オルターエゴ読書感想文15│坑夫
『ALTER EGO』というスマホゲームがある。このアプリに出てくる読書記録まとめ15回目。
今回読破した本
『坑夫』
夏目漱石 (2004), 新潮社.
私にとっては、坑夫という職業が今も存在しているのか分からないくらいには、坑夫は縁遠いものになっている。なので、本屋さんで『坑夫』を手にとったときは、『蟹工船』的な労働者のはなしなのかなと勝手に思ってた(蟹工船は読んだことないけど)。
実際の『坑夫』は、色恋沙汰に疲れた青年が、家を飛び出して坑夫になろうとする話だった。最後まで、この青年の名前は出てこなかった。
解説のところで、坑夫は夏目漱石の書生をしていた青年の実話をベースにしたものと記載があった。なので、もしかするとその書生に結びつかないように名前をつけなかったのかもしれない。けれど、個人的には、19歳という年齢の汚れのないあやうさを表現するために、あえて名前をつけなかったのかなぁと思ったりした。
そんな汚れのない、いいとこの坊ちゃんが、坑夫という異世界の住人と触れ合うことで、脱皮していく経過を描いているように感じた。
坑夫といえば、最近はじまった『海に眠るダイヤモンド』も気になるところ。ホストの神木くんと、軍艦島の神木くんはどんな繋がりがあるのだろうか。
未読リスト
残り7冊
■入手済み
グレッグ・イーガン著 山岸真訳 (1999), 『順列都市』, 早川書房.
宮澤伊織 (2018), 『そいねドリーマー』, 早川書房.
アンドレ・ジッド著 山内義雄訳 (1954), 『狭き門』, 新潮社.
アルベール・カミュ著 清水徹訳 (1969), 『シーシュポスの神話』, 新潮社.
フョードル・ドストエフスキー著 江川卓訳 (1970), 『地下室の手記』, 新潮社.
メアリー・シェリー著 森下弓子訳 (1984), 『フランケンシュタイン』, 東京創元社.
■未入手
シオドア・スタージョン著 永井淳訳 (2006), 『夢みる宝石』, 早川書房.
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