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おやすみキャロライン

 そう言って別れた後でジョニーは相手の名前を間違えた事に気づいた。ジョニーは慌てて彼女の元に戻った。勿論彼に悪気があったわけではない。何故か記憶の隅から昔の恋人の名前が出てきてしまっただけだ。ジョニーは呆然として立ち尽くしている彼女を見た。そして彼は彼女に謝った。
「ケイト、僕を許してくれ。まさか愛する君の名前を間違えるなんて僕はどうかしていたんだ」
「あの、私ケイトじゃないんだけど。あなたどこの誰のことを言ってるの?」
「ええっ、ケイトじゃない?キャロラインでもなければケイトでもない。ああっ!本気で君の名前を忘れてしまったぞ。思い出せ、思い出すんだ。君とは確か三日前に夜のクラブで出会った……」
「私三日前にクラブなんか言ってないんですけど」
「じゃあシャルロットだな。確か二日前に学校の門でオートバイを走らせていた僕とばったり遭遇したんだ」
「私シャルロットじゃないんですけど」
「これも違うか。もう降参だ。もう一度君の名前を教えてくれ。今度は絶対に忘れたりしない!」
「忘れてもらって結構。さぁ、もうこっから出て行って。そして二度と私に近寄らないでね」

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