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【エッセイ】よろめきの果て

自然さよりも古い不自然さがある。

逃げも隠れもしないのにどうして見つからないんだろう。

表情の表はどちらの面なのだろうか。なにかしら表情を浮かべるとき、それはこちらの顔を迎えにくるようでもある。

仮面に裏はない。どちらの面も表だろう。

私たちの心にとって古いものとは、何度も繰り返されたものであって、はじまりではない。

心では無風状態の砂漠のように、
余白とそうでないものの区別がない
あなたの足跡はあなたのものでなくなり、
足跡でさえなくなって、それでもなお残りつづける
あなたの歌声もまた無音に秘められて響かずに続く

言葉は、永遠のフリをすることにつかれた神のため息だ。

いつだって、どこでだってそれは果てしなくよろめいているけれど、そのよろめきの以前を知らないし、その後も知ることはない。

自分でも知らない、自分自身の果てが、繋がっている世界のどこかのことを想う。

なににせよなにかの果てに思考がむかったとき、それがなにか、祈りのようなものをかすめることがある。その祈りは自分のものではない。誰のものかもわからない。そもそも誰のものでもないかもしれない
過去にも未来にも、今にも、一度も祈られることのなかった、そしてこれからも祈られることがないだろう、その祈りのようで祈りではないもの。


読んでくれて、ありがとう。


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