マッサージ屋めぐり珍道中
筋金入りの肩コリ体質である。幼少期からセルフマッサージをしてきたし、
アイドルとしてAKB劇場で連日パフォーマンスをしていた時期に、あらゆるマッサージ店を渡り歩いたので「施術される側」としてのセンスが培われた。
あらゆるマッサージを受け続けていて感じるのは【施術者側のやる気の有無と技術力が比例しない】ということ。
タイの街中の外れにある目も合わない“超塩対応”の店員さんが神ワザを連発してくることもあるし、感じのよい接客に反して、施術終了まで「?」マークが消えないところもある。
もちろんホスピタリティと技術力の両面で優れているに越したことはなく、そういう貴重な店には足繁く通うようにしているが、
出張先や時間に余裕がないときは新規の店の門をドキドキしながらくぐることになる。
店構えの雰囲気・価格・クチコミの良し悪しも、サービスの満足度に比例しないことが多い。
マッサージに関しては果敢に試行錯誤してゆくことでしか、運命の店には巡り会えない。
人間の手、あるいは器具を用いて他者の疲れを低減してくれるマッサージに携わる方々に対して、尊敬しているしいつも感謝をしている。
なお、わたしは俳優・タレント業をしているが、空き時間や楽屋で共演者の方たちと“おすすめのマッサージ店”について雑談することが多い。
身体が資本の芸能界では重要な情報交換となる。
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指圧・オイル・足ツボ・針・整体、なんでも試すが、
印象深いのは“雷が落ちた木で造られた木づち”で筋肉をリズミカルに叩いてゆくタイの民間医療の「トークセン」だ。
その日の体調によって、木づちと身体が触れ合う瞬間の音が微妙に変わるのが不思議であった。
足ツボのようなスカッとする感覚は薄めだが、ズレまくっていたはずの骨の位置が整ってゆく快適な感じと、心身の気力が蘇っていくのを感じた。
またタイピングでの疲労が気になっていた先日。
身体だけでなく手・腕まわりのツボを中心に指圧してくれる店に偶然遭遇したので入ってみると、
施術開始後まもなく『わたし、手と腕を触らせていただくとお客様の性格がわかっちゃうんですよ』と三十代とおぼしき女性店員からねっとりと微笑まれた。
雑談したくない気分ではあったが、期待には応えたいタイプなので一応『わたしの性格ってどんな感じですか?』と問うと、
『ものすごく頑張り屋さんですね。常に周囲に気を張っているのが伝わってきます。もっと気負わずお仕事できるといいですね』
とのこと。
ぜんぶの星占いを煮詰めたような答えなんか〜い!
最適なラリーが思い付かず『あ〜そうかもしれないですね…』と返し、しばらくしてから寝たふりをしてしまった。なんだか申し訳ない。
けれどマッサージヲタクとしてはこんな出会いもまた醍醐味のひとつだ。
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個室の場合、わたしは結構、「うおぉ」とか「お、おぅ・・そこです!」といった具合に随所でリアクションをとることが多い。
そもそものコリが激しく、声が出ざるを得ないのだけれど、施術の指針になるかもしれないという気持ちもあり、美容院のシャンプー時でも心地よいと思わず声がでてしまう。
それに反して、夫と並んでペアで施術を受ける際。
身悶えるわたしの横で、夫はいつも微動だにしない。されるがままに揉みしだかれ、声もださない。
終了後、「気持ちよさそうに寝ていたね」と声をかけると、「いや、起きてたよ。疲れがとれた」と涼しげな表情で返してくる。
どんだけクールなんか〜い!
【マッサージ中に声をあげるかあげないか】も流派が大きく別れるところだ。
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