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「駐在妻」って何だろう?海外移住に付き纏う、独特の苦悩を乗り越えるマインドセット。
私は今縁あってイギリスに住んでいるが、私は一体何なんだろうとふと思うことがある。
漠然すぎるが、「何なんだろう」と思うのだ。
俗に言う”駐在妻”というのもちょっと違う気がする。
それは日本から夫と一緒にやってきた妻を指すような気がする。
私はギリシャ人のパートナーと付き合うことになり、ギリシャでパートナーシップを締結してそのまま住むつもりが、彼の転職で予想もしなかったイギリスに住むことになった。
私は一体何なのか?
やはり駐在妻なのか?
ネットで「駐在妻」について調べてみた結果が、以下の通りだ。
ー駐在員の妻という意味で用いられる通俗的な言い方。もっぱら外国に駐在する会社員の妻を指す場合が多い。夫に帯同される場合、土地を移り一定期間そこで生活することになる、独特の悩みがつきまとう。
え、まって?
独特の悩みがつきまとう…???
なんだその決めつけた固定概念!!
そんなの人それぞれだと思う。
しかし、確かに夫の都合で海外に移住することになり慣れない環境で暮らすことになれば、ストレスを抱える方もたくさんいるのが事実だ。
まず、言語が違う。
普通にスーパーで買い物するだけなのに、日本語で伝えたいことが伝えられない。
挨拶だってただの「いらっしゃいませ」じゃなく、
Hi,how are you?
と、元気かどうか聞かれるのだ。
実際にはただの挨拶の言い回しだが(相手は本気で元気かどうか聞きたいのではないという意味)、例えばgood how are you?のように返すまでが挨拶だ。
買いたいものを買うだけで、1つのコミュニケーションが生まれる。
これは日本にはない文化で、毎回これを言うことだけでもストレスになる人はいるだろうと思う。
しんどい時ならば尚更だ。
高校を卒業していれば少なくとも6年間は英語に触れているので、HelloとかHow are you?はほぼ誰でも知っている言葉だと思う。
英語圏であれば、聞いたことのある単語がしょっちゅう出てくるのでまだ難易度は低いのではないかと思う。
実際、ロンドンに住んでいる私は拙い英語でもあまり不便を感じずに生活できている。
もっと大変なのは、今まで全く触れたことのない言語圏に住む場合だ。
実際、私も当初はギリシャに住む予定だった。
今まで義実家に何度か滞在して感じることだが、かなりハードモードだろうと思う。
ギリシャは人も気候もあたたかく素晴らしい国だが、いざ住むとなると人の距離が近すぎて難しいと感じる。
都市部のアテネならまだしも、田舎に住むとなるとギリシャ語は必須だし文化も何もかも違うので本当に辛い場面が多いと思う。
それを楽しめる心の余裕があれば話は別だが、日々の生活なのでやはり苦戦する場面が出てくるだろう。
実際、今もし仮にギリシャに移住するとなれば私は頭を抱えて悩むと思う。
これは、リアルのギリシャでの生活を実際に見たから特にそう感じる。
先述の通り、言語や文化も国によってかなりハードルが高いが、何より自分のキャリアを手放して帯同している方がほとんどだと思う。
リモートで働けるお仕事ならいざ知らず、オフィスや対面でのお仕事をされていた方は辞めて移住しているわけだ。
大好きな仕事を辞めざるを得なかった方もたくさんいらっしゃる。
ブランクがどんどん空いて、不安に苛まれる方も少なくない。
慣れない国で専業主婦として夫や家庭を支えられていて、「このままでいいんだろうか?」と漠然とした空虚感を持って過ごされている方もたくさんいらっしゃると思う。
私は”パートナーと一緒に過ごすこと”を最優先に好きでこの道を選んだし、戸籍上では別々だし別々の国からやってきたので、一般的な「駐在妻」の括りではないかもしれないと思っている。
仮に私が「嫌だ」と言っていれば、彼は絶対にこの道を選ばなかった。
彼のキャリアが積み上がっていき、仕事に精を出して頑張っている姿を見られて幸せに思う。
ギリシャに住んでいる頃の待遇と環境からはとても考えられないような生活を送って、彼の夢がひとつずつ叶っているのだ。
決して自分のスキルや直接的な手柄ではないが、彼のポジションやボーナスに反映されたり待遇がよくなったりすると、私も参加した気になって嬉しくなる。
私も日々の生活をサポートしているし、”共同作業”というか”2人の相乗効果”だと本気で思っている。
毎日掃除洗濯料理を済ませ、「おかえり、お疲れ様」と迎え、愚痴があれば聞き、肩こりが辛そうならマッサージをし、たまにランチボックスを持たせ。
彼が集中して仕事出来るよう、環境を整えるのが今の私の仕事だ。
実際、私と過ごすようになってからの彼の躍進は本当に凄くて、冗談抜きで「私ってもしかして、いわゆるあげまんなのかもしれない!」と自覚まで芽生えている。
ただ自慢したいわけではなく、エネルギーの化学反応は存在するということだ。
かと言って誰にでもこうなるわけではなく、彼との相性的な面でそうなっているんだろうなと感じるのだ。
私も彼のキャリアアップに貢献できているみたいでとても嬉しい。
世界中に、その国が好きでも好きじゃなくても夫と帯同で移住し生活している駐在妻の皆さんがたくさんいる。
何もしてなくていいのかとか、このままでいいのかとか、どこからかくる焦燥感とか、無意識に襲ってくるそういうモヤモヤなどもある。
私もロンドンに来た当初しばらくそんな気持ちが続いた。
知らない土地に移住するという、大きな決断をした自分自身を褒めてあげよう!
大丈夫、ここにいるだけで大きなエネルギーになっている。
長い人生の中で、生まれ育った日本ではない場所にご縁があるなんて素敵なことだ。
それは私と同じく流れ着いたような感覚の方もいらっしゃるだろうし、今までにない思い切った決断だったかもしれない。
気を抜けばついついモヤッとすることもあるが、自己肯定感を下げる必要などまったくない。
お相手と二人三脚をしているようなものだ。
そして、パートナーの方は本気で感謝を伝えてお相手を大切にして欲しい。
こんなに長い文章を書くつもりはなかったのだが、自然に出てきた言葉を残しておこうと思う。
この文章が、必要な人に届きますように。
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