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息子の世界を邪魔しないために


わが家は1LDK。単身用のコンパクト1LDK。
ここにこじんまりと、夫と0歳10か月の息子、わたしの3人で暮らしている。

こんな小さな部屋なので、息子のための大型おもちゃは皆無、小さなおもちゃが少しだけ…。

だけれども、こんな家だけども、息子は、家中のものをキラキラした目で見て、さわって、ひっぱって、なめて、投げて。登って降りて、隙間に入り込んではさまって。

それはもう、全身で一心に遊んでいるのだ。
どこでも遊び場、あるものすべてが遊び道具。




わたしはこの姿を見て、日々感嘆している。


くるくるまわるおもちゃを、
指先でちょんとまわしたり、腕を振り上げて力いっぱいまわしたり、こっちまわし、反対まわし、あ、ここもまわるの? なんて、研究しているよう。

リモコンをいじっているうちに、これはテレビと関係があるという大発見をしたようだ。

ハンガー、洗濯バサミ、コロコロ。
それはあんまりきれいじゃないのよ…と止めたくもなるが、あらゆる角度から眺め、当然舐め、振り回し、日に日に動きが洗練されていくのを見ると、これも彼のだいじな仕事なのだと思う。


これらへの熱は、いつかさめてしまう。
あと数か月なのか数年なのか、今のわたしにはわからないけれど。
それまで、心ゆくまで、堪能しておくれ。





マリア・モンテッソーリは、1930年頃の講演『親より子どもがよく知っている』『子どもの秘密』で、こう言った。

みなさんが子どもにさしのべることのできる最大限の援助は、子ども特有の作業に子どもが固有の方法でとりくむための自由を提供することです。なぜなら、こういう問題については、みなさんよりも子どもの方がよく知っているからです。

わたしたちの役割は頼まれたとき援助することです。あぶなくないかぎり、子どもらしい活動や興味に干渉しないようにすれば、自然は、子どもの発達のために気をくばってくれるでしょう。


子どもは知っている。自分が今すべきことを。
今、ハンガーを隅々まで調べなければならないのだと。
それはもう、夢中になって取り組んでいる。


そんなとき、一緒に遊ばないと、とか、何か声かけしないと、とか思う。
でも、
「なにをしているの」「それはなぁに」「どうしてそれをしているの」
子どものしていることにいちいち口を挟むことは、子どもの独立心を破壊するそうな。
(ウッ……教員時代、心当たりあるなぁ…)



くるくるまわるおもちゃを研究している息子に、
「くるくるまわってるね!」
なんて話しかけは、いらないのだろう。

だって今、集中してるんだから。
くるくるまわるのその先を、研究しているんだから。

わたしは黒子に徹して安全面をチェック。
それでいいのだ。



子どもにも秘密がある。すべてを言う必要はないし、すべてを言うことなどできない。
親がすべてを知る必要もない。
この子にはもう、この子の世界がある。


小さな子どもは自分でなにがもっともよいかを知っているのです。
子どもに大人の道を教えるかわりに、子どもが自分の生き方を自分できめるために自由を与えましょう。

息子はきっと、自分の興味にまっすぐ、「子どもの道」をずんずん進んでいくだろう。

だからこれは、わたしの練習。
息子が築いていく世界を邪魔しないための。


『モンテッソーリ教育法 子どもー社会ー世界』1996年
新装改訂版が出版されています





読んでいただきありがとうございました。

最近はモンテッソーリ教育に興味があり、本を読んでいます。
学んだことをアウトプットできればと!
良ければこちらもどうぞ。



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