本当の読解力をつけるために「Wordless Book(文字のない絵本)」を読もう!
今から10年から20年後には今ある職業の半分ほどが、AIなどのテクノロジーに奪われるという予測がされていることは、もはや皆さんも周知のことと思います。
そんな激動の時代に生き残るカギが「読解力」にあるということついても、次の2つの記事に分けて書きました。
今日は、「Wordless Book(文字のない絵本)」を使うことで、深い読解力をつけていく方法をシェアしたいと思います。このアクティビティを日本語の代わりに英語ですると、読解力だけではなく英語力までつきます!
Wordless Bookとは?
Wordless Bookとは、絵や写真やイラストだけで文字がほとんどない絵本のことです。絵や写真やイラストが登場人物の感情や背景などストーリーの全てを表現しているので、筆者の意図を推測しながら、読み手が自分で自由に物語を作っていくことになります。
レインモンド・ブリッグスさんの「ゆきだるま」は、Wordless Bookとして、「世界的に最も有名な文字のない絵本」と言っても良いかもしれないほどの名作です。その絵本が映画になって、映画の方がもっと有名になりましたが、元祖は絵本です。
日本においては、Wordless Bookの総数は少ないですが、世界的に評判の高い本も出ています。例えば、「もりのえほん」や「あいうえおの本」で有名な安野光雅さんの絵本は、海外でもたくさん出版されていて、数多くの賞を獲得しています。
文字がない絵本を読むなんて簡単?
「文字がない絵本を読むなんて、子どもがすること!簡単だよ!」と思っている人も多いかもしれません。私もそうだったので、その気持ちは良くわかります。
でも試しに、下にBill Thomsonさん著書の「Chalk」というWordless Bookから抜粋したページを下に貼りますので、ぜひ声に出して実際にストーリーを作ってみてください。チャレンジしたい人は、英語でやってみてください!
どうでしょうか?慣れないと最初はちょっと戸惑ったんじゃないでしょうか。意外にも難しいんです。
そうなんです。Wordless Bookを読むためには、かなり高度なスキルが必要になってきます。そんなスキルの例を挙げますね。
✅ 筆者の意思を推測する想像力
✅ イラストを理解する力
✅ 先が見えないストーリーに対して柔軟に対応する力
✅ 完璧にわからない時もあきらめない精神力
✅ 自分の考えを貫き思い切って決断していく力
✅ そうやって理解したことをわかりやすく言語化する力
✅ 言語化したことを意味が通るように、うまくつなげてストーリーにする力
などなど…
なぜWordless Book?
暗記力やスピードや正確さを競っても、人間はコンピューターには敵いません。コンピューターやAIが苦手で人間にしかできない高次でクリエイティブなスキルが必要になってきます。
上に挙げたようなスキルは、今までと同じ学習法では身につきません。全く違ったやり方をしながら、トレーニングしていくことが必要になります。Wordless Bookを読むことは、そんな今までとは違うトレーニングになります。
慣れ親しんだ習慣を手放す勇気が必要!
「日本人はとにかく早く読み書きを導入したがる」と英語を教えていてよく感じるということについては前の記事に詳しく書きました。
ここで言う日本人が焦って導入したがる読み書きは、「文字を読んだり書いたりする暗記でのレベル」の読み書きになります。結果が見えやすいので、親や教師がその成長を喜びやすい部分です。
しかし、単に文字を読めたり書けたりことが、その題材について深く理解したり感じたりするスキルに繋がる訳ではありません。ただコンピューターやロボットのように、インプットしたものを記憶して、そのままアウトプットしているにすぎないのです。
著者の意思を汲み取り、
読んだことを深く理解して、それを自分の言葉で伝えたり、
自分の考えと著者の考えや世間一般の考えなどと比較して、その本に対する自分の意見を表現したり、
腑に落ちないことは捨て、深く感化されたことを自分のものにしたり、
学んだことを教えたり、実際の生活に応用していったり…
そういったことが本当の読解力です。
読解力をつけるのには、時間がかかるんです。「さっさとテストで点数が取れれば良い」というような短絡的な目標を持っている人には、あまり向かないスキルです。
今までしてきたように、ただ焦って文字を読み書きを入れていくと、読み書きを早く導入しすぎると、暗記や詰め込みに頼った表面的な読解力をつけさせることになってしまいます。
それでは、本当の意味での理解や読解には逆効果になってしまいます。これは、「スラスラと文章が読めたとしても、その意味が深く理解できない」という状況を作ってしまうというしっぺ返しが後々来ます。
英語であっても、日本語であっても、会話力や語彙力や考える力など総合的な能力をある程度つけてから、読み書きを入れた方が絶対に効果的です。「外側に見えるけれど、実は『偽りである成果』を焦って追わない」という勇気が必要なんです。
自分なりのWordless Bookをつくろう!
Wordless Bookを自分の言葉で読むことになれたら、その応用として、自分オリジナルなWordless Bookをつくると、もっと読解力を深めることができます。
普通のA4サイズのコピー用紙を使って小さな冊子を作って、それにイラストを描いてストーリーをつくると、可愛いオリジナルな本ができます!
A4サイズのコピー用紙を使う
半分に折る
もう半分に折る
もう一度半分に折る
横半分になるように開く
下の折り目から中央まで真っ直ぐにハサミで切る
縦半分になるように折る
折り目で曲げて8ページある本にする!
できあがり!
「言われたことだけできる」とか「教えてもらったことしかわからない」というような自分で創造する力のないロボットのような子どもを育てていくのは、もうやめませんか!
先の見えない時代です。自分で考え、自分で決めて、未来を創造していく力を持った子ども達を育てていくことが、これからの日本には必要だと私は強く思います。
やってみると、創作する楽しさを感じるかもしれません!人は、元来クリエイティブなものです。ただその才能を使っていなかっただけなんです。
時間のあるかもしれない今年のStay Home クリスマスに、ぜひWordless Bookを読んだり、作ったりしてみてください!