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エアーズロックトレイル 8mile -5-

ウルルの朝5時、気温0℃。
オーストラリアでは7月は真冬に差し掛かる時期。寒さに凍えながらも、体温で温まったチクチクの薄っぺらいブランケットが妙に優しくて、体を包んでくれる安心感とともに4時間ほど眠ることができた。

昨夜シャワーを諦めたので、起きたら再度挑戦しようと思っていたけど、外で全裸=凍え死ぬ。という結末がありありと想像できたのでやっぱり諦めた。確認したら他の5人もシャワーを使っていなかった。全員風呂無し。大丈夫。

昨夜のカードゲームの喧騒がそのまま残るダイニングに、寝不足たちが続々と集まり出した。パンを焼いたり山盛りのシリアルを勢いよくかき込んだりと思い思いの朝食を食べてから、バスに乗り込んだ。

まだ夜明け前の5:45。これからいよいよエアーズロックで朝日を拝む。

30分ほど移動したところでバスを降りて、ガイドから一言。
「この土地はとても乾燥しているから、脱水症状にならないようにペットボトルは満タンにしておいて。汗が出なくても水分をしっかりとって。」

エアーズロックトレイルの入り口に降り立った6人。ここから約3時間、ガイドとは別行動になる。

夜明け前のエアーズロック・実物は写真よりももっと暗かった

かつてはエアーズロックに登ることもできたそうだが、今は禁止されていて、大きなこの一枚岩の周りをぐるっと歩くことができるだけ。その距離約12km。コースによって距離は多少変わるけど、私はできるだけ長く歩きたくてこのコースを選んだ。

率先して歩き始めたのはドイツの親子3人とアイルランド男性。軽快に進む姿がかっこよくて撮影したこの1枚。まるで乾いた大地の向こうに見える希望の光に向かう地球を救うヒーローズのよう!

…なんて妄想を膨らませながら、現実はただひたすら歩くのみ。寒くて肩を縮こめて朝日を待ちながらゆっくりとしっかりと進んで行った。

歩いて1時間弱、向こう側に微かに太陽が顔を出してきた。地平線はとんでもなく遠くて、その地平線と私のあいだに隔たるものは何もなくて、ただただ圧倒された。
歩きながらも地に足着いていないような。これから私はとんでもないものを目にするんじゃないかという興奮が静かに湧いてきた。

まだ朝日が昇る前のエアーズロックだけど迫力は満点

太陽はまだ顔を出していないのに、空が少しずつ明るくなってきて、エアーズロックの赤茶色が認識できるようになってきた。日の出はもうすぐ。

それから6人全員の足が止まり、私たちは目の前に昇る朝日を全身で浴びた。

背中に受けた太陽の光があたたかかった

太陽と一枚岩のあいだに私たちがいる。力強い光が私たちと岩に色をもたらす。息を飲んで、朝日がゆっくりと昇っていく光景を見つめていた。

おはよう地球

太陽の合図で地球が目を覚まし大地が動き始める、そんな原始的な感覚に陥った。不思議で幻想的で言葉にならない。
ずっと動画を回していたので写真が少ないけれど、この光景は一生忘れることはない。忘れられない。

太陽がはっきりと姿を現したのを見届けてから、私たちは再び歩き出した。
エアーズロックの周りをぐるっと歩くと、一枚岩なのにそれぞれ異なる表情があっておもしろい。

中には「sacred zone(神聖な区域)」といって神が宿ると信じられているエリアもあるので、写真撮影も禁止されている。
自然のなかの偉大な存在に神が宿ると信じていたアボリジニたち。日本にも富士山をはじめ、山、岩に神様が宿るという自然信仰の風習があるので、共通点を感じるところも多かった。

私たちはここからさらに、エアーズロックの様々な一面をたくさん見ることになる。

※たった2日間の出来事なのに、見た景色への思いや感じたことの描写に文字数がどんどん増えていき…取り留めなくここまで続けてしまいましたが、次回でようやく完結です。

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