不動産の電子契約解禁で何が変わる? 〜本格始動する、不動産DX〜
こんにちは、不動産特化SaaSのマーケティングをやっているなつめ(natsume_1231)です。
本日2022年5月18日、不動産取引の電子化が解禁されました。
すっごく簡単にいうと、これまで「紙での契約が義務付けられていた不動産の賃貸・売買契約が、電子契約でできるようになったよ」ということです。
この電子取引に向けた社会実験開始の3年前から、不動産の電子契約普及に携わっていた私としては、とっても感慨深い気持ちで今日をこの日を迎えております。
とはいえ、電子契約が解禁されて何か大きく変わるの?
というご意見もあるかなと思うので、toB(特に売買仲介の不動産会社)の目線で、近い未来に何が起こるのかをまとめたいなと思います。
電子契約の普及で何が起こるのか?
スマホ登場による本格的なIT普及が始まった10年前から、不動産業界ではポータルサイト・Web広告を皮切りに早くからデジタル化が進んでいました。今でも自社サイトの構築やSEO対策、SNSなど集客分野では最新のネット情報に敏感な方が多く「アナログ」という言葉が見つからないくらい、むしろデジタル意識が高いと感じています。
しかし反響獲得後の実務において、
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ネット反響はエクセル、店舗来店は紙での管理etc…
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顧客管理が煩雑化、もはや管理しない・諦める
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売上につながりそうな顧客を感覚的に見つけて優先対応
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営業担当が属人的な営業で成約まで対応
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契約業務や業者間のやりとりは基本的に紙コミュニケーション
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と、あれよあれよとアナログ世界に移行しているといった状況がまだ強く残っているのが正直なところかと思います。
なぜこの10年、実務のデジタル化が進みづらかったのか?
その要因の1つに、宅建業法による契約書類の「書面交付の義務」にあったと考えています。
要は、最終着地の契約業務が「紙でのアナログ対応」をせざるを得なかった状況であり、世の中のIT化が進む中で、その必要性が他業界と比較して緩やかになってしまったのではないかということです。
私も少し前に賃貸での住み替え引越しをしたのですが、契約の際に複写用のカーボン紙が登場した時にはさすがにびっくりしてしまいました😮(若い子は使い方わかるのかな?😇)
令和の時代に、そんな昭和の時代の香りを感じてしまう不動産取引が成り立ってしまったりするわけです。
買主から高まる、電子契約需要
物件購入のメイン顧客層である30代は、IT成長と共に人生を歩んできたミレニアル世代。同時に不安定な時代を過ごしてきたため、あらゆる意思決定に関して慎重・安定思考の効率主義であると言われています。
具体的に言えば、シャンプーであっても実店舗ではなくネットショップを選び、「購入ボタン」を押すまでには、あらゆるネットショップサイトでシャンプーカテゴリーの商品を検索し、その口コミ評価を確認。口コミ評価で一番高かった商品を、一番最安値で売っているネットサイトで購入をする…といった労力を当たり前のようにする世代なのです。(もれなく私もその一人です)
こういった顧客ターゲット像の特徴により、検討初期顧客からのネット反響が増加。成約までのリードタイムが長期化しているのも昨今の不動産会社の悩みの1つでもあります。
そんなミレニアム世代とって、契約締結の効率化・印紙代削減が図れる電子契約の選択肢が増えるのは大変魅力的であり、実店舗ではなくネットショップを選択するように「当たり前」として選択をしてくることでしょう。
そうなると「電子契約の選択肢が選べない不動産会社が選ばれない」という現象が起き、不動産会社では契約業務の電子化が急務になるのです。
電子契約の需要が増加すると、
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顧客情報のデータ化の重要性が高まる
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集客から契約まで、顧客情報・物件情報の一気通貫のデジタル管理せざるをえなくなる
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集客から契約までの実務をデジタル対応せざるをえなくなる
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といった、いわゆるDX化が進んでいくと予測しています。
実務の入口である集客と出口である契約がデジタル化されることで、間の実務も全てオセロを返すようにデジタル(特にSaaS)導入せざるを得なくなるということです。
売買契約の電子締結 第一号
本日、電子契約解禁の0時ちょうどに売買契約の電子締結が行われるとのことで、歴史的瞬間を目に焼き付けようと現場にお邪魔しました。
買主さまは、今回初めての物件購入だったそうですが、紙での契約がどんなものかむしろ知らないため、電子契約でもまったく違和感がなかったそうです。
不動産の電子契約解禁は、エンドのお客様に大きなインパクトを与え、電子契約が社会的にもより身近なものへとなっていくことでしょう。
コロナ禍により世の中のデジタル化が加速しましたが、不動産業界においてはコロナ禍よりも強いインパクトがまさに今日からのタイミングです。
不動産業界のDX化を推進する立場として、不動産事会社の皆様・エンドのお客様をよりよい取引環境に誘えるように、引き続き精進していく次第です。