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エッセイ

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冬の馬・六月の春によって書かれたエッセイ、といいつつ、ここには雑文状の文章たちが収納されていく予定です。
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#エッセイ

エッセイ:世界はあった、かのように、うしなわれて

線より下は、本当のなかに嘘を、嘘のなかに本当を、まじえて書かれる。  以前、「感情移入」…

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【めも④】素通りするほど大事な?

それはすでに過去のものだ、と言ったとき、その言葉は、そのものを過去に追いやって否定するよ…

【めも①】触媒、イメージ、繰り返し

思わず読み入ってしまう文章のなかには、ついその題名さえ忘れてしまうようなものがある。 ふ…

【エッセイ】輪廻

誰にも気づかれずに、胸にしまっておかれた、誰も(自分でさえ)見向きもしないような秘密が、…

【エッセイ】世界と心の結び目

花という世界の結び目、時間の流れの中わだかまった小さな渦。私たちの視線は、ときおり、その…

【エッセイ】「諦める」ことと「忘れる」こと

なにかしらを「諦める」、「諦めた」というとき、そこにある状態は奇妙だ。その対象に向かう自…

【エッセイ】記憶の芯

そのとき、先生が自分に言った表情は思い出せる。その言葉も。だけどその顔ははっきりと思い出せない。 * 言葉がはっきりと響いてくるほど、表情がくっきりとしてきて、それにつれて、そこにあったはずの先生自身の顔がぼやけていく。あるいは、その記憶から無駄が削ぎ落されて、純粋になっていったのだろうか。 ≒ もしそうやってぼやけていくのが純化だとして、そうやって記憶が純粋になっていくほど、それを思い出す瞬間のどこかが、ますます汚らしくなっていくように思える。 ≠ どんな人の顔

【エッセイ】誰のためでもない代わりに

なにかを信じるというとき、それはいつも、誰かの代わりにだ。 * 誰の、何の名においてでも…

【エッセイ】覚めることのない眠り

打ち明けることによって、隠れていくものがあり、それを明らかにしたいとでもいうかのように、…

【エッセイ】考えることの麻痺

無意味と意味のないことは、必ずしも一致しない * 私たちの心のどこかが、その都度意味のフ…

【エッセイ】比喩に潜んだ「弱さ」

比喩とかたとえとか、とにかくそういったものには、必ずどこかに「弱さ」がある どこかと問う…

【エッセイ】夢とか可能性のはざまについて

私たちは他人についても世界についても夢を見ているに等しい。 ≠ なにかをできるようになる…

【エッセイ】わからなさから触れてくる

自分の動機とか内面とか呼ばれるもの、感じているものを、まったく知らない言葉で書かれている…

【エッセイ】(絶対的に)「できる」「できない」

すべてを滅ぼせるような能力をもった存在は、きっと、それだけの能力をもっているために、すべてを滅ぼさない。 * すべてが滅んでしまえば、その力の行使先がなくなって、その力自体が無意味になってしまうからだ。その力それ自体が失われてしまう、と言い換えてもあまり差しさわりがないくらいには。 ≒ それよりは、その能力の一端を小出しにしながら、ゆっくりと時間をかけて、その滅ぼせるはずの「すべて」と共に、徐々に滅んでいくだろう。それが、その能力が能力として生きながらえる唯一の道であ