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凍らせた帰り道、ただの妄想。

悪性リンパ腫という血液癌を発症してしまい、その治療が原因で精巣に大きなダメージを負った。精子凍結を行うも、運悪く抗がん剤治療が始まった後だったので、正常値が100とすれば3くらいしか健康な精子は残っていなかった。微量に残ってた精子は凍結できたのだが、医者からは「この量だと足りないね。数年後に復活する可能性もあるから」と悲しげな表情でフォローされた。将来はゴールデンレトリバーとペルシャ猫を飼って海辺の街で静かに暮らす未来を想像したが、病院での帰り道、ある意味コペルニクス的転回とも言える逆転の妄想が始まった。以下、記す。

【精子凍結の体験談はこちら】

・・・

〜精子の移動過程〜
数億個の精子がスタート
: 射精によって、膣内に数億個の精子が放出されます。最初の段階では、多くの精子が卵管を目指して移動を開始しますが、道中でかなりの数が脱落していきます。
子宮や卵管での障害物: 精子は膣内から子宮を経由し、卵管まで移動します。この過程で、女性の体内にある粘液や免疫システムなどの障害により、多くの精子が消滅します。
卵管膨大部への到達: 生き残った精子は卵管の膨大部(卵子がいる場所)に到達します。しかし、到達できるのは数十~数百個程度で、最終的にはたった1つの精子が卵子と結合して受精を果たします。

チャットGPT

超ざっくり言うと、参加者数億人の障害物リレーである。まずは純粋なスピード勝負を行い、数々の障害を超えて、まるで毎年西宮神社で行われる「福男選び」のように、たった一人だけが勝者となる。

デスゲーム風に例えてみよう。突然、ここがどこかも分からない黒塗りの部屋に集められた精子たち。突如、モニターに怪しげな仮面を被った人間が映し出される。奴は自らのことをゲームマスターと名乗った。壁の一面が開き、途方もない彼方まで道が続いている。

「お前たちの中から一人だけ選ばせてもらう。ルールは簡単、かけっこだ!1位以外は全員死んでもらう。位置について、ヨーイドン!!」

きっと、そんな世界観である。

ただ、これが優秀な遺伝子を決める選抜試験だとすれば、ルールが不公平な気がする。そもそも参加人数が多すぎるし、スタート位置も横並びではないだろう。ウサイン・ボルトのような圧倒的な脚力を持った遺伝子がいたとしても、スタート位置が後方であれば勝ち目はない。さらに朝の通勤ラッシュの新宿駅のように、押したりぶつかったり何でもありの環境下では、単純なパワーやスピードはあまり意味が無い。どう考えても、前方にポジションを取れた者が有利だ。つまり、この方法では「運」こそが最も勝利条件に関与していると考えられる。

確かに、運は大事だ。ひとつの選択、出会う人、住む場所、死に方、人生は全て運で出来上がっていると言っても過言ではないだろう。だがしかし、運とは全て良運とは限らない。時には、いや多くが悪運の可能性もなる。不景気は続くし、戦争も耐えない現代社会でそれを受け止めるには、強靭な精神と肉体が必要ではないのか。というかそもそも、真に実力を評価するためにはできる限り運要素を排除しなければならいのではないか。ホモサピエンスは誕生して以来、全く変わらず同じ選抜方法で子孫を残してきた。本当にこのままでいいのか?ここに、私は闘病という暇を存分に活用し、妄想という名の下、自らの境遇を肯定したいと思う。変化を恐れては進化はないのである!

・・・

現在の私の状況をもう一度おさらいする。

抗がん剤を投与→精巣にダメージ→精子の数が激減→微量の精子だけ凍結

医者からは足りないと言われたが、一応、微量の精子は残っていたし凍結はできた。それを踏まえて、以下。

デスゲーム風に例えてみよう。突然、ここがどこかも分からない黒塗りの部屋に集められた精子たち。突如、モニターに怪しげな仮面を被った人間が映し出される。奴は自らのことをゲームマスターと名乗った。壁の一面が開くことはなく、無数の噴射機が壁から出てきた。

「お前たちの中から一人だけ選ばせてもらう。そのほかは全員死んでもらおう。さっそく今から毒(抗がん剤)を撒く。何人が生き残るかな??」

きっと、基本的な選抜方法と評価軸が違う。従来のやり方が「運」要素強めなのに対し、今回のやり方は、平等に全員に対して毒を撒き、強靭な肉体と精神を評価する。

「ハア、、ハア、、生き残ったぞ、、、、」
たくさんの屍の上に立ち、生き残った者は、自らが生きている実感を噛み締めた。

「良くぞ生き残った!たくましき強者たちよ!それでは早速セカンドステージに進んでもらう。次はお前たちをマイナス196度で凍らせる!」

「!?!?!?」

「そして時が経ち、溶かす。その時に最も元気で活力に溢れている者に、最終レースへの参加券を付与しよう。まあ、ここで息絶えるものがほとんどだがな!ガッハッハ!」

そして、命からがら生き残った者たちはその場で凍らされるのであった。

・・・

いかがでしょうか。

流石に難易度ハードすぎない??毒撒かれた後に絶対零度で凍らされる、そんな参加者が一方的にやられるだけのデスゲームを私はまだ知らない。ただ、運要素を限りなく排除した、平等に実力を評価する方法であることは確かだ。どうせ1人しか選ばれないのであるから、最初の数が多かろうが少なかろうが関係ないはずである(希望的観測)。

この仕打ちを乗り越えた精子は、地球温暖化にも氷河期にも耐えうる圧倒的な肉体と、少々の経済不況になんてびくともしない強靭なメンタルを持ったスーパーマンになるはずに違いない。もしかしたら試験の過程でボロボロになって、甲子園で投げ過ぎてプロ入り後にすぐに肩を壊してしまう野球選手みたいになる可能性もあるが。

今日も妄想が止まらないな!って思いながら帰宅。

まあ、でも未来なんて分からないからさ。

良い子は犬の動画でも見て寝ましょう。ボーダーコリーも可愛いなあ。

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