翼を持つ2頭の馬の役目は? ~タルクィニア②~
今にもブルルルルと鳴き声が聞こえてきそうな膨らんだ鼻孔。噛み締めた口。揺れるたてがみ。引き締まった胸と体の筋肉。そして背中には翼。
この生命力あふれる2頭の翼を持った馬ペガサスのテラコッタ製レリーフは、古代エトルリアの都市タルクィニアのアクロポリス「女王の祭壇」の地中3メートルで100片の破片の状態でみつかりました。紀元前5世紀終わりから4世紀初めの作品と考えられており、高さ1.15m、幅1.25m。現在は国立タルクィニア博物館に展示されています。
馬の翼と背中の間のテラコッタの板の角度から、このレリーフは、神殿の正面、円柱に支えられていた三角形の屋根の左下の角に飾られていたと考えられています。また、当時使われていた青銅の釘もみつかり、それぞれつけられていた穴に再びとりつけられました。また、ペガサスには二輪馬車の轅がとりつけられていますが、残念ながら馬車の方は見つかっていません。
紀元前8世紀より交流のあったギリシャの文明の影響を大きく受けているエトルリアの芸術。ギリシャ神話によると、海神ポセイドーンとメドゥーサの間に生まれたペガサス。そして、雷神ゼウスの雷鳴と稲妻の運び役でもありました。
エトルリア人にとってとても重要な稲妻。天の光である雷光を受けた大地は、光の石を授かると考ていました。光の石とは、鉱石や宝石などエトルリアの経済に欠かせないものでした。
また、野生的、動物的な性質から、スピリチュアルで神的な性質への変化のシンボルであるペガソスは、魂を天の世界へ導く役割も果たしていました。
ペガサスが今にも舞い降りそうな丘の上に、エトルリア人は神殿を建て、天からの指示を仰ぎながら、大地を敬い、天国でも地獄でもない生の次にあるステップを恐れることなく生きていたのかと想像がふくらみます。。。
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