#26 良質な筋トレ
風の丘ガーデンでの研修26日目。
遂に始まったカーネーションの出荷作業。
作業は至ってシンプル。約10キロほどのケースをひたすらに持ち上げ、運び続けるのだ。
思い出すのは高校生の頃の部活動。
私はラグビー部に所属していた。ガリガリの自分を変えたくて、「弱そう」と評される自分を変えたくて入部した。
練習は本当に辛かった。綺麗なタックルで相手を倒した記憶がほぼ無い。敵味方関係なく自分より大きな相手とぶつかり続ける、そんな高校3年間だった。
ラグビー部では、よく二人組になってトレーニングを行った。ボールを使った練習、ランニング、そして筋トレ。この筋トレがとにかくきつかった。自分よりも体重が重い相手を背負ったり抱っこしたりて走った。時には坂道を。この分不相応な球技に関わった日々を、今日少しばかり思い出した。
上腕二頭筋が悲鳴を上げる。
ふと見上げると、運送会社の担当者が涼しい顔でカーネーションを持ち運ぶ。
この人、見た目が反町隆史みたいだった。
若い頃絶対モテたと思う。長髪が色っぽかったし、ドカタ系の逞しさも感じられた。
ハンサムなくせに肉体も兼ね備えているだと…?
同じ男として負けてはならないと思った。故に頑張った。
それだけの話なのである。
肉体は悲鳴をあげ、日々のトレーニング不足を実感。
出荷作業はまだまだ序の口。先が思いやられる。