言いわけ上手は生きかた上手
小さいとき「言いわけするな」と言われた。
過ちや間違いは素直に認めるのが潔い、と教えられた。
いわゆる言いわけがましい人を見ては「何で言いわけするんだろう。言いわけすることに何の意味があるんだろう」と思っていた。
言いわけすることが良くないこととして教わったわたしにとっては、言いわけすることが自分の価値をあえて下げるような行動に見えた。
最近になって、年上の女性が「間違えちゃった〜、でも見えなかったから仕方ないわ〜」と独り言を言っているのを聞いた。
それがあまりにも可愛らしくて、こんな言いわけならいいなと思った。
どういう状況だったのか詳細はわからないけれど、わたしには、その女性が「人間だもの、間違いはあるから仕方ないわ〜」と言ってるように聞こえたのだ。「小さなことは気にしない、気にしない」と。
他の人に向かって自分は本当はもっとできると誇示するための言いわけとは違う、自分の小さな間違いを許す言いわけ。
自分の間違いを丁寧にひとつずつ自責するよりも、自分を許すほうがいい。
もちろん何か大切なことを間違えてしまったら言いわけせずに真摯に向き合う必要があると思うけれど、取るに足らない日々の小さな間違いについて自分で自分を責める必要はない。
そのつど言いわけをうまく使い分けることが、不必要に自分を責めず、自分を大切にすることにつながる。
つまり、言いわけ上手は生きかた上手。
その一言を聞いて、そんなふうに気づいた。
そうしたら、言いわけが前より好きになった。
もしかしたら、言いわけしてる人のことも、前より好きになれるかもしれない。
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