ!ベケッ!チュドドドドドーン!ガガガガッガーン!

「……ふっ、セシル完敗だぜ!さあ煮るなり焼くなり好きにしろ!二度までもお前を裏切った俺だ!許してもらえるなんて思っちゃいないさ!」
 カインは口から血を吐きながらやっとの思いでこう言うとローラを見つめた。
「ローラごめん。俺は……君とセシルが結ばれるのを見るのが辛かったんだ。……だから俺はゴルヘーザなんかに」
「やめてカイン!もう何も言わないで!」
 セシルはカインを見つめた。孤児だった頃から二人はずっと一緒だった。そんな彼を殺すなんてできるわけがない。彼はカインを抱きしめ号泣し、カインに向かって叫んだ。
「バカヤロー!お前を殺すなんてできるわけないじゃないか!それにローラとも約束したんだ!お前はどんな形であろうが生かすって!何があろうが死ぬことだけは絶対にさせないからな!」
「セシル……」

 するとセシルはいきなりエクスカリバーを抜いてカインの股に当てた。カインは何をするんだセシルと声をかけようとした瞬間セシルはいきなり両股を切り落としたのだ。そして暴れるカインの両手を見事に切り捨ててしまった。カインは発狂しセシルに向かって叫んだ。
「何するんだセシル!気でも狂ったか!」
「バカヤロー!これは僕とローラとお前のためを思ってやったんだ!五体満足でお前を放置したら絶対ゴルヘーザはお前を誘惑する!誘惑に弱いお前はまた三度目の裏切りをするだろう!そうさせないためにはお前の両手両足を切り落として使い物にならなくさせるしかないんだ!さっきも言ったとおり命だけは助けてやる!カイン僕たちはこれからもずっと一緒だ!」
「ローラ……」
「セシルの言うとおりだわ!両手両足をなくしたあなたならさしものゴルヘーザのやつもあなたを誘惑なんかしないわ!カイン、私達ずっと一緒よ!」

 切られた股と脇から血が猛烈に吹き出す中カインは声の限り叫んで虚空に向かって叫んだ。
「ゴルヘーザ様助けて!」



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