イタリアの伝統仮面演劇コンメディア・デッラルテは、生まれた時代やお面を使う喜劇である等の共通点があるため、日本の伝統芸能狂言としばしば比較されます。しかしながら、狂言はその起源から途切れることなく受け継がれてきたのに対し、コンメディア・デッラルテは20世紀初期に復活するまで、100年程上演されない時代がありました。そのため、様式化された狂言に比べ、コンメディア・デッラルテには、生きたパフォーマンスのエネルギーがあり、知識がなくても現在見て楽しめることが特徴です。
そんな、コンメディア・デッラルテのテクニックを使って現在のイタリアの時事問題を語るイタリア人舞台俳優の動画紹介第2弾!
トロイア戦争に登場するラオコーンは、トロイアの神官。ギリシア人が置いていった木馬をトロイアに持ち込もうとする市民をいさめました。しかしながら、ラオコーンは、この戦争でギリシア側についていた女神アテナの怒りをかい、息子二人とともに蛇に食べられてしまいます。(蛇を送ってラーオコオーン親子を殺させたのはポセイドーンないしアポローンだともいわれる)
ヴァチカン美術館に収められているローマ時代につくられたラオコーンの彫像でも有名です。
パンタローネは、第1弾に続きトロイア戦争を取り上げ現在の問題を語ります。今回もトロイの木馬をウクライナにたとえています。この戦争においてラオコーンのように真実を伝えようとする者は、まるで蛇のとぐろのようなマスメディアのネットワークに飲み込まれます。
もちろん、ウクライナの悲惨な現状を語るマスメディアが嘘を語っているわけではありません。でも、その情報に惑わされ、同情しただけでウクライナに支援し続けることは、トロイの木馬を城壁内に入れることと同じになるのではと語っているのです。
平和への道筋は見えず、停戦交渉は再開されていません。そして、アメリカに押しつぶされ続けるヨーロッパ側からの政治的、外交的提案もだされていません。
しかしながら、イタリアで2月に行われたサンレモ音楽祭(視聴率50%を誇る国民的音楽祭、日本の紅白歌合戦のような番組)に予定されていたウクライナのゼレンスキー大統領のビデオ演説は世論の大反対を受け中止になりました。
国民が、現状を把握し始めていることに少しの希望が見えます。そして、世論によって、メディアの意向を変更することができたことは素晴らしいことと思います。
この地獄のような戦いを終わらすのは、アメリカが先導するように武器を提供することではなく、政治、外交による提議であることをヨーロッパや日本が示してほしいです。
イタリアのコンメディア・デッラルテについて:
コンメディア・デッラルテのメインキャラクター、パンタローネについて
及びトロイア戦争第1弾はこちら: