大好きな本を語る 美術書
「好きな本は何?」
そう聞かれた時、「よくぞ、私の元にたどり着いたな。」とラスボスのようなことを言っても良いでしょうか。
1 それは、絵画の手引書
私は、絵を書けません。
簡単なイラストを書くことさえ、私には神業に見えます。
ですので、美術の授業は好きではありませんでした。作品を作る方は。
美術の時間で私が好きだったのは、絵画の説明でした。教科書や参考書に載っているものだけでなく、先生がコピーして持ってきてくれたプリントを見ているのが、好きでした。
気に入った作品をじぃっと見て、あれこれ想像するのが好きなのです。
そんな私が出会った美術書。
全力でおすすめしていきたいと思います!!
今回は、、、
美しくもおぞましく、
綺麗なのに不気味で、
惹き込まれる本ですよ!!
2 大好きな本 美術書
参ります!
私が大好きな美術書。
それは、、、、
『展覧会の「怖い絵」』
中野京子さん著
この本は、『怖い絵シリーズ』のひとつです。
『怖い絵』シリーズは、名画に隠された謎や、名画を書いた画家たちの生涯が記載してある美術書です。
主に西洋画が書かれていて、その西洋画に関わる物語や絵の読み方が、丁寧に書かれています。
私イチオシの『展覧会の「怖い絵」』は、『怖い絵』シリーズが展覧会になった時に飾られていた絵画が集められており、名作の数々が綴られています。
恐ろしい程の美しさを語っている、1冊なのです。
※本日もこの本について、ネタバレをしないようにしつつ語ります。どんな本なのか、私が読んだ感想を語りますので、良ければ読んでいってください。
3 美しすぎるものは、恐ろしい
『展覧会の「怖い絵」』の表紙を飾るのは、恐ろしい羽を持つ美しい女の顔をした鳥の怪物の絵。口から滴る血と足の大きな鉤爪が、彼女の異様さを際立てています。
モッサ作 『飽食のセイレーン』
この本の、美しさと恐ろしさを内包した表紙です。
この本で解説されている絵は、怪物の絵ばかりではありません。
一見すると何の変哲もない風景画もあります。
しかし、絵を読み解いていくと、歴史の闇が隠されていたり、人の闇が隠されていたりします。
また、宗教画もあります。
それが聖書のどの部分を参考に書かれているのか、この宗教画に隠されたメッセージは何か。そんな謎解き要素もこの本にはあります。
どの絵も世界の名画です。本当に美しい絵です。
ですが、解説を読むとどうでしょう。
『美しい』と一言で終わらせられない、おぞましさと恐ろしさとリアリティが、私たちに迫ってくるのです。
4 物語は小さなところに
絵画の解説を読んだり、美術館の解説を読むと、1枚の絵に無数の物語が隠されていることがわかります。
見過ごしてしまいそうな小さな所に、
重要なヒントや物語が隠されている。
それはミステリーのようで、
作者に挑戦を挑まれているようで、
とてもドキドキします。
ですが、暗い歴史を歩んできた人々か込めたメッセージは、楽しいことや嬉しいことだけではありません。
表現を制限された人達が、
命を懸けて込めたメッセージもあります。
だからこそ、「美しい」という言葉では伝えきれない「怖さ」があるのでしょう。
あなたにはありますか?
興味本位で覗いた本にとてつもない闇が隠されていたことが。
「怖い」と分かっていてそれでも先を見たくなってしまう本が。