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日記と短歌

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その日その日に起こったことや感じたことを短歌一首とともに記します。
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#歌集

歌集を「読む」が「詠む」に通じたこと [日記と短歌]24,1,27

なにもかも再生される歌のなか君だけいないエラーに、風が/夏野ネコ 歌集に「正しい読み方」があるかどうかわかりませんが、本と言えば小説ばかり読んでいた私が歌集、という表現形態へ読みをアジャストしていくのは、これ、けっこう時間がかかりました。 読書といえば古典やSF、海外文学が好みということもあり、どちらかというと理屈っぽい文字の追い方をしていたのかもしれません。 なので同じ「本」というシルエットを持っているゆえに、歌集を読んでいくことがしんどかったように思います。自分は短

歌集、傘杉峠を読んでいます [日記と短歌]23,5,28

浮き石を踏みして歩む峠より遠き景色は青に霞みつ/夏野ネコ 金子正男さんの歌集「傘杉峠」を読んでいます。 生活の中の些細なこと、旅先でのこと、仕事のこと、そこにあるものらを自然に、時に自分を重ねながら詠んでおられる歌集です。 偶然そこにあった景を詠むことについては、例えば玉城徹さんの評書「茂吉の方法」で示されていたところの「断片」のようなソリッドさではないのですが、じんわりと沁みてくる歌たちで、成立させているのはおそらく無欲さといったものです。少し紹介しますね。 詩的パ