人生で1番辛かったときの話【2話】
『いじめはいけないよ。自分がされて嫌なことはしてはいけないよ。』
大人は子どもへこう教える。
誰しもが人生で一度は耳にするであろうセリフだ。どうして人間は言われた事を忘れてしまうのだろうか。
前話で話したように、"いじめ"はずっと続いていた。無視や省かれることはもちろん、ある事ないことを言われる日々。相変わらず、体調はずっと悪いままだ。
人っていうものは周りに影響されやすく、クラスの中の目立つグループが1人の人物を嫌えば、なぜかその人と一緒にいる事に対して急に嫌な気待ちになったり、自分が敵になるのではないかと思ったりするものである。
私はクラスから完全に孤立した。
まともに話したことのないクラスメイトさえもが私を遠ざけるようになった。
両親は私のことを単純に学校がめんどくさいから行かないだけだと思っていたと思う。時間になっても寝たふりをして担任に『遅れていきます。』と連絡をする。それが毎日の日課になっていたのだ。
担任は50歳の男だった。英語の教師で、よくグループワークをさせていた。いつものように机をくっつけてグループを作る時、Aちゃんが頑なに私の机と自分の机をくっつける事を拒んだ。
『ちゃんと机をつけなさい。』と担任が言うと
『嫌だ。嫌だって言ってんじゃん。付けたくない。』の一点張り。
クラス中がこっちを見ている。変な汗が出てきて、気持ち悪くなって私は何も言わずにトイレに駆け込んだ。
また嘔吐した。涙も止まらなかった。なぜこんな事をされ続けなくてはいけないのか。その時は憎しみよりも悲しみの方が多くて、自分を見失いそうだった。
その日の放課後、私は先生のいる事務室へ呼ばれた。
『Aがあんな態度を取っていたけど、なにがあったんだ?』あの時まで気づいてなかった事に驚いた。
『Yが最初に省かれてた時、一緒に行動していたら今度は自分が標的にされました。』私は、こみ上げてくる涙を堪えながら一連の流れを説明した。
『そうだったのか。俺は男だから女同士の喧嘩に入ると余計に関係性が悪化してしまいそうだ。だから自分たちで話し合ってちゃんと解決するんだぞ。』担任はこう言った。男だからとか女だからとか関係あるのか?私は誰に頼ればいいんだ?
人間不信になりそうだった。いや、もうなっていたと思う。
その日に受けた傷は、部活に行きマネージャーに話を聞いてもらう事で解決していた。だからいつも帰るときには私のHPはいつも回復していた。
もし部活に入っていなかったら私は今頃どうなっていたのだろう。
そこからすぐの事だった。Aが学校に来なくなった。どうやら父子家庭だった彼女はバイトで生計を立てていた為、学業よりもバイトの方に専念する事になったらしい。その後すぐ、自主退学をした。
クラスメイトが1人減り、普通は悲しいはずだが私はちっとも悲しくなかった。これで解放される。そう思っていた。
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