難問の多い料理店 結城真一郎著 を読んで
『転んでもただでは起きないふわ玉豆苗スープ事件』をはじめとする6編の短編ミステリ。
異色の探偵は、”ゴーストレストラン”のシェフ。美しい容姿にマジックミラーのような無機質な瞳でどんな難問でも解いてしまう。
探偵の助手?は、ビーバーイーツの配達員。「もし、口外したら、命はない」とシェフに言われるが、報酬につられて調査を手伝う。
この物語の魅力は、何といっても探偵のシェフの手腕とミステリアスさ。安楽椅子探偵のように配達員の調査内容から推理して謎を解く様子がお見事。
そして、この小説の肝はニーチェの言葉
『事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである』だ。
シェフが、どのように客の好みに合わせて謎を調理していくかが面白いし、怖い。
何事にも容赦ないシェフの時々見せる優しさ、そして何もかもお見通しの恐ろしさがいいバランスで魅力的だ。
これは、シリーズ化したら次も買います。
『#真相をお話します』より断然好みでした。