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洋書「深読」のススメ

「本の内容を自分のものにするには「深読」をしよう」というお話です。

議論ができる水準で読んで自分のものにする

私は、洋書を読んで英語でディスカッションをするブッククラブプログラムをサービスとして提供しており、毎週50〜80ページほどのリーディング課題を出しているのですが、受講生の皆様には、「課題ページに関して著者のメッセージが何かを理解し、ディスカッションができると思えるように読んできてほしい」とお伝えしています。これを達成するために、精読をした方が良ければそうしたらいいし、速読をして全体像を把握して後から興味深い部分だけ詳細を読む、という読み方をしてもいい。読み進め方は自由ですが、とにかく、読んだ後に心が動かされた状態になっていただきたい。アウトプットとしては、「感想が言える」「疑問が生まれて仲間に投げかけられる」といったような具合です。

なぜ私がこのような読み方を進めているかというと、アメリカ大学時代の経験があるからです。このような読み方をすることで、読解、発言力、内容の定着具合が飛躍的に向上したと思っています。(詳細はこちらのnoteをご覧ください→「私が海外大の授業みたいなBook Club Programの企画に至ったわけ」)

樺沢紫苑著「読書脳:AI時代こそ、読解力で差がつく!」によれば、読書を自分の成長につなげるには、アウトプットができなくては意味がないと述べています。自分の意見が言えたり議論ができなくては、100冊読んでも成長につながらないとのことです。これには大いに納得しました。

本を読むメリットは沢山ありますが、読んだ内容が血となり肉となり、自分の考えや行動に影響をもたらすことがその一つとして挙げられるでしょう。
英語を母語としない私たちが洋書を読むメリットは沢山ありますが、言語は何であれ、最終的に内容が私たちの心を動かし、考えや行動にインパクトを与えることを期待しているはずです。

これを実現するには、読んだ内容を自分なりに咀嚼し、アウトプットができることが鍵ではないでしょうか。

著者は、自分の意見を述べたり議論ができる水準で読むことを、「深読」と表現しています。私もこの「深読」を皆さんにおすすめします。

「深読」は「精読」とイコールではない

深く読むには、精読しないといけないように思うかもしれませんが、そうでもありません。

洋書を精読するというと、一語一句、母語の日本語で正しいニュアンスを確実に理解しながら読み進める、といった具合でしょうか。文化的背景がないとはっきり理解できないパッセージがあれば、文化的な背景を検索してきっちりと理解しながら読み進めるなども精読と言えるかもしれません。

もちろん、細部まで読み込めている事はとても良い事だと思いますが、「深読」のフォーカスは、心が動かされ、アウトプットができることにあります。つまり、著者の真のメッセージを理解し、自分としてどう考えるかをアウトプットできることです。一語一句理解できていても、心が動かされていなければ「深読」できているとは言えません。一方、人によっては精読しなければメッセージを理解できない人もいるかもしれません。精読せずとも、メッセージを理解し、自分の考えが溢れてくる人もいるかもしれません。

読み方は、ご自分のやり方でOK。繰り返しになりますが、自分の意見を述べたり議論ができる水準で読むこと、それが「深読」です。洋書だと言語のハードルがあり、英語を解読することに集中しがちですが、是非、自分にあったレベルの洋書と出会っていただき、「深読」を通じて、著者のメッセージから大きな学びを得ていただきたいと願っています。


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