読書記録:根っからの悪人っているの?
『根っからの悪人っているの?』を読んだ。
映画『プリズン・サークル』の監督の坂上香さんの著書。
プリズン・サークルに出演されていた受刑者の方や犯罪被害者の方などともに若者たちが対話している様子をとても丁寧に記録されている本。
対話している時の空気感が伝わってくるし、対話に参加された方が言葉をどんな風に伝えようとされているのかそのニュアンスや、うまく言葉にできないもどかしさまで感じられた。
一番印象に残ったのは、バスジャック事件の被害者の方との対話の会。
被害者の方が事件のその時にどんなことを感じていたのか?
また時が経る中で加害者の少年に対して、どんな思いの変化があったのか?
その方の中に残ったこと、区切りをつけたこと、譲らないこと。
いろんなことがその方の中で変化しながらも、今を大切に生きていらっしゃる様子が伝わってきた。
ちなみに、以前、加害者の家族のことも扱った乃南アサさんの小説『風紋』を読んだことがある。
『根っからの悪人っているの?』を読んでまたこの本を読みたくなった。
対話に参加された若者のみなさんが「答えがないこと」に真摯に向き合って、悩みながら迷いながら、他の人の声に懸命に耳を傾けながら、自分なりの考えの輪郭を掴んでいくことを読みながら一緒にいさせてもらった。とても心に残った本だった。