【読書記録】無印良品の「あれ」は決して安くないのに なぜ飛ぶように売れるのか? 100億円の価値を生み出す凄いコンセプトのつくり方
こんばんは。今日も1日おつかれさまでした。
肌寒くなったり、かと思えば暖かかったり。体調崩されていませんか。
今日も数ある記事の中から選んでくださりありがとうございます。
今日も今日とて、アウトプット訓練のための読書記録です。
みなさんのお役に立てる形に日々ブラシュアップして、綴っていければと思います。
概要
クリエイティブ・ディレクターであり、ブランド・コンサルティングを行ってきた筆者の方が、「コンセプト」をテーマに日本人が持つ「思考のクセ」を気づかせ、「コンセプト」をつくる・使えるように、と書かれた本です。
既存の組織や枠組みを壊す、新しいものを提案する、という姿勢でものごとに取り組むことを前提とした内容になっています。
きっかけ
企画を一緒に考えてみよう!と誘った仲間の「コンセプトワークをしてみたい」の一言から、「コンセプト」に関する本を読んでみようと思ったことから。
無印良品のファンなので、そのタイトルにも惹かれました。
こんな方におすすめ!
・「コンセプト」の定義・特性から、実践に至るまでを知りたい方
・具体的な企業の実例も交えてコンセプトについて知りたい方
・組織や企業で商品開発を行っていて、コンセプトについて疑問を抱いている方
・世界における日本の現状や特徴も知りたい方
ほぼすべての内容に対して、具体的な企業の実例とともに説明されています。名だたる企業のこれまでを知るにも良いきっかけになります。
こんな方にはおすすめしないかも?
・戦略のつくり方を知りたい方(主題は「コンセプト」であって「戦略」ではない、と作中に書かれています)
企業・組織として、の意味合いが強いため、個人で事業をしていくのとは規模にやや差があるかもしれません。しかしコンセプトの大事さや実践方法など応用できるノウハウが詰まっているので、どんな方にとっても有益な内容なのではないかと思います。
全体像
コンセプトについて、「知る」「つくる」「使う」の3つのパートに分け、それぞれ章ごとに説明されています。
「知る」
第1章:日本人は使うのが苦手
第2章:成功の具体例
第3章:4つの働きと3つの性質
「つくる」
第4章:準備 ~現在地把握・資産棚卸~
第5章:つくり方 ~9ステップ~
「使う」
第6章:使い方 ~理解浸透と仕組みづくり~
第4章、第5章はコンセプトをつくるための具体的なワークで、シートのサンプルも添付されていますので、ぜひ本書をお手に取って活用していただけたらと思います!
要点ピックアップ
大事なエッセンスを抽出しつつ、より細かいことはぜひ本書を手に取っていただければ、という思いで綴らせていただきます。
プロローグ
・無印良品で手に入らないのは「生鮮食品」と「クルマ」くらい
生活の99%を担うものを提供している、世界を見ても唯一無二の稀なブランド
・西友のプライベートブランドから出発「わけあって、安い」
・無印良品の成功の最大の要因は「コンセプト」をつくる力、使う力
グローバル化でビジネスや生活が一瞬で変わる時代
そんなときにこそブレない「コンセプト」が必要!
第1章:日本人は使うのが苦手
■コンセプトとは
・「目的(理念やビジョン)を達成するための原理・原則を短く明確に表現した言葉」
・「行動指針」となり全体を動かす「原動力」となるもの
・コンセプトの使命は課題を解決すること
⇒ネガティブ(課題)をポジティブに反転できる考え方やアプローチが必要(ソニーのウォークマン、AppleのiPodとiTunes)
歴史上、世界は言葉の力で変化してきた 例:宗教、政治、経済
コンセプトは世界を変化させる原動力・テコになる
■日本人は使うのが苦手な理由
・日本企業の現場では重視されていない場面も
・論理的に詰めたり、概念的なものを使うのが苦手な文化にも起因
・日本語は主語が曖昧なままでも文章が成立
・普遍的なノウハウ構築のため、創造性を「型」によって磨いてきた(武道、芸術、伎芸、ものづくり、、、)
「守破離」「考えずに自動的に動ける」
例:TOYOTAの「かんばん方式」「ジャスト・イン・タイム」「カイゼン」
・「世界がこのまま続く」ことを前提に「型」をつくり極めるクセがある
・変化する世界に合わせて自らも変化させること、物事を組み立てることが苦手
■日本と欧米のコンセプトの違い
・日本型:「結論としてのコンセプト」「方法論としてのコンセプト」
⇒試行錯誤のうえで共通していた核心となる考え方を事後的にコンセプトにする
◆長所:失敗の危険は少ない
◇短所:設定までに時間がかかる、大きな飛躍や斬新な発想は期待できない、成功体験の「型」から離れられない
・欧米型:「仮説としてのコンセプト」「目的・目標としてのコンセプト」
⇒目標を達成するために必要な原理・原則を事前にコンセプトにする
◆長所:仮説・検証を素早く繰り返すことで短期間に成果を得ることも可能
◇短所:事前に設定される仮説がゆえに失敗の危険が常にある
★現在の世界は、「誰がルールをつくるか」の戦い
前提条件やルールが変わると、「型」は無力化される=日本型の最大の欠点
無意識に身につけている「型」にとらわれる習性を変える必要がある!
第2章:成功の具体例
■富士フイルムとコダック社の対比
資産の棚卸を行い新規事業に舵を切った富士フイルム
デジタル化の波に飲まれてしまったコダック社
ダーウィン「最も強い種・賢い種が生き残るのではなく、唯一変化に敏感に反応する種が生き残る」
■小値賀島
「よそ者、若者、バカ者」
外部の視点で観光業で再起を果たした島
■無印良品
「ムダのない必要十分な機能とカタチ」
「有印良品」(=欧米の高級ブランド)へのアンチブランドとしてのネーミング
「無印良品のくらし」を提供、ブランド力を確立・維持
「これがいい」ではなく「これでいい」:「で」のレベルを上げることで、諦めや小さな不満を払拭し明晰で自信に満ちた「で」を実現する
使う方法論を持っているのが秀逸
・外部の目による商品判定会:なぜ出すのか問われる
・お役様の要望から商品開発を促す仕組み
・世界の視点からの商品開発
■新しいコンセプトや戦略には、分解して本質を取り出し新しい仕組みや体験に再構築する作業が必要
■小さな失敗を繰り返す自由と、失敗からコンセプトや戦略を強いものに仕上げていく取り組みが必要。「とりあえずやってみようの精神」を取り戻そう!
第3章:4つの働きと3つの性質
コンセプト:ビジネスのための「20文字の憲法」
■働き
①力を束ねる
池田勇人内閣「国民所得倍増計画」
・弱い力でも一点に集中すると違う次元の結果を得ることができる
・自らの力にレバレッジ(小さな力で大きな力を発揮する)をかける
②在り方を決める
スターバックス「3rd Place」
・ビジネスや組織の在り方を決める、迷ったときの判断基準となる
・世の中で「どのような存在なのか」「どのように存在すべき」を明確に発信
③行動を指示する
ポルシェ「壊れないプレステージ・スポーツカー」
・自分たちがどこに行って、何をやればいいのかが明確に指示する
・未来への行動指示書
④価値を最大化する
ボルボ「2020年までに、ボルボ新社での死亡者・重傷者をなくす」
・コンセプトの使命は、企業・商品がもつポテンシャルをすべて引き出し価値を最大化すること
■性質
①本質とつながっている
ユニクロ:ファッションのための部品
ジョルジオ・アルマーニ:美意識や世界観そのもの
⇒世の中に対して何をどう提供したいのか
本質はシンプルで根源的な問いから見えてくる
⇒質問:私にとって【 】とは何か?(事業や商品を象徴する一語)
出たものに対して腹落ちするまで質問を繰り返す
②寿命がある
コンセプト次第だが、寿命の長さで良し悪しが決まるわけではない
AKB48「会いに行けるアイドル」:流行りものは寿命が短い、大衆が飽きてしまうから
とらや「おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く」:寿命長い、サービス業は何でもない当たり前のことを徹底できるか
③決断に左右される
・機能させるためには「コンセプトをコンセプトとして扱うことを決める」
・リーダーが決断する、決断がコンセプトに命を吹き込む
第4章:準備 ~現在地把握・資産棚卸~
串ダンゴ型設計図 ー(現在地)ー(資産)ー(戦略)
■「現在地」の把握:
俯瞰から接近していくイメージで、すべての外的条件を把握する作業
・時代の流れを見る:「世界」「日本」「分野(業種・業界)」
「世界と日本の10~30年先」を理解し、「分野の5~10年先」を把握
「人口動態」を見ると国の将来が見える
・事業の位置づけ、ライバル企業、可能性
・市場(新規の挑戦、成長途上、成熟市場etc…)
・PEST分析(政治的、経済的、社会的、技術的)
資料や情報を入手、出典・原典・定評のある資料元をあたる
・定評のある本を購入して読む(Amazon、Google、本屋、図書館…)
・中央省庁のHP
・経済研究所のデータ
・業界団体の統計資料
■「資産」の棚卸:
事業で活用できるすべてのもの、ライバルとの違い、数字が客観的材料に
◆ハード:経営の仕組み、生産設備、販売網、資金
◆ソフト:人材、人脈、スキル、アイディア、社風
◆お客様も大事な資産、お客様の本心・本音も資産
・ライバルを明確に定める
自社を映す鏡とし、独自性を浮かび上がらせる
一つに絞り込む(つまみ食いの真似では自身が曖昧な存在になる)
膠着状態のときには「まったく違う鏡」
・強みと弱み
競合よりも優位に立てる条件全て=相対的
数値化やデータ化して見る
SWOT分析:弱みを変えるのではなく「強みを活かす」視点でコンセプトをつくる
「(他社が)真似できるけど、真似したくない」ものが最高の強み
・お客様
「お客様にすると決めた人たち」
物理的な条件(性別、年齢、居住地域、職業、収入、等)
性向的な条件(ライフスタイル、嗜好性、態度、等)
・ペルソナ
抽象的な存在ではなく、個別に存在している
プロファイルを作る、詳細につくり込みすぎない
思考実験としてザックリ扱っておくのがコツ
・インサイト
ユーザーの心の奥にある本音・本心
定量調査・定性調査でも出てこない無自覚な本音には観察
自分を対象に7つのネガティブ「不」、3つのポジティブ「つい」「なんとなく」「いいね」を探す
■「戦略」:
「現在地」「資産」がつくられたらコンセプトの串を通し、最後に「戦略」を作る
※戦略の作り方の解説本ではないので、良い戦略とは何かだけ
⇒困難な課題に真正面から取り組む戦略が良いもの
■すべてをまとめて資料化
①【現在地】世界/日本/分野
②【資産】競合/強みと弱み
③【資産】顧客像
A4用紙3枚、文字数を減らし知らない人がサッと読んでも理解できる内容に
第5章:つくり方
■改めてコンセプトとは
・発見するもの
タニタ「『はかる』を通して、世界の人々の健康づくりに貢献します。」
掘り下げていって得た気づきがコンセプトの発見につながる
・わかりやすく明解
とらや「おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く」
コンセプトもどき=自分たちの売りやセールスポイントを列挙、本質とつながっていない「ゆるい概念と言葉」
奇をてらう必要はなく誰にでも意味の分かる明解さが必要
・できるだけ短く
明治大学ラグビー部「前へ」
核心を突いたものなら短ければ短いほどいい、できれば20文字以内
記憶に残ってこそ力を発揮するから
■9ステップ
ヒント採集会議(ブレスト)を行う
ブレストのルール・アイデア
・否定禁止
・あだ名で呼び合う
・いつもと違う場所
・お菓子や飲み物もたっぷり用意
・リラックスした環境で
ステップ1:ゴール、強み弱み、必然性、解決、喜びをあぶりだす
「私たちのゴールはどこだろう?」
「私たちの強みは他にないのだろうか?」
「私たちの弱みは他にないのだろうか?」
「なぜ私たちが、それを、やらねばならないのだろう?」
「それは、そもそも何を解決しているのだろう?」
「それは、どんな喜びをみんなにもたらすのだろう?」
⇒それぞれ「本当に?」「なぜ?」で逆質問、ふるいにかける
思考のクセ、思い込みや傾向、確信をあぶりだす、必要だと思われる答えだけを拾っていく
ステップ2:ポジショニング・マップをつくる
もっとも価値が作れそうな強み2つを軸の切り口とする
ゴールを前提に、複数のマップを作成して比較検討する
ステップ3:価値観マップをつくる
ここまでに出たキーワードをピックアップし、グルーピングする
グループの垣根を越えて大事だと思えるものを3~5個選ぶ
⇒ゆずれない価値
ステップ4:自己規定
どんな事業か、自らのポジションを短い言葉で言い切る
私たちは「 」である。
競合の特長を徹底的にネガティブに読み替えると自社の強みが明確になる
コンセプトとして使えそうなら、4つの働きと1つの性質(寿命、決断については不要)を持っているかチェック
何かが足りない場合は次のステップへ
ステップ5:コンセプトの3種類
①HOW型
どうやるのか、方法論を突き詰めたコンセプト
②CHANGE型
市場のルールを変え、市場や製品の意味合いまで変える
③BEING型
どう在るべきか、存在論を突き詰めたコンセプト
ステップ6:ストーリーを描く
何を達成したいのか、そのビジョンやイメージを200字以内で「土台となる文」をつくる
・誰の【顧客】
・どんなニーズに【市場】
・何を【商品、サービス】
・どのような形で【ビジネスアイデア】
ここまでの資料は見ないでつくる(出てこないものは不要な可能性が高い)
コンセプトの種類も意識しながら
ステップ7:要素を抽出して組み合わせる
「土台となる文」から素材となりそうなセンテンスを3~4つ取り出し優先順位をつける
不要なものから捨てて20文字以内に
ステップ8:新しい価値を導く、他己規定
自己規定から解釈を顧客の目線で解釈をし直し、別レベルの概念で導き出す
「(商品やサービス)」は顧客にとって「 」である。
・広く捉え直し再解釈する
・特定機能に焦点を当て捉え直し再解釈する
ステップ9:クリエイティブ・ジャンプ
唸りながら考えるしかない!(読めば必ずできるようになる本は存在しないはず)量を出す、量が質を生む
・連想マップ・マインドマップでイメージを広げる
・ビジュアル化してキャッチをつける(架空のポスターなど)
・違うジャンルのものに例える
・極端にする
・要らないものを捨てる
★ロジカルに考える!
クリエイティブなアイデアや言葉は、論理を積み上げた先にしか生まれない
左脳⇒右脳⇒左脳
第6章:使い方
浸透させて、どう使って、どう結果を出すかの方法論
人は認識⇒理解⇒納得⇒行動というステップを踏む
■プレゼンは1分で
短い起承転結、夢を抱かせる
起:どんなコンセプトか、結論を言う
承:コンセプトが成立する背景
転:実現しようとする目指すビジョン
結:何を叶えるのか、どのような未来が開けるのか
■目標設定
・「具体的」で「実行可能な目標」を設定
・目標はせいぜい2つ、複数ある場合は優先度をつける
・チームや個人の目標は「もっとも変化してほしいもの」、各自の行動改善によって達成でき変化が目に見えるもの
・期限を決める
■仕組みを作る
・状況を把握できないことから不安が発生する
⇒徹底した情報開示、スタッフ同士が自由に議論できる仕組み・土壌をつくる
・多くの回路で共有(名刺、PC起動時、カードで携帯、ポスター、ショートムービー…)
・誰もが組織が目指すところを語れるようになることを目指す
■自分事化する
・コンセプトによる目標達成は個人の目標達成であり自己実現である、と考えられる状態
・目標達成を管理するのでなく、スタッフのモチベーションが高まるように体制をつくる
・自発的な創意工夫がコンセプトの実現に役立つ
■マネジメントで重要なこと
タコツボ化:他部門とのコミュニケーションやつながりが切れてしまうこと
⇒自分たち以外に責任転嫁する風潮を生む
・問題の根源を見極める:大きな視点からパーソナルな視点まで、外部の視点も必要
・やるべきことの優先順位を正しく設定する:トップダウンで行う。実行責任・結果責任は決定権者がとる、全スタッフに開示
■実行⇒結果確認
・評価の指標は結果のみ、達成度合いの計測は数字
・到達しても結果が上回っても原因を特定する⇒改善検討、ノウハウ蓄積
・全員に隠さず開示
■コンセプトの効力
・ビジネス効率が大幅にアップ
・自律性・自立性が出て組織が活性化
・開かれた組織・風通しの良い組織となり人材が活性化
・組織の独自性を印象づける、優秀な人材が採用しやすくなる
経営幹部にとって
・意思決定が楽に、経営に一貫性・継続性が生まれる
・課題解決も自動的に進む
・「違い」をつくることが可能に
・企業や商品のブランド化を促進
おわりに:これからのコンセプト
「投票的消費」価値観を広げたり、シンパシーを感じるものにお金を投じる
「体験の質」こそが問われていく
所感
・無印良品のこと
無印良品の大ファンでありながら、そのコンセプトや向かう方向については意識せずに消費者として関わっていました。しかし本書で解説していただいてそのコンセプトを理解すると、なぜ自分がファンなのか、とても腑に落ちる感覚がありました。シンプルでありながら誠実さを感じるその一言一句に心が震えました。
・共感したこと
終盤にこれからどんなコンセプトが求められていくのか、について触れられています。そこで書かれている内容は、まさに自分がお金を払う時の感覚を明快に分析してくださっており、こちらも腹落ちする感覚と、自分もそのような形で人の心を動かしたい、と強く思いました。
・論理的って大事
クリエイティブな仕事をしていた身でも、「論理的であること」の必要性を疑いたくなる場面も多々見てきたように思います。しかし筆者の方はこの点について強く主張しており、「そうですよね!」と目が覚める感覚でした。
自分自身、ロジカルシンキングが得意ではない気もしており、これからコンセプトを考えていくにあたって、強化していきたいなと思います。
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今回はこれで以上です!
冒頭にも書いたきっかけのおかげで、わかりやすくまとめたい!という思いからとても長くなってしまいました。
それでは今日もおつかれさまでした。
明日は金曜ですね。
明日も自分を大切に、元気に過ごしましょう!
~読書記録をマガジンにまとめてみています!~https://note.com/natsumi_suwabe/m/me91dcf0d980c
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