育児・介護休業法の改正法の施行に期待!
これまでにも度々なされてきた育児・介護休業法の改正ですが、2022年4月1日と同10月1日の2段階に分けて施行される今回の改正には、是非その効果を期待したいですね。
今回の法改正の期待するポイント
特に、4月に施行される内容のポイントは、育児休業等に関する「個別周知」と「意向確認」が企業側に義務付けられる点です。
つまり、従業員またはその配偶者が妊娠または出産した際、企業側は従業員とその従業員に対して、「育児休業等に関する制度について個別に周知」して、「育児休業等の申出に関する意向を確認」をしなければならなくなる訳ですよね。
これまで、制度上は育休が取れる事になっていた場合でも、次のような理由で休暇が取得しにくい状況や環境が多かったのが現状だと思います。
育児・介護休業が取得しづらい原因
◎担当する業務内容や人数等の関係で取得しにくい。(周囲に迷惑をかけられないという気持ち)
◎上司や同僚はじめ育休への理解が低く取得しにくい。(職場の空気的)
◎仕事に復帰できるか不安。(別の担当や人員補充により居場所が無くなっている等)
◎収入の減少。
などなど。
今回の義務化により、育休取得は自発的な申請だけではなく、(少なくとも建前上は)会社側から働きかけなくてはならなくなるし、また対応が迫られる事で嫌でも同法や制度への認知度も変わるだろうし、会社が変われば職場の人間の認識や空気も軟化する事が期待されます。
男性労働者の育児休業取得率
ちなみに、厚労省の平成30年(2018年)の調査結果によれば、男性労働者の育児休業取得率は以下の通りです。
【育児休業取得者の割合】
女性: 82.2%
男性: 6.16%
※出典:厚労省(事業所調査 結果概要)
なお、こちらにはフリーランスや個人事業主は含まれないので実際にはもう少しいると思います。
とはいえ、それにしてもめちゃめちゃ低いよね…。
ちなみに海外との育休取得率の差を見ちゃったりすると、その数字に絶望的な気持ちにさせられますが、日本の現状の異常さ?や危機感を煽るには効果的面です。(苦笑)
【諸外国における育児休業制度等の取得率】
(※2007年)
ノルウェー:89%
スウェーデン:78%
オランダ:18%
ドイツ:18.5%
イギリス:12%
日本:1.6%
※出典:厚労省(諸外国における育児休業制度等の取得率|厚生労働省(PDF資料))
外国人男性との差に関してはデータが古いけど、今の数字で見ても圧倒的ですよね。
※国によって制度の内容は違うので厳密な意味での比較や考察は出来ないと思いますが、それを補って余りあるだけの数字の差と言えますし、少なくとも「日本人男性は育児のために休業をしていない」という現状は紛れもない事実として表れているかと思います。
男性の育休取得率向上に待ったなし!
先の取得率の出典に記載したリンクを開くとそれまでの推移も確認できるのですが、平成22年が1.38%ですから、数字の小ささこそ雀の涙のようですが、これでも確実に増加傾向にはあるのは事実です。
それも、同法の施行や、2017年の改正を経て効果あってのことと思います。
そして、2021年の改正法による今年4月および10月からの施行では、更に柔軟な制度にアップデートされますので、男性が育児・介護休業等を取得しづらい労働環境が改善され、母親への育児負担の一極集中や、介護離職率の軽減や、女性の産後開けの社会復帰など、日本全体の社会の機運が良い方向に加速的に変化するのではないか(変化して欲しい)と思います。
なお、企業側にとっては改正法の対応は大変な面もあると思いますが、どうか「義務化されたから仕方なく」ではなく、従業員家庭への配慮や社会への変革や貢献に向けて是非前向き&積極的に取り組んで頂きたいなとも思います。
参考: 育児・介護休業法について|厚生労働省