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短編

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2024年9月の記事一覧

オールサマーうどん 〜夏の終わりに起こった奇跡

 彼女は夏の終わりに留学先のアメリカへと戻っていった。アメリカは九月で年度が変わるという…

秋(空き)時間
1か月前
8

ロシア文学秘話:チェーホフとスタニスラフスキー

 チェーホフは小説家としてより戯曲としての名声が高いといわれている。彼の戯曲家としての名…

秋(空き)時間
1か月前
17

嘆きの壁

 壁画に描かれた女。彼女の無表情な顔はいつも濡れていた。それは壁画を見た人なら誰だって涙…

秋(空き)時間
1か月前
7

ロシア文学秘話:ドストエフスキーとツルゲーネフ

 ドストエフスキーとツルゲーネフの仲が悪かったのは有名で、特にドストエフスキーは激しくツ…

秋(空き)時間
1か月前
6

無縁坂

 昼下がりの無縁坂は鬱々とした曇り空が名前通りの陰気さを醸し出していた。坂といいながらさ…

秋(空き)時間
1か月前
9

ロシア文学秘話:プーシキンとゴーゴリ

 十九世紀に活躍した詩人で小説家のアレクサンドル・プーシキンはロシア文学の祖と呼ばれてい…

秋(空き)時間
1か月前
19

ロシア文学秘話:マヤコフスキーの後悔

 ロシア革命が起こり人類初の社会主義国家ソビエトが誕生してから五年以上経った。革命の熱狂はすでに去り、政府が新しく始めたネップ政策などで経済は発展しつつあった。しかしそのネップ政策の恩恵を与かったのは特定の人間だけであり、全ての人民に富は生き渡らなかった。すべての人民に平等に富を分け与えるために革命を起こしたはずであったが、その革命の成熟の結果起こったのは新たな階級制の誕生であった。富める者はますます富、貧しきものはさらに貧しくなってゆく。それは革命に参加し理想を国家を築き上

ロシア文学秘話:トルストイを訪ねて

 汽車がヤースナヤ・ポリャーナの駅に着いたのでチェーホフは汽車からホームに降りた瞬間突然…

秋(空き)時間
1か月前
15

ロシア文学秘話:ドストエフスキーの改心

 ロシアの大文豪ドストエフスキーは若かりし頃社会主義者ペトラシェフスキーに深い影響を受け…

秋(空き)時間
1か月前
14

ロシア文学秘話:トルストイの家出

 トルストイ家では何もかもが混乱していた。世界的な大文豪であり、その名声はニコライ皇帝を…

秋(空き)時間
1か月前
10

文学とジャズ

 この間大学時代の親友と久しぶりに会った。道端でバッタリあってしばらく立ち話をしていたら…

秋(空き)時間
1か月前
15

私の旅路

 住む場所から離れると不思議と自分が裸になっていくような感覚を覚える。それはきっと自分が…

秋(空き)時間
2か月前
9

《反転小説》そして人はすれ違う

 不意打ちのような出会いなんて滅多に起こるもんじゃない。上から読んでもしたから読んでもそ…

秋(空き)時間
2か月前
8

異文化交流

 江戸後期、黒船来航前の太平の世の我が国のとある島に一隻の難破船が漂流してきた。朝起きて浜辺に出た島民たちは突如現れたその船のあまりの巨大さに恐れをなして誰も船に近寄らず、遠巻きにそれを見ていたのだった。そうしてしばらく経ったとき、船からぼろぼろの格好をした金髪の人間らしきものが降りてきたのを見てびっくり仰天した。島民たちは生まれてこの方異人など見たことがなかったからである。  島民たちは持っていたモリで異人たちを串刺しにせず冷静にお役人の所に向かった。島民たちの勇気あるも