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(後編)前代未聞?出禁をくらった最初で最後の婚活体験記。
(⬆️前編をお先にどうぞ)
MCをしていたら、あっという間に目的地に着いた。
歩いている間に、さっき話し足りなかった男性たちがとっかえひっかえ私のところにやってくる。
「さっきのつづきだけど」
がトレンド入りでもしているのか?と感じるほどに、隙なく話しかけられる。
どうやら怒涛のタモリさん風質問攻めにより、
『俺に興味を持ってくれた!』
と勘違いさせてしまうことになったらしい(ちーーーん)。
男性諸君たちよ、ちがう。
まるで真逆だ。
興味を持ってほしくなかったから限られた時間を質問に使ったのに、それが起爆剤になってしまった。
なんという不覚。
いつの間にか数人の男性を引き連れ、グループトークしながら歩くことになってしまった(婚活とは?)。
これではまるで赤いクリスマスツリーとサンタ、
いや。
ごくせんのヤンクミにでもなった気分だ。
気合いのための赤ならもう、ジャージを着てきてもよかったかもしれない。
耳の穴かっぽじってよーく聞けよおめーら(チャンチャーチャチャー♪)。
真剣に結婚相手を探しているんなら、私のような変わり種じゃなく、素直そうで朗らかで穏やかな女の子いっぱいいるんだからそっちにアタックしたほうが確実にタイパいいぞ!!!
ずっとそんな風に思いながら、天気の良い日曜日を過ごした。
数々のイベントも終わり、帰りのラブトレインではフリートークの時間。
思えば今日は、早朝から眠気に耐えタモリさんになりヤンクミになり、緊張感は皆無なのに身体ヘロヘロ。
座ったらすぐに寝れそう。
女性が先に座り、後から男性が早いもの勝ちで自由に席を選んで座るシステムだった。
一番うしろの端っこを選んだ私の隣に座ってきたのは、ジャイアンみたいな男だった。
ジャイアンは誰が見てもウキウキなスマイルで私のところへやってきた。
挨拶もそこそこに、私はジャイアンに
「あのさ、私ちょっと疲れちゃったからさ、
10分だけ寝てもいい?
時間経ったら起こしてくれていいから!」
と告げ、
のび太も顔負けなほどのスピードで即寝した。
ジャイアンじゃなくても誰でも、あの時の私は同じ台詞を言って寝ただろう。
世界は広い。
婚活イベント中に眠りにつくような女も、この世には存在するのだ。
気の良さそうなジャイアンは、こんな失礼な女に
「うん、いいよ!
朝早かったし疲れるやんな。」
と、
菩薩のような一言をかけてくれたのだった。
さらにジャイアンは、よほど私が熟睡していたのか起こすのをためらってくれ、起きたら朝出発した駅に到着していた。
とても暇な時間を過ごしただろうな、他の女子の隣に座ればよかったとさぞ後悔しただろうな。
ごめんね菩薩ジャイアン!!
チャペルでシメの大イベント、告白タイム。
全員チャペルの席に着き、男性が一人ずつ前のステージで女の子の名前を呼び、対面して一輪の薔薇を渡し告白していく。
仲良くなった子や気になる子がいるならこれは大チャンスの機会だが、あまり誰とも話さなかった男性にとってはかなり苦痛だろうと思った。
参加費も男性の方が高いし、女性は待っていればいいのだから彼らに比べればお気楽なもんだ。
呼ばれた女性は前に出て行き、男性の告白を聞いてから薔薇を受け取り「お願いします」か、受け取らずに「ごめんなさい」を告げる。
もしかしたらこのラブトレインからカップルが生まれ、結婚に至る人もいるのかと思うと素敵な企画だなと思った。
確か年齢層は20代〜40代と幅広かった気がする。
私は当時確か29とか30歳くらいだったので、ちょうど真ん中くらいだった。
婚活って、本当にこんな感じなんだなぁとしみじみ思っているうちに、私の名前が呼ばれた。
ステージに立っているのは、さっきのジャイアンだった。
( ゚д゚)!?
まてまて落ち着け。
さっき君の隣で爆睡した、だいぶ失礼な女だぞ私??
明らかに間違った選択肢だぞ、それ。
呼ばれた私はステージに立った。
すると、
「ちょっとまったぁぁぁぁぁぁぁーーー!!」
よく聞くド定番の台詞が聞こえ、薔薇を持って向かって来たのは今日一日よく喋ったさわやか議員さんだった。
その人を皮切りに、
鳴り止まぬ「ちょっとまったぁぁぁ」
(どうせなら、一人くらい木村くんの「ちょ、まてよ」と言ってみてほしい)
あれよあれよと言う間に、気付いたら私は
8人の男性に囲まれていた。
8名全員が私に薔薇を差し出し、頭を下げているではないか。
ザワつく参加者、スタッフさんたち。
ちょまてよ(もう自分で言っちゃう)。
なにこの図???
真剣にちょまてよ(動揺)!!!
気まずすぎてエンタメ寄りに持っていきたいが、真剣な場でそうもいかない気がする。
誰も気になる人がおらず逃げに使った人もいると思うが、彼らの顔ぶれは今日ヤンクミを囲んでグループトークに混じっていた男性たちだった。
どうしよう、
何も気の利いた返答が浮かばない。
私は大きめの声でシンプルに告げた。
「ごめんなさい!!」
再びざわつく会場、
あちゃーという表情の男性たち、
最高に気まずい。
告白チャンスは一度きりなので、他の子にはもういけない。
(確か)30人ほどの男性の内、8人が1人に集中してごめんなさいだったわけだ。
「そんなに選択肢あるんだから一人くらい選べよ!!」と言わんばかりの
異様な圧。
断って席に行くまでに浴びた、
女子たちの冷たい視線。
もうね、
さっさと帰りたかったよね!!
そもそもの話、義理人情をかいて参加したのに
どうしてこんな思いをせにゃならんのだあたしゃ!!!
今日1日よく絡んでくれた、主催の強面ボスが不敵な笑みを浮かべながら私の所にやって来て
「キミ、
只者ちゃうな。
何回か婚活イベント開催してきたけど、
8人も男が集中してフるなんて前代未聞や。
キミ、
もう次から出禁な!!」
ボスはそう告げて去り、
私はまさかの婚活イベント出禁勧告を受けたのだった。
婚活は真剣な場だ。
頼まれて人助けが出来ると思い参加を決意したが、やっぱり出会う気ゼロの奴が参加してはいけない場だと心から思った。
しかし、一言だけ言わせてほしい。
拝啓
あの時冷ややかな目線を私に送ってくれた女子たち。
真剣に伴侶を探して婚活に参加してんなら、せめて服装くらいちゃんとして来いってんだ!!!
近所のスーパーに来ていくようなグレーのパーカーで婚活に参加してんじゃねぇ!!
髪ぼっさぼさでほぼノーメイクの寝起きスタイルで参加してんじゃねぇ!!
デートに行ける、自分が一番好きな勝負服で出直して来やがれ!!
赤いヤンクミより♡
私の赤いニットワンピは最後まで悪目立ちしてしまったが故に、無駄モテすることになってしまった。
あれは自分のテンションのために選んだ服だが、結果オシャレして気合い入れてるみたいな雰囲気になり、デフォルメされてしまったのだろうと思う。
決してモテ服ではない主張の強い系女子になってしまったが、それでも婚活にパーカーで来ている女子に妬まれる筋合いはどこにもない。
男性も女性も、身だしなみを整えて清潔感を持つのは最低限のマナーだ。
まさかの出禁を言い渡されてしまった婚活イベントだったが、幸い私にも収穫はあった。
それ以降、そのボスや告白してくれた何名かの男性たちは、当時私が働いていたお店のお客さんとして常連さんになってくれたのだった。
再び薔薇を渡して告白してくれた方もいたが、ごめんなさいをした(そもそも彼氏持ちでして)。
なんでもかんでも嫌だというのではなく、流れに身を任せて新しい世界を見るというのも人生で大切なことだと思う。
普通に生きていたら出会えないような様々な職種の方と楽しくお話しできたので、私としては参加してよかったと思っている。
この前代未聞の経験から一つアドバイスできることがあるとすれば、『相手に興味を持って、タモリさんのように心地よく質問すること』かなと思う。
が、どう考えても
私に婚活は向いてないなと実感した一日だった。
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