OTA INLAND BEACH 2023
昨日は太田市美術館・図書館と太田駅北口エリアで開催された、OTA INLAND BEACH 2023へ。
海のない街に妄想ビーチをつくるという、なかなか攻めたコンセプト。入場料無料(ライブは事前登録制)というのがまた面白い。
美術館脇の屋外物販・フードエリアは小さいながら、テントつきの休憩席も設けられていた。駅ロータリーを挟んで移動式屋台が幾つか出ていたが、そちらも休憩席がある。マンゴースムージーの冷たさがうれしい。ラタトゥイユ風カレーも美味しかった。
会場は美術館と図書館の併設で、読書と美術展も同時に利用できる。暑いのでテラスのDJイベントと館内を交互に行き来し、楽しみながら体力を温存した。
村野藤吾賞やBCS賞などを受賞した建物は美しく連なりを感じるデザイン。内装はシンプルな色使いながら複雑。全体的に直線を活かして魅せるつくり。置かれたソファや椅子や緩やかな傾斜など随所にこだわりが見える。5つの箱が繋がれ、その中をうろうろとするのが楽しい。
建築系雑誌とアート系雑誌から菊竹清訓「山陰と建築」を読み、中村節也展「リンゴは卓上に、魚は水中に、家は地上に」へ。普段ならあまり観ない作風だが、これが頗る良かった。まさに絵は愛なり。
ライブエリア解禁前に行われたゆnovationの鍵ハモ+DJプレイがとても斬新で楽しい。流行れ鍵ハモ。
B.LEAGUE所属プロバスケットボールチーム「群馬クレインサンダーズ」のマスコットキャラクターが現れて踊るわ踊るわ、ムーンウォークまで。キレッキレだ。
ライブはまだ日差しのある18時開始予定だが、入場がリハーサルのため少し押した。
ラインナップはSUKISHAさん、ポセイドン・石川さん、さらささんの3組。並んだのが早かったため最前列。
SUKISHAさん、ボーカル・キーボードに加えてギターとベースとフィンガードラムを自在に操るステージ。甘い声に繰り出す鍵盤のフレーズ、リズム・・・・・・とにかく格好いい。途中、借り物ベースのストラップが外れてしまうアクシデントがあったが、即座に対応されていて演奏に影響なし。
「よく機材トラブルに恵まれて」
というMCも飛び出す余裕が素敵だ。
ポセイドン・石川さん、達郎さんへの溢れる愛でデビューした元ジャズ畑の異才。にんじゃりばんばん御大バージョンで原曲のポテンシャルをまさかの再認識。御大よりも少しエッジィな声質、コーラスワークの寄せ方にニヤリとしてしまう。
オリジナル曲もいい。オーディエンスから歓声が飛んでいた。
この日トリはさらささんSolo set、「ネイルの島」「Amber」「Vergo」を含むセットリストがとてもいい。開催地とは縁があるとのことで、あたたかい空気が流れる。ここ最近つらいことが続いたとのことだが、それも光を溜める時間という言葉が印象的だった。
吹いてきたぬるい夜風に独特のブルージーな歌声が乗って、闇に溶けていく。心地良い時間だった。
エキセントリックでゆるくて和む、不思議なイベント。駅前のスピーカーから流れる波音。あるはずのない海を目指して、老いも若きもなんにも関係なく音に集まり揺れて。
なんだか、ちょっと小説の中に迷い込んだようだった。
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なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」