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土曜日の夜

 土曜日の夜ってもう日曜日か。これを書いてる手も痛み出す疲労感、そして意味なく書くことの徒労感。誰もいない深夜のパーキングエリア内のレストラン。空虚感だけがただ広がる。そんな気分の時に限ってやってくるのは孤独感。自分はたった一人なんだという事実の証明。冷めたうどん。冷めた餃子。炭水化物ばかりじゃ太るよと心配されたのは遥か昔のこと。今は話しかける相手など誰もいない。話しかけても返ってくるのは自分の声だけ。虚しい山彦。反響するだけのリバーブ。多重録音のように自分の声が頭を占める。そんな時にハマるのはいつもの妄想。知り合いから適当に合成した都合のいい他人を引っ張り出して言わせるこんなつまらない気休めのセリフ。「君は一人じゃないんだよ。誰かがいつも君をみているんだ。ほらここに君をみている僕かいるじゃないか」こんな風に囁かれて不意に目頭が熱くなる。ただの妄想。虚しい一人遊び。でもバカバカしいほど感動してしまう。

 だけどふと私は我に返る。目の前にあるのはさっきと同じ光景。時間だけが僅かに進んでいる。意味もなくまた一日が終わり、そしてまた始まる。私は席を立ち食べ残しの皿をトレーに乗せて立ち上がった。

 

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