ロシア文学秘話:ドストエフスキーとナボコフ
代表作『ロリータ』で知られる作家ウラジミール・ナボコフは故国の大文豪フョードル・ドストエフスキーを大変嫌っていた。彼のコーネル大学時代の講義録をまとめた『ロシア文学講義』にはドストエフスキーも論じられているが、そこでナボコフはドストエフスキーを『偉大な作家というより凡庸な作家』と痛罵している。彼はその中でドストエフスキーの代表作を取り上げその小説の構成から描写に至るまで徹底的にこき下ろしている。ナボコフのドストエフスキー論は論評というより憎しみかはたまた怨念に満ちたものがあ