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2022年1月振り返り。本もたくさん読んだよ
1月はたくさん本を読んだので、その中でも印象的だったものを振り返る。
正欲/朝井リョウ
世の中で謳われる多様性が持つ暴力性。社会が想定している多様性の中のマイノリティは、マイノリティの中のマジョリティでしかない。多様性とは想像力の限界を突きつけられること。まさにそんな小説であり、『流浪の月』を思い出した。
「つながり」という目指す姿は同じだけど、ダイバーシティフェスと捕まった彼らは前提が違う。わかり合おうとするのは傲慢だけど、わかり合いたいと踏み込むことが救いになることもあり、でもやっぱりそれは乱暴なエゴだとも思う。
結局は自分の想像も及ばない世界があることを心に留めて生きていくしかない。
今日も嫁を口説こうか/平子祐希
アルコ&ピース平子さんの本。誇張ではなく、高らかに爆笑しながら読んだ。平子と真由美も、平子と酒井も運命であり、必要なのは惚れた相手のためにイタリアを着る覚悟。
ちょいちょい挟まれる平子さんのグラビアのせいで「一体何を読んでいるんだ?」って気持ちになるけど、書いてあることは理想であり真理。良き夫になりたい男性は全員読んだ方がいい。
コーヒーが冷めないうちに/川口 俊和
DMM英会話の先生が翻訳版を読んで面白かったとオススメしてくれたので読んでみた。
幽霊ものだけど不気味さは一切なく、コーヒーをたくさん飲めばトイレが近くなるなどユーモラスなのが印象的。過去を変えるタイムスリップではなく、自分の心を変えるタイムスリップ。現実にこの喫茶店はないけれど、きっかけ次第で過去の見方と自分の心を変えることはできるのかもな〜という希望が持てる本
六人の嘘つきな大学生/浅倉秋成
就活は多面体である人間を単面体に固定することなのかもしれない。『生欲』『流浪の月』もそうだけど、人間にはさまざまな顔があり、見方を変えれば別物になることもあるのだと再認識させられる。
就活はつくづく運と縁であり、優秀さや人格を測るものではない。心底そう思ったし、就活で落ち込みそうな人に読んでほしい
硝子の塔の殺人/知念 実希人
ネタバレになりそうで何も書けない。触発されてアガサクリスティの本を買った。高校生ぶりに『十角館の殺人』も読み返そう。
Rの異常な愛情 ─或る男の日本語ラップについての妄想─/R-指定
日本語ラップへの背中を押した一冊。本当に、本当にヒップホップが好きなことがよく伝わる。一つのジャンルに精通してワンテーマで3時間以上語れる人は稀有だし、ただただかっこいい。
オタクが語る大好きなものの話はみんな面白いけど、これはちゃんと面白くわかりやすく伝えるところにまで配慮がなされているから、曲やアーティストがわからなくても楽しく読めた。