Timer 世界の秘密と光の見つけ方 白石一文著 を読んで
生と死をテーマにしたSFということでいいのかな。
”Timer”を装着すると89歳まで健康に生きられる。(89歳になると死ぬ)若さ維持にも効果絶大。つけてもつけなくてもいいが、付けられる年齢は決まっている。
噂では、Timerの外し屋がいて、89歳までと言う時限設定が解除でき、その解除が成功すると200年、300年と生きられるらしい。
もうすぐ89歳を迎えるカヤコは、その外し屋について興味を持ち、調査を始める。
彼女の夫は、この物語の語り手であり、Timerを着用しておらず、認知症が始まっている。前妻にヒロコは、26歳で病死している。
物語は、抽象的な進み方をする。
この世界は「本当に親しい者の死」と「自分自身の死」で構成されている。
この世界は揺れる一つひとつのゴンドラ。
この世界には私しかいない。
この世界は、あなた自身がすべてを作り出したものなのだ。
分かりそうでわからない。でも、誰もが考えたことがある世界の不思議、自分という存在。
その部分に触れる不思議な読書体験。なんか好き。