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【海のはじまり】特別編「恋のおしまい」:こまかすぎる感想

ドラマ「海のはじまり」の特別編として8月26日に放送された「恋のおしまい」。
思ったよりずっと「恋」で、はじまって、おわって、胸がきゅっとする物語でした。
個人的には津野くんの笑顔がたくさん観られて嬉しかったです。

今回は、特別編「恋のおしまい」について、つらつらと感想を書き綴ります。
いつも以上に情緒不安定です(笑)


番組情報

「海のはじまり」公式サイト


特別編「恋のおしまい」

朝のルーティン

朝、台所でおにぎりを握っている水季。
自分用と、海用の小さいおにぎり、それぞれ2つずつを作り終え、余ったお米を冷凍しようとサランラップを取り出すが、少し考えて、もう2つ、少しだけ微笑みながらおにぎりを握る。

同じ日の朝、自転車での通勤途中、コンビニに立ち寄る津野。
カップ麺を1つとおにぎりを2つ手に取り、レジに向かう途中、棚にならんだ「まるごとグミ」のみかん味を1つ、少しだけ微笑んで手に取り、お会計へ。

もうキュン(笑)

今回の特別編、設定は2021年ということなので本編の現在から3年前。
海ちゃんが4-5歳でまだ幼稚園、水季が図書館で働き始めてから&夏と別れてからも4-5年といったところでしょうか。
それぞれおにぎりを握ったりグミを手に取る時にほんの少しだけ微笑む表情が、とても穏やかで、誰かを想って少し心が躍る感じが伝わってきました。

コンビニで津野くんが買ったもの、カップ麺&おにぎり2つというのが、それはそれは津野くんのお昼ごはんっぽくて。
以前本編のどこかのカットでメロンパンだったかな?もお昼に食べていた気がしますが、津野くんって基本的に毎日のルーティンって決まっていそうで、食べるものも数パターンで固定、みたいなイメージがあるので、美味しそうとかそういう感情もなく思考ゼロですーっと"いつもの"ものを取っていく感じが超津野くんっぽかったです。
普通の人の朝の出勤風景なんてこんなものですよね。
こういうリアルさが良い。

その中で、水季の好きなグミを手に取る津野くん。
津野くんの日常においては異質なもの。でも、その異質さが嬉しい。
水季にとっても、いつもラップを巻いて冷凍庫へ放り込む余ったごはんをおにぎりにする時間は、いつものルーティンからは逸れるけど、ちょっと嬉しい時間。
まさに恋のはじまりですね。キュン。

この二人、というか津野くん、水季のこと絶対好きだっただろうとは思っていたけれど、本編最初の数話の内は津野くんの片想いだったのかなと思っていて、その後津野くんというキャラクターの輪郭がくっきりするにつれて、もしかしたらワンチャン本当に愛だの恋だのではなくただ水季を支えたという人物なのかもしれない、ともどこかで思うようになって。
でも、この特別編を見て、「あ、ちゃんと恋だったんだな」と感じました。

ちゃんと恋して、その恋を、はじめる前に終わりにした。
それを踏まえて本編のこれまでを振り返ると、今までの津野くんの場面ひとつひとつ全部がなんだかもう奥行き倍増しちゃってそれはそれは胸を締め付けられてしまいます。
ただでさえ毎週1話を何度か観て感想書いてあれこれ考えているうちに1週間が秒で過ぎ去ってしまうというのに、全話観直さなければいけないではないですか!!なんてこった!!!!!!!(特別編制作ありがとうございます)


靴ひも

水季、職場の図書館前に到着すると、ちょうど自転車で津野も到着。
その姿を見つけた水季は、急にしゃがみ込み、自分の左足の靴の靴紐をわざとほどいて結び直す。
歩いてきた津野がその姿に気付く。
「おはよう」と津野。「あ、おはようございます」と水季。
二人で並んで図書館へ入っていく。

「朝何食べた?」「納豆ごはん」の会話でキュンとすることあります?(最初に話す胸キュンポイント、靴ひもじゃなくて?)

少しでも津野くんと喋りたくて、わざと靴紐がほどけた演技をして待ち伏せして、一緒に並んで図書館に入っていく水季。
もう図書館の入口目の前ですよ。
ここで会えなくてもすぐに中で会えるのに、その数秒、数分でも、津野くんと話したいと思う水季。
水季、もう、それは、恋だ。
恋の仕方が中学生みたいで可愛い。初々しいですよね。

水季って、やっぱり夏くんにもこうやってちゃんと恋していたんだろうな。
自由奔放で人に合わせられないマイペースな女、みたいにしているし思われているけれど、いざ自分のこととなると結構繊細だし、乙女だし、相手にめちゃめちゃ合わせたり気を遣いすぎて遠慮したりする子ですよね。
この特別編を通じて、水季という人の輪郭もまた少しくっきりとしてきそうです。

水季が津野くんに対して敬語で、津野くんがタメ語なのも、なんかよい。
設定を確認したら津野くんって水季より5つ上でした。
職場の先輩で、年齢的にも年上で、頼れるお兄さんだったんだろうなあ。いいなあ。(漏れ出す心の声)

靴ひもといえば、本編では学生時代の水季が、夏と一緒に歩いている時に靴ひもがほどけてしまって、たたたっと自分だけ少し走って前に行き、靴ひもを結び直している間に夏が追い付くように「ゆっくり来て」なんて言っていました。
それを真似して、海ちゃんも同じようにしていましたね。
あの時も、この時も、靴ひもを結んでいる間に、好きな人を待つ水季。
早く追いついてほしくて、ドキドキしながら待ってたんだろうな。
やっぱり可愛いな。

もし私の靴ひもがほどけたら(誰も聞いてない)、相手には先に歩いていってもらって、その場で結び直してから自分が後ろから走っていって追いつくことが多いです。
もしくは、一緒にいる相手が立ち止まって待ってくれることもあるか。
水季は、相手の足を止めたくないのかな。
そして、追いかけるよりも追いついてほしい、待ちたい人なのかな。
靴ひもひとつで、妄想がはかどります。


お昼休み

図書館の受付にいる水季、「待ってるね」と子どもに本を貸し出した後、ふと近くで作業をしていた津野と目が合ってしまい、ふふっとお互い笑い合う。

なんだよ!恋かよ!!いいなあ!!!(漏れ出す心の声)
ここでの津野くんの笑い方がめっちゃ好きですありがとうございます。
あれ、私、もしかして津野くんに恋してる…?
感情が行方不明になってきました。

作業に戻った津野を水季は少し見つめて、ちょっと自制するような表情で自分も仕事に戻るんですよね。
この日の朝、既に津野くんの分のおにぎりを握ってきているわけですし、靴ひもの件もあり、水季の中ではもう確実に津野への想いは芽生えているわけで。
その想いに素直になってしまいたいという気持ちと、いやいや恋なんてしてる場合じゃないという気持ちと、その間での揺れが感じ取れるシーンでした。

その後、お昼休憩に入った水季。そこへやってきた津野。
津野は水季の前に「まるごとグミ」が置かれているのを発見し、自分のバッグの中の「まるごとグミ」を奥へ隠します。
一方水季、バッグから津野のために握ってきたおにぎりを取り出しますが、津野がカップ麺を取り出したのを見て、そのおにぎりを再び自分のバッグへ戻します。
意識していないただの同僚や友人だったら、「これ好きだよね?見つけたからあげる」とか、「ごはん余ったんでおにぎり握ったんですけど食べます?」とか、普通に言えるけれど。
ついつい身構えてしまう、この絶妙な距離感。
まるで高校生の放課後の教室かのような甘酸っぱさ。
まさに恋のはじまりですね。めちゃめちゃちゃんと月9してくれてる。

休憩室には二人きりだけれど、特に会話を交わすこともなく、津野は淡々とカップ麺にお湯を注ぎます。
この無言な感じ、特別仲が良いわけでもなく、仲が悪いわけでもない、あくまでも「職場の同僚」としての距離感。
ちなみに津野くんのカップ麺は、「名店・山森軒監修 濃厚しょうゆ」でした。(いらない情報)
わかる。津野くんはとんこつとかじゃなくてしょうゆのイメージ。(いらない見解)

冷蔵庫からコンビニおにぎり2つを取り出す津野を見て、「食べるんだ…」と思わずつぶやいた水季。
「ん?」と津野が反応するも、「いや…」とお弁当を食べ続ける水季。
からのここで!少し間を置いてから、津野くんが「南雲さんさ、なんか、どっか行きたいとことかある?」と、一歩踏み出します!!津野の男気!!

「海が水族館行きたいって言ってました」と答える水季。
「保育園の延長は?」「しないようにしてます」
「実家に預けるとかは無理じゃないんですけど」「あんま頼りたくないんだもんね」
…と、お互いちょっと探りつつ、津野くん、「じゃあ二人でどっか、なんか気晴らしっていうか」と、押します。
行け行け津野くん!GOGO津野くん!!

二人で…と頭を抱えて悩む様子の水季を見て、「一人になれるなら一人になりたいよね。いや、ごめん。また3人でどっか行こう。水族館行こう水族館。」と、ちょっとアクセルを踏んでしまった自分を自制する津野くん。
そこで水季が言います。
「ちょっと今、自制かけてて。津野さんのこと、好きになりたくないんですよ。」

水季、それはもう、告白だ。

こういうのを言えてしまう水季、ちょっと小悪魔要素があって、水季っぽい。
意外と色々と迷ったり悩んだりしつつ、その迷ってますとか悩んでますとかっていう状態をありのままにド正直に言えてしまう感じ。
それを、計算されたあざとさというよりは、「水季っぽい」と思えてしまうのは、これまで本編で積み重ねられてきた古川琴音さんの「水季」が確かに存在するからなんだろうな。
仮にですが、このシーンが本編がここまで進む前のもっともっと早い段階で描かれていたら、水季に対する反発の声(あざとい!したたか!悪い女!!とか)が大きくなって、本質に対して注目される点が逸れてしまったような気がする。
そう考えると、制作側の事情などもあったのかとは思いますが、今このタイミングでのこの特別編の放送だからこそ、すっと受け取ることが出来るような気がします。
もともと特別編は予定があって、撮影と放送を前倒ししたとかなんですかね?
特別編にまでたっぷりのこだわりと情熱が込められているようで、こんなに素敵な特別編を受け取らせていただけたことに、感謝です。

ごまかすようにおにぎりを食べる水季に津野くんがつっこみつつ、水季は一度しまったおにぎりをバッグから取り出し、「なんかおにぎり作っちゃったんですよ。食べるかもなって急に思って。」と津野に差し出します。
これを受けた時の津野くんの表情、驚きつつもときめいているのが感じられます。

いつもコンビニとかスーパーのお惣菜で済ませていそうな津野くん。
人が自分のために何かを手作りしてくれるのって、恋愛感情とか抜きにしても嬉しいことだし、その温もりを久しぶりに感じた、みたいなときめきが伝わってきました。
水季も、海以外の誰かのためにおにぎりを握るなんて、なかっただろうな。
水季が渡したのが、好きな人を想って女子が作りそうなゴリゴリの具入り本気おにぎりではなく(ゴリゴリの本気おにぎりとは?)、質素な塩むすびっていうのも、あくまでもついでですっていう自分への自制心が感じられます。

両手で大切そうにおにぎりを受け取った津野くんが、「自制って何?」とあらためて水季に聞くと、「ごはんのこと考えてる時に考えちゃう人って、あれだなあって。すでに。」と水季。
こういう言い回しが、生方さんっぽいですよね。

少し考えて、「二人でどっか」と再アタックする津野、今度は「行きます」と即答する水季。
笑い合って、津野はさきほどしまったグミを水季に渡します。
もう。まさにTHE付き合う前の両想い的な空気感。いつかの夏と海のよう。
ちなみにこの時の、水季がストックしているグミを見せようと「見て」と行った時の津野くんの「ん?」の言い方がめっちゃ好きです。(細かすぎるツボ)

津野くんが、アクセルを踏んでみつつも、あくまでも水季ファーストで思いやりつつ言葉を選んでいるようなところも、彼の優しさというか、思慮深さが感じられますね。
言葉だけ拾うとぐいぐい行っているように見えるけれど、「南雲さんが好きだ!!付き合いたい!!」みたいな自我があまり感じられないと言うか。
もう少し近づいてみたい。二人で過ごしてみたい。海ちゃんもいる今の南雲さんをまるっと支えたい、もう少しそばで。
…みたいな、そういう想いが伝わってくるようです。

そんな一連の様子を、三島は見ていた、ドアの隙間から。
少しだけ開けたドアから申し訳なさそうに、「あのー…ごめん、入っていい?ほんとごめん!私の休憩時間も限られてんだわ。ほんとごめん。マジでごめん。」と三島さんが入ってきたところ、笑いました。
ちょっと照れ臭そうに笑い合う津野と水季に、「あ、シフトの相談乗るから」と三島さん。
こうやって二人のこと、あくまでも"同僚"として、見守って見届けてきてくれたんですね。
私、「silent」の真子ちゃんが大好きだったんです。紬の親友です。
第三者の立ち位置はキープしつつ、必要なタイミングで100点満点のアシストをする子。
三島さんはちょっと真子ちゃん的な感じがあって、すごく好きです。


ペディキュアとサンダル

100円ショップで買い物中の水季と海。
海がアイシャドウを欲しがる姿を見て、「それは10年早いかなあ」と笑う水季。
この時は当たり前に10年後20年後を一緒に生きて、海ちゃんがメイクしたり恋したりする姿を当然自分は見守るのだろうと、きっと水季は思っていたはずですよね。泣けてしまいます。

ふとマニキュアを見つけた水季。
水色のマニキュアを手に取り、それを購入して、夜、ペディキュアを塗ります。
「十分十分」と、綺麗に塗った足の爪を見て笑う水季。
その翌日でしょうか。
珍しくワンピースを着て髪を下ろした水季、白色のサンダルを出して、海を預けるために実家へ向かいます。

ここ。女性が恋する感じの表現として、「ペディキュア」ってちょうどよいし、美しいし、可愛らしすぎて、素敵でした。

女性にとってペディキュアって、もちろん常にお手入れされている方もいらっしゃると思いますが、基本的に足の爪なんて人に見せないし、気を回す一番先っぽというか。
髪の毛を可愛くして、メイクをばっちりして、洋服を選んで、ネイルして、アクセサリーして。
そうやって頑張っていった最後の気配りって感じがします、ペディキュア。
ペディキュアを塗るって、ちょっと特別な感じあるんですよね。
ましてやシングルマザーの水季、ペディキュアどころかマニキュアだって塗っている余裕もなかったと思いますが、綺麗な水色のペディキュアをして、普段海と過ごす上では動きにくいし歩きにくいしで絶対選ばないであろうワンピースとサンダルを引っ張り出して。
しかもサンダル、ストラップが華奢な、女の子っぽいやつです。
いつか履くかなと思って取っておいて、ずっと出番なかったのかな?
髪も下ろして、ちょっとドキドキしながら津野くんとの「デート(仮)」に向かう、そのちょっと早くなった鼓動が伝わってくるような可愛いシーンでした。

実家に到着して海を預けた時、朱音に向って「ごめん」と申し訳なさそうに呟く水季。
朱音は水季の足元を見て、やっぱり気付きますよね。
翔平さんが何も言わないのもいい。
「お友達と?」と聞きつつ、「マスカラついてる。慣れないことするから。」と笑って水季の目元を直してあげる朱音さん。
朱音さんがお母さんで。水季が娘で。
私、なんだかここで泣いてしまいました。

「子どものこと忘れていい日もあるよ。」と言ってあげた朱音さん。
本当にいざという時しか実家に頼って来なかったであろう水季と朱音さんの間にはやっぱりきっと距離はあったのだろうけれど、一人で子どもを産んで、一人で育てる水季のこと、母親経験者である朱音さんは、その頑張りも、しんどさも、いちばんわかってあげられる存在なはずで。
そんな水季が、お友達ではない誰かと出かけること、いつだって娘の幸せを願う母親としては、水季にそういう人がいるということに否定的な気持ちを抱くことはなかったんじゃないでしょうか。
きっとこんなこと、初めででしょうし。
朱音さんの表情や言葉のかけ方が、ひとつひとつ全部 "水季のお母さん" でしかなくて、とても素敵でした。
一人の女性としての気持ちと母親としての気持ちを抱えて揺らぎ、どこか申し訳なさを拭いきれない様子の水季も含めて、まるっと朱音さんが肯定してあげている気がするシーンでした。

~金麦CM~

さきほどの実家のシーンの直後に流れた、金麦CMの特別編。
これまたよかったので、突然ここで挟みます(笑)

▼期間限定でyoutubeにて完全版が公開中!


「シフトは遅番になることが多い。家庭がある人達はみんな早番を希望するから。仕事帰りにスーパーに寄って、同じものを毎日買って、家に帰ったら本を読む。同じ毎日の繰り返し。読む本や読むページが変わるだけ。変わらない安心と、少しずつ変わっていく心地よさ。」

「サントリー金麦」×「海のはじまり」8月26日放送コラボCM完全版より


生方さんってCMまで書けるんですか…さすがすぎる…。

最初のシフトのところからもう大好きなんですが、そう、こんな風に、一人の人や子どもがいない人だって、みんなで関わり合って支え合って、みんなで命をつないで未来につないで世の中をつくっているんですよね。

直接的に子育てをしている親たちがやっぱりいちばん大変なのかもしれないけれど、この津野くんのようにシフトを考慮したり、例えばお子さんの急な体調不良などで急に休みを取る人や産休育休に入る人のフォローを職場の誰かがしていたり、翔平さんや朱音さんのようにいざという時に手助けする立場の人がいたり、保育士さんや先生だったり。
親だけが子どもを育てて命を守っているのではなくて、みんなが携わっているんですよね。
他人だって、その大切な一部で。
津野くんの存在は本編でもそうした部分を担うものですが、CMでもそれが表れていて、一気に心を掴まれました。

津野くんって、本当に言葉の通りきっと同じリズムで同じ毎日を繰り返していて、職場とスーパーと自宅くらいしか行き来していなくて、いつも同じようなものを食べてずっと本を読んでる、みたいな人だったのでしょう。
でもそれがきっと本人にとっては心地よくて。
恋人がほしいとか結婚しなきゃとかそういうものに焦るような生き方でもなさそうで、一人でいることだったり、自分が心地よくいられる暮らしを自分で選んで、それをささやかに楽しんでいるような人。
そんな日々も十分愛おしいし満足出来るものだったけれど、でもそこに、水季だったり海だったり、ちょっと変化や彩りを与えてくれる存在が現れて。
いつもの日々も、ちょっとした変化も、どっちも大切で、どっちも好き。全部自分。
そんなことが伝わってくるような、素敵なCMでした。
そしてまんまと金麦を買いました。
この物語のせいで(おかげで)、我が家には鳩サブレーとたべっこどうぶつ、金麦があります。
コロッケも先日スーパーで買って食べました。
さて、握るかな、おにぎりを。


夏が好き。海が好き。

二人でバスに乗る水季と津野。
季節の話になり、「夏好きそうだね」と言う津野に、「一番好きです」と返した水季。
何の気なしの会話だったけれど、季節の夏に夏くんが重なって、水季の「一番好きです」が、ちょっと切なく響いてしまいます。

津野の名前について、「晴れるに明るい」という漢字を知り、思わず笑う水季。
「失礼だよ。人の名前に、いくら本人が晴れやかでも明るくもないからって笑うのは。」と笑いながら言う津野と、笑いながら津野の方を軽くたたく水季。
ちょっとちょっとちょっと~!このこのこの~!うりゃうりゃうりゃ~!(ダル絡み)
このシーン、ニヤつきすぎて信じられない高さまで口角上がりながら観てしまいました。
え、きっと皆さんそうですよね?

津野くんの名前を「晴明」と決めた時に、生方さんきっとこのシーン想像されていたんだろうな。
実写化してくださりありがとうございますの気持ちでいっぱいです。
本編での津野くんの未来も、きっと晴れて明るくなりますように。

「海はサンズイの漢字一文字の海です」と言う水季に、「なんで?」と津野が聞くと、「私の"水季"って漢字が水曜日の"水"に季節の"季"で、で…」と言葉に詰まる水季。
相手が季節の「夏」だから、夏、季節、水、で、海って名付けたんだね。
海ちゃんの名前の由来。ここで知ることが出来ました。

水季、産むことを決めてすぐ、電話で夏と別れ話をした時に、母子手帳に「海」という名前を書いていました。
性別がまだわからなかったであろうこの時から、もう決めていた名前、「海」。
大好きな人、夏くんの子ども。
大好きな人、夏くんと私の子ども。
そんな想いで「海」と名付けた水季の想いが伝わってくるようです。

言葉に詰まった水季に、「あ、夏好きだから?」と津野。
この時はまだ同意書を見ていないから、相手の名前が「夏」とは知らなかった津野くん。
津野くんだって繊細ですからもしかしたら相手の名前に関わるのかなと想像したかもしれませんが、すっと津野が差し出したその言葉に対して、「海が好きだからです。」と答えて笑った水季。
ここ、今好きになりかけて自制している津野の前で、元恋人・海の父親の話をするのも…と言い淀んだ面もあり、夏くんのことをふと思い出してしまった面もあり、ですね。
そして、「海が好きだから」という水季の言葉には、夏に別れを告げた電話で言っていた「夏くんより好きな人出来た」という言葉だったり、夏くんではなく海を選んだ、だから一人で産み育てた、という理由の部分に繋がっていく言葉だったように思います。
どうして夏と海ではなく、海だけしか選べなくて、夏を選べなかったのか、それは本編で手紙など絡めてこれからはっきり明かされていくと思います。

しかし、さっきまでのイチャイチャ胸キュンな水季と津野くんのやりとりから一転、このシーンで急に押し寄せる切なさよ。
ニヤつきで口角が上がりきった状態で眉が下がるという、どんな情緒?っていう顔になっている私です。般若?
月9を観て般若顔になるなんて、後にも先にもこれっきりだと思います。


ファミレスでごはん

ファミレスにやってきた水季と津野くん。
「silent」で真子ちゃんが言っていた「好きな人とファミレスでごはんはデートだよ」の台詞が浮かびます。デートだね。

もっといい店でもよかったよと言う津野に、ファミレス確実に美味しいし、高すぎるごはんって美味しいかよくわかんないし海のこと考えちゃうと言う水季。
やっぱり水季、こんな時もお母さんで。
津野くんと二人のデート(仮)でも、海や実家に対する申し訳なさを完全に忘れてしまうほどに浮かれ切ることは出来ないんですよね。

ごはんを食べながらの二人の会話。

-南雲水季「いつもとりあえず食べ物って感じのごはんしか食べさせてないのに、自分だけ高いごはん食べるの…うん…」
-津野晴明「ごはんのこと考える時って、」
-南雲水季「好きな人直結するから。」

「恋のおしまい」より

津野くんは何を言おうとしたのでしょうか。
水季の言葉は、職場の休憩室でのごはんの話にも繋がる言葉で、ここでまた津野への遠回しな告白がされたような描かれ方だったと思います。

あと、本編で前回、夏くんと弥生さんがスーパーに行った際、自分のために夏が料理を作ってくれるのかと期待した弥生さんに対して、夏が海のための料理を作ろうとしたことですれ違ってしまったシーンがありました。
「ごはんのこと考える時って、好きな人直結するから。」
この台詞は、本編のそのシーンにも通じる台詞に聞こえますね。
夏くんが弥生さんのことをもう好きではないとか想っていないとかっていうことではなく、その時の夏くんの頭の中は海ちゃんでいっぱいで、そこに弥生さんがいなかった、というあのシーン。
水季と津野くんの恋模様における「ごはん」と、夏くんと弥生さんの間の「ごはん」。
同じごはんでも、こんなにも違う響きをするものかと、ちょっと切ない会話でした。

デザートにパフェを頼んだ水季。
高いごはんは気が引けてしまうけれど、パフェを頼んじゃうあたり、やっぱりちょっと今のこの津野くんとのファミレスが"特別"で、少し浮かれちゃう気持ちが伝わってきます。
頼んだパフェに盛り付けされたフルーツを、最後の楽しみにしようと慎重によけている水季と、それを見て笑う津野。
水季、楽しみは最後にとっておくタイプなんですね。
なんだかこれもどこかに通じていく描写になりそう。
ちなみにここで水季のパフェが完成した時の津野くんの「うひゃひゃひゃ」みたいな笑い方が、文字にすると気持ち悪いんですけど、実際すごく可愛らしくて無邪気な男の子っぽくて好きです。
あれ、私、もしかして津野くんに恋してる…?(二度目の幻覚)

「人に決められるの嫌かなと思って」と言って、この後行く場所を決めていなかった津野くん。
水季のことをわかりすぎていて、水季もちょっと嬉しそうで。
実家に頼りたくないもんねとか、水季のことを理解して尊重してあげられる。
これぞ津野くんって感じです。

スマホで水族館が近くにあることをリサーチした津野くん。
水季が海を気にしつつ「行きますか」と言った直後に、「ううん。全然行きたくない。」と言った津野くん、ここの言い方と表情がマジで津野くんで、マジで池松壮亮で、大好きです。(ついに告白)


水族館

結局プラネタリウムにやってきた二人。
うっかり眠ってしまいびくっと目覚めた水季を見て笑う津野くん。
寝てていいよと優しく言う津野くん、あれ、私、もしかして津野くんに恋し(略)

鑑賞後、朱音さんから電話が来ていたことに気付きかけ直した水季と、何事かと心配そうに見守る津野。

「なんか、海が水族館行きたいっていうから連れてくって。レストラン予約したから、夕飯外で食べさせるから水季もゆっくりしてきなって。ほら、私やっぱかみ合わないんですよね、親と。海が初めて見る本物のイルカ、一緒に見たかったんですけど。まあいっか。」

朱音さんはきっと、水季がいい感じの人とデート(仮)だということを察しているし、水季がたまには羽を伸ばしてゆっくり楽しめるようにという気遣いだったのではないかなと思います。
一方水季は、海が行きたいとずっと言っていた水族館、いつか自分が連れて行ってあげるからと、今日津野と二人で行くことは躊躇ったのに、そんな初めての水族館を、とられしまったような感覚。
もちろん朱音さんに悪意なんてないことはわかっているだろうけれど、やっぱりどこかかみ合わない。
そんな親子のもどかしい距離感と同時に、自分が自分を優先して津野と過ごしている時間が、海との時間や体験を削っているのだということも感じているような台詞でした。
「私ずっと子供の話してますよね。」とこの後に水季は謝りますが、津野さんと二人で過ごす特別な日、にも関わらず、やっぱりどうしたって海のことが頭から離れなくて、母であることが先頭に立ってしまう自分へのもどかしさも伝わってきます。

水季のこの言葉を聞いている時の津野くんの表情も、一気に曇っていて。
津野くんも同じように、自分が水季と二人の時間を過ごすことで、水季と海の親子の時間や経験を奪っているような気持ちになっているのかなと想像しました。

津野くんはすぐ「どこ行こっか。いいよ選んで。俺どこでもいいし。」と言います。
少し前に、津野くんについて「『南雲さんが好きだ!!付き合いたい!!』みたいな自我があまり感じられない」と書いたのですが、ここでの津野くんも、「水季と夕飯食べるチャンス到来!!もう1箇所行くぜ!!」みたいな自我とか自己中心的な欲が感じられなくて、水季が今抱いてしまっているであろう罪悪感とかモヤっと感を気にしつつ、気持ちを少しでも晴らしてあげるために何か出来ないかな、と思いやってあげているように感じました。
今日は水季とのデート(仮)だけど、最初に言っていたように、気晴らしになればという純粋な想いもあったんだろうな。
いい感じだけど、相手はシングルマザーで、子育ても暮らしも手一杯な人。
自分や自分たち大人だけの都合で欲望を押し通して決断を急ぐことはしない、津野らしい寄り添い方や思いやりが感じられる気がします。

虹の下

靴ひもがほどけてしまい、水季に「先行ってて」と伝えてベンチに座り結び直した津野。
先に行かず、その津野の隣に腰を下ろした水季。
ここであの日の夏くんを思い出していたのかと思うと水季切ない。

「ごめん、先行くのもあれだよね」と津野。
行動や発言のひとつひとつが、相手ファーストになっていて、自分の提案が通らなかった時にもすっと相手を受け入れて尊重してあげる、そんな津野くんです。

津野の隣に座り、靴ひもを結び直す津野の背中にそっと身を預けるように寄りかかる水季。
この時、引きのカットで二人の向こう側に噴水があるのですが、そこに虹がうっすら架かっているんですよね。
どこか幻想的で、夢みたいな、一瞬だけ通じ合った二人の恋とその儚さを表しているようで、とても美しくて切ない絵でした。

「疲れた?」と聞く津野。無言で頷く水季。
「あ、ごめん、サンダル疲れるよね」と言う津野くん。
シンプルな思いやりもありつつ、水季が寄りかかってきたことで一瞬濃くなりそうになった想いをごまかすかのような言葉だったように思います。
それに対して、「歩くのわかって履いたんで」と、またまたナチュラル告白をする水季ちゃん。
「見て」とペディキュアを見せる水季に、「かわいい」と笑う津野。
「かわいいですか?生まれて初めて言われました。」と水季。
前回の本編で、夏くんが水季に対して「かわいい」じゃなく「面白い」と言っていたシーンが浮かびます。
「綺麗」とかじゃなくて、「かわいい」って言ってあげる津野くん、いいなあ。

「爪に色塗ったの大学生ぶりで。子どもいると、自分に色がなくなってきます。部屋とか子どものものでどんどんカラフルになっていくのに、通帳とか見ちゃうと、人生お先真っ暗、みたいな。頭の中真っ白、みたいな。」と水季。
きっと、後悔とかじゃなくて。
でも、目の前には現実があって。
一人の母親として、女性として、人間として、揺れ動いたり募ったりする感情を抱える水季の本音が吐露されたようなシーンでした。

はっと我に返り「また子どもとお金の話してますね」と反省する水季に、「色塗る機会になったなら良かったよ」と津野。優しさ。バファリン?

もう一度津野の背中に寄りかかる水季。
「ひも結べました?」「まだ」「早く」

ちょっとだけ、もうちょっとだけ寄り添っていたい。
そんな二人のほんの一瞬の儚い姿が、やっぱりさっきの虹に繋がるイメージです。
綺麗で、特別で、儚くて、名残惜しくて、掴めそうで、掴めない、ふっと消えちゃう。そんな恋。

「遊びにとかじゃなくてもいいよ。海ちゃんがいない間にやりたいことあったら手伝うし。」と言う津野に、「じゃあ、帰ります。」と水季。

「部屋の片づけしたくて。洗濯物溜まってるしおかずの作り置きしたいし。あの狭い部屋なので海がいるとどうにも。手伝ってくれますか?」
そういう水季に頷いて、「うん。帰ろ。」と津野。
二人が歩き出す時はもう、そこに虹は架かっていませんでした。


夏くんと津野くん

今後本編で明かされるのを待ちますが、やっぱり、どうして水季は夏と一緒にいられなかったのかな、一緒にいない選択をしたのかなと、その疑問に対して答えはまだ見えなくて。
それでも今回の特別編で津野くんとの関係がより深く描かれたことによって、まだ全然答えはわからないけれど、なんとなく、夏くんと津野くん、それぞれの前での水季の姿の違いというのは見えてきたような気がします。

母親になってから出会った人だから、というのももちろんあると思うけれど、水季って結構津野くんには、自分の弱さとか本音を吐き出しますよね。
それに対して、夏くんといる時の水季って、あんまりそういう本音の根っこみたいな部分って、見せていなかった気がします。
でもまあやっぱ、大学生の恋愛と、一児の母になってからの立場じゃ、違うか。
今の水季だから津野くんの前でこういう風にいられる、っていうのも、あるか。

夏と過ごしていた時の水季って、自由で奔放でマイペースで自分を強く持っている人のようなイメージ。
それは、学生で若かったというのもきっとあるし、母親になった水季の変化、そのギャップをより色濃く見せるための描き方であったとも思うのですが、水季の性格やあり方って、年を重ね母親になったことで変わったというよりも、もしかしたらこの、今の水季、津野くんの前での水季が、いちばん本当の水季の姿なのかもしれないなと思ったりしました。

水季、強いし自分を持っているのは確かだけれど、強さをもって踏み出せるまでに、自分はこうだと決意するまでに、結構繊細にいろんなことを気にするし、迷うし、それを一人で抱えるタイプの子で。
だからきっと、夏の子を妊娠したとわかってから堕ろすことを決めた時も、産むことを決めた時も、夏との別れを決めた時も、夏とのコミュニケーションの上で見える水季は、全部自分で勝手に決めてすごい勢いで先に歩いて行ってしまう人、夏を置いて行ってしまった人、という感じに見えたけれど、その裏側にあった水季の想いや迷いって全然描かれていなくて。
もちろんそこはこれから本編で描かれるとは思うのですが、その時のその水季の裏側って、きっと水季は誰にも話していなくて、一人で抱えて背負っていたんですよね。
夏くんや私たち視聴者は手紙だったり回想シーンとかを通じてきっとこれから知ることが出来ると思うけれど、本人は誰にも零していない。
そういう、零せないものを、津野くんの前では結構零している気がします、水季。

津野くんとのデート(仮)の1日を見ていても、水季って「あれ食べたい」「ここ行きたい」って全然自分で決めてないですよね。
今までのイメージだと、いかにもそうやって自分で選んで自分で決めて行きそうなのに。
津野くんは、「南雲さんの好きでいいよ」が基本スタンスであり、水季が自分で決めることにこだわることもよく理解しているから何も押し付けないけれど、水族館行く?やめよう、プラネタリム行こう、って、結構水季に選択肢を提示してあげている。
津野くんが提示してくれた選択肢に、水季は乗っかってる。

海が水族館に行くことを知って、ちょっと芽生えたモヤモヤを愚痴れたり。やりたいことを聞かれて、帰って家事がしたいと言えたり。
そういう本音を、水季は津野くんには零せる。
こういうのを、夏だったり、実の両親だったり、周りの人に対して水季って、今まで出来ない子だったんじゃないかなという気がします。

水季といた時の夏くんのスタンスも、基本は「水季の好きでいいよ」で津野くんと同じだし、水季のマイペースさとか頑固さとかを夏くんもよく理解して合わせていたけれど、夏くんってもしかしたら、「水季はこういう人」っていう、自分の中での水季像があって、そしてその水季像は、水季が強がりで気にしいだから自分の本当の姿を見せなくて、きっとすごく強くて自由で奔放な水季で、夏くんはそんな水季に合わせることは出来たけれど、その裏側にこっそり隠れて怯えている水季に寄り添うことは出来なかったのかもしれません。
水季が亡くなってから、そういうことをもしかしたら夏くんも感じて、自分は頼りなかったのかなとか自分を責めているとしたら、夏くんも切ない。

やっぱり出会ったタイミングとか年齢とか前提条件も違うので、どちらが良い悪いという比較は出来るものではありませんが、津野くんと夏くん、それぞれの前での水季が別の人みたいだなと感じる時がところどころあって。
この辺りのことが、水季が夏を選べなかった理由に繋がるのかもしれないなと、ぼんやりと思いました。


一緒にいようよ

水季のアパートに二人で帰り、協力して家事をする二人。
炊飯器に余ったお米を、明日早く起きれないからおにぎりにして冷凍しようと、津野の手に塩を振る水季。
振りかけた塩が多すぎて払ってあげる水季、この時だけ、なんだろうな、二人の手が触れたの。
並んで具無しの塩むすびを握る二人。
今気付いたけれど、水季、手にも水色のマニキュアを塗っていました。
楽しみに準備したんだろうな。今日のために。

水季が握るのは、いつも2個食べたがる海用の小さなおにぎり。
会話をしながらつまみ食いする津野。真似してつまみ食いする水季。
ちょっとしょっぱいかもと言い、自分の食べかけのおにぎりを差し出す津野と、それをかじる水季。しょっぱいと笑う二人。
このシーン、二人がつかの間の無邪気さを見せてくれてめちゃくちゃ可愛かったです。
おにぎりを素手で握って同じおにぎりをかじるって、めちゃめちゃ距離縮まってる証拠ですよね。

たまにはパンにして明日ギリギリまで寝てなよと、近所のパン屋にパンを買いに行こうと提案する津野。
それに対して、メロンパンが1個350円するんですと躊躇う水季。
高くて買えずに海と店を出たことを笑い話として話す水季、少し曇った津野の表情を見て、また子どもとお金の話をしてしまったと気付く水季。
やっぱり、いつもほんの一瞬ちょっとだけ二人だけの空気になっても、その後すぐに、現実が打ち消していくような感じ。
それが、二人の現実であり、二人の距離。

ここで、津野くんが、自分の想いをはっきりと言葉にします。

-津野晴明「俺もまあ同じ職場だし想像つくと思うけど、そんな稼いでるわけじゃないけど、でも、お金使うの本くらいだし。あの給料のわりには貯金ある方だよ、多分。家賃とか光熱費とか三人なら三等分だし。まあ海ちゃん払わないけど。いや、俺が全部払うけど実際は。」
-南雲水季「津野さんのこと好きです。」
-津野晴明「うん。」
-南雲水季「一回…結構何回か、考えました、そういうのどうかなって。」
-津野晴明「うん。」
-南雲水季「でもそれ、私がそうしたいんじゃなくて、いやそうしたいんだけど、それ以上に海がどうかってことで。」
-津野晴明「うん。」
-南雲水季「海のお父さんとしてずっと考えてたんです。」
-津野晴明「うん。いいよ。」
-南雲水季「よくないです。」
-津野晴明「いいよ。」
-南雲水季「だめです。」
-津野晴明「お父さんとしてどっかだめなの?」
-南雲水季「ううん。いいです。」
-津野晴明「じゃあいいじゃん。」
-南雲水季「だめです。」
-津野晴明「なんで?好きとか言っといて。」
-南雲水季「それはほんとに。」
-津野晴明「人としてってやつでしょ?よく言われる。」
-南雲水季「もっと…もうちょっとなんかある好きです。」
-津野晴明「もうちょっとなんか…何?」
-南雲水季「手とか握れます。」
-津野晴明「そっか。」
-南雲水季「はい。」
-津野晴明「…じゃあ一緒にいようよ。」

「恋のおしまい」より

一緒にいようよ(涙)

思えば今まで水季は好きとか言っていたけれど、津野くんはちゃんと言葉にはしてこなかったですね。
自分がはっきりと告白するなら、それは、お付き合いしようとかではなく、生活を支えるその覚悟まで出来た時。
そんな風に思っていたのでしょうか。

本編では夏に対して、南雲さんと付き合ってたとかないですと話していたし、自分は他人なんでという部外者スタンスを貫いていた津野くん。
確かに付き合ってないし、ただの同僚。結果は、事実は、そう。
でも、これだけの二人の関係性があって、想いがあって、津野くんがこの後どんな思いで同僚として水季や海を支えて、そして病と闘う水季を支えて、そんな人を亡くして、南雲家から線を引かれて、突然現れた何も知らない実の父親が現れて…。
想像するだけで、苦しい。
こんなに苦しいのに、「そばにいただけの他人」にされてしまった津野くんの、水季が亡くなった後の本編でのこれまでの言葉や行動のひとつひとつ、振り返るとその重みが増して、本当に苦しいです。
水季がこんな想いで恋愛を断ち切って母親をしていたのに、何も知らない夏には水季と別のタイプみたいな彼女もいて、そんな夏に苛立ってしまった津野くんの気持ちも、今ならわかる。
津野くんは、自分の感情だけじゃなく、水季のことも想っていたからこそ、あんなに苛立ったんだね。

水季も、本編で津野くんの好意を利用している自分を気にするシーンがありました。
あれがこの日の二人の以前なのか以降なのかわからないけれど、海ちゃんが小学生になっていたので以降な気がしますね。
だとしたら、この出来事があって、好意を向けてくれていたことはわかっていて、自分の中に好意があったことも認めていて、その上で力になってくれる津野くんと、それを頼る水季。
ただ「相手の想いを知っているのに気付かないふりをして利用している」なんていう浅いものではない、水季の気持ちも想像すると苦しいです。
それに対して「見返り求めてないでしょ」と言った三島さんて、あらためてすごいな。
二人のあれこれがあった上で、もう下心なしで献身する津野をわかっていたから、そう言ったんですもんね。
ああ深い。何重にも奥行きが増します。


恋のおしまい

「ごめんなさい!」と、笑いながら津野の申し出を断り、洗濯物を畳み始める水季。

-津野晴明「ふざけてごまかさないで。」
-南雲水季「海がいるから。絶対忘れらんないです。」
-津野晴明「誰を?」
-南雲水季「よく言う"女の恋は上書き保存"ってやつ、あれ大嘘ですよ。別ファイルだし、海と共有してるし。」
-津野晴明「いいよ別に。」
-南雲水季「好きだなって思う度、思った直後に毎回そっちも思い出しちゃうの。嫌でしょ、そんなの。」
-津野晴明「嫌だけど、いいよ。」
-南雲水季「いいよいいようるさいな。」
-津野晴明「いいから。本当に。」
-南雲水季「津野さんのためを思ってとかじゃないんです。相手のためを思うなら付き合いますよ、両想いなんだから。津野さんとか、海とか、あと、その父親とかに申し訳ないとか、そんなことちょこっとしか思ってないです。自分が嫌なんです。今になって恋愛してるのも、それでいちいち前の事思い出しちゃうのも嫌なんです。」
-津野晴明「そんな…南雲さんが勝手に嫌なだけで俺が気にしないならいいでしょ。」
-南雲水季「今はまだいいんです。これからですよ。今はぎりぎり大丈夫だけど…。」
-津野晴明「何?」
-南雲水季「二人きりになりたいなあ。子どもジャマだなあ。この子じゃなくてこの人の子どもが欲しいなあって思うようになっちゃうの、怖いんですよ。海がずっと一番って決めて産んだから。半分は無意識だったけど、半分はわざとです、海の話ばっかりするの。忘れちゃうの怖いから。二人でいるの楽しいってなりすぎるの、怖いから。…ごめんなさい。」
-津野晴明「うん。いいよ。」
-南雲水季「いいよって言うしかないですよね。」
-津野晴明「お迎え行こっか。海ちゃん。」
-南雲水季「はい。」

「恋のおしまい」より

恋の、おしまい。
とても静かで、さびしくて、切実な、おしまい。
涙涙涙。

「女の恋は上書き保存」なんて確かに嘘ですよね。
というか、水季だって、夏に自分から別れを告げたとはいえ、嫌いになって別れたわけじゃなくて。
夏くんのことが好きで、夏くんの子どもだから、夏くんに似るなら、産みたいって思った。
水季にとって夏は、それほどの相手です。

海を産んでからも、海の中に夏に似ているところを見つけたりして、夏の存在を感じていただろうし、今も「好き」なんだよね。
だからといって、ヨリを戻したいとかそういうことはきっともう、一人で産み育てると決意した以上は水季の中にはなくて、でも、海がいるってことは、夏がいるってことだから。

例えば、もっと時間的にも金銭的にも精神的にも育児的にも余裕があって、遊びみたいに適当に恋愛を楽しめるんだったら、また別だったかもしれないけれど、水季も津野くんも、そうじゃないですもんね。
楽しいだけの恋愛なんてしてる場合でもするつもりもなくて、もし誰かと一緒にいることを選ぶなら、その人は、自分にとってのパートナーっていうだけでなく、海の父親になるってことで。
津野くんがそれでもいいよって全部包んで受け入れてくれそうなことも、きっと水季はわかっていて、わかっていたから、だから両手を広げてそこに飛び込むことも出来なかったのかもしれません。
何事も自分で決めるということにこだわるのと同じくらい、人に迷惑をかけたくないっていうのも、水季が強く持っている思いですもんね。

もう水季の人生は、海のためのもの。
そう決めているからこそ、なんとか踏ん張ってシングルマザーをやれている水季。
自分の感情任せで津野くんを巻き込むことなんてきっと出来なかったし、やっぱりどうしたって別ファイルで夏がいて、海の父親は夏だから、津野くんを選ぶことは出来なかったのかもしれません。
あの時ベンチで津野くんの背中に寄りかかるのが、精一杯だったのかな。
夏を手放して海を選んで母となり産み育ててきた、それは自分が決めたことだから、一度堕ろそうとしたことも含めて、自分で自分が決めたことの責任を負うために、そうまでして選んだ娘を幸せにするために、自分の恋心なんて選べなかった。
自分が幸せにするのは、海。
海がいちばん。
だから、あれもこれも全部なんて、出来なかった。
夏と別れたのも、そういうことだったのかな。
ひとつしか選べなかった。ひとつしか選んじゃいけなかった。そう思っていた。そうしか出来なかった。
そうなの?水季。

「二人きりになりたいなあ。子どもジャマだなあ。この子じゃなくてこの人の子どもが欲しいなあって思うようになっちゃうの、怖いんですよ。海がずっと一番って決めて産んだから。」

この言葉は、本編でまさに今弥生さんが置かれている状況にも通じる感覚な気がします。
海ちゃんの母親になることも本気で考えてみたけれど、月岡くんと二人きりの時間がほしいな、月岡くんとの子どもが欲しいなって、自分も思ってしまうのではないか。または、既に思ってしまっているのではないか。
いつか、海ちゃんがジャマだと思ってしまうのではないか。
弥生さんの揺らぐ気持ちの中にも、この時の水季のような感覚がありそうで。
既に母である水季と、母になろうとしている弥生。
立場も境遇も違うけれど、どこか通じる二人の感覚です。

自分の子を抱えて誰かと恋愛をする、そういう意味では、今現在の夏の気持ちに重なる部分もあるのかもしれませんね。
海の父親になると決めた夏。
弥生のことは好きだけれど、弥生といることを自分が自分の感情を優先して選んでしまうことなんて、出来ない。
それに、海がいるってことは、水季もいるってことで。
弥生より水季が好きとかそんな話ではなくて、でも水季がいるってことは事実で、弥生がそれでもいいよって言ってくれたとしても、気にするよね。

津野くんと弥生さんも、これだけの想いで一度は家族になろうと、海の父親になろうと覚悟した津野くんだからこそ、今外野として海の母親になることを選ぼうと迷う弥生さんの気持ちや立場が分かる部分もあるのかもしれません。

なんか全部、全員、つながっていきますね。
みんな苦しくて、でも誰も悪くなくて、みんな誰かを想っているのに、全員しんどい。

浮かれてキュンキュンして悶えて口角を上げまくって般若にまでなって楽しんでいた前半の私よ、今どこに。
もう今しんどすぎて無表情ですよ。
やっぱり、苦しい。しんどい。
そんな、恋のおしまい。

坂道

海を迎えに行った実家からの帰り道、実家から坂を下りたところで津野くんと合流したあたり、津野くんはまだ朱音さんと直接会ったことはない様子ですね。
そりゃそうですよね。
もしさきほどのやりとりで家族になろうよという結論が出ていたら、顔くらい出したかもしれませんが、もうこの距離感、手を繋ぐ水季と海の二人と、一人の津野くん。
二人と一人。
夕暮れの坂道の暗さもあいまって、本編の前回の弥生さんが重なります。

会話が途絶え、ふと右手を水季の方に差し出す津野。
津野くん、最後にもう一度だけ、賭けるような思いだったのかな。
それに気づいた水季は、じっと津野を見つめ、少し考えて、海を真ん中に移動させて、二人で海を挟んで手を繋ぎます。
ここでもまた、聞こえましたね、恋がそっと終わる音。

今度どこに行こうかと話すと、海は、ママとまだ行っていないから水族館がいい、イルカ見るの我慢したと言います。
「初めてはママと見たいもんね」と津野。
涙ぐむ水季。

朱音とかみ合わなくて、自分の想いは叶わなかったと思っていた水季。
自分は母親だからと、恋愛に自制した水季。
そういう水季の想い全部、ちゃんと海ちゃんには届いていて、海ちゃんはママとイルカを見るために、今日は我慢した。
「イルカ見に行こう」と朱音さんに言われて、「ママと見るから」とか言って我慢したのだとしたら、そんな海ちゃんを想像するだけで泣けるし、「そうだね」と受け入れたであろう朱音さんの気持ちも泣ける。

水季が水季なりに、たくさんのことを手放して、諦めて、自制して、踏ん張って、一人で孤独に戦ってきたこと。
それがちゃんと、水季が一番に考えている人、ただ一人幸せにしたい人である海ちゃんに、ちゃんと伝わってる。
切なくて苦しいけれど、でもどこかじんとするような場面でした。

手を繋いだ3人が下っていく坂。
もう辺りは暗くなって、坂を下っていく3人の先には、ぼんやりと、でも確かに、街灯が灯っていました。
見通しが良くて明るく晴れ渡った未来ではないけれど、真っ暗だけど、小さな光が灯ってる。3人で手を繋いで、歩いて行く。
水季と津野の未来のような絵ですよね。
水季の実家前の坂道は、夏や弥生、いろんな人が歩く度に、その時々のその人たちやその先の未来を暗示させるような絵になっていますよね。


何かあった?

図書館で勤務中の津野。
ふと目線をやった先には、受付の水季。
そんな様子を見て「何かあった?」と聞いてくる三島に、「結構粘ったんですけど…」と津野。
いや頑張ったよね晴明(突然下の名前で呼ぶ)。

おにぎり握りながら言ったこと、そして坂道下りながら最後に差し出した手。
津野くんの男気。そして玉砕。そんな相手は同じ職場。
よくよく考えたらあらためて津野くんのダメージが大きすぎる(笑)
津野くん、私と乾杯しようぜ、金麦で。

「柄にもなく」と三島さんが言ったように、津野くんって少なくとも最近は恋したり、こんなに人を好きになったり、押したりって、する人じゃなかったんだろうな。
「間に誰か入らないと繋がれない、だと恋愛にはならない」
水季と一緒に並べるのは、間に海がいるから。
これもまさに、本編の弥生さんのナウと重なりますね。
ナウとか突然言ってすみません。
どうしても少しでも明るい気持ちで感想を終えたくて(笑)

一方水季も、少ししてからちらっと津野の様子を見ます。
そこにやってきた名アシスト三島さん、あえて水季にも「なんかあった?」と聞くんです。
わかってるのに!ありがとう三島さん!

間に誰か入らないと繋がれない。
そんな二人を、それとなくアシストしたりつないでくれた三島さんがずっとそばにいてくれたのも、二人にとってはとても大切な存在ですよね。

「なんもないです。なさすぎました。おにぎり握ったくらいで。」
「なんそれ。手握れよ。なんか始まるかと思っちゃった。」
首を横に振る水季。笑って去って行く三島さん。
はじまる前に、はじめる前に、おしまい。恋のおしまい。くう。

トキメキおにぎり

大学時代の回想シーン。
食堂かな?ヘッドフォンをして机に突っ伏している水季と、それを見つけてにやにやしながら近づいてくる夏。
いたずらに笑って、「水季」とヘッドフォンをツンツンして起こす夏。

課題でしょうか。夏が「終わった?」と聞くと、PCを開く水季。
PCを見て「始めてもないじゃん」と笑う夏。
この会話、さきほどまでの水季と津野の恋と重なって、泣けます。

水季が「夏くんは?」と聞くと、「終わった」と答える夏。
これはさあ、もう、水季のその後をまったく知らなかった夏が、水季との別れを引きずってしばらく過ごした後に、水季との恋を終わらせて弥生との恋を始めたことと重なるようで。
またしても泣けます。
夏くんはおしまいにして次に進んだ水季との恋、水季はずっと、奥の方でずっと、持ってたんだよね。
「恋のおしまい」。
水季と津野の恋のおしまい。
水季と夏の恋のおしまい。
くう。

こんなに可愛らしいキュンキュンシーンなのに。
初々しい大学生の恋愛なのに。
目黒さん瞳がきゅるきゅるしててめちゃめちゃ可愛いのに(私情)。
単純に胸キュントキメキだけでは終わらせてくれないのが「海のはじまり」。
わかってます。大好きです。ありがとうございます。

水季のヘッドフォンを外して「何聞いてんの?」という夏。
「夏くんに言ってもわかんないからな」と水季、とりあえずごはんと言ってバッグからコンビニおにぎりを取り出します。
「具、何?」と聞く夏に、「夏くんに言ってもわかんないからな」と水季。
「当ててみ」と、おにぎりを夏に差し出す水季。
差し出されたおにぎりに、ぱくりとかぶりつくも、具に届かず「届かなかった」と言う夏。
同じおにぎりを続けてかじり、具に辿り着いたものの、何の具かは教えない水季。笑い合う二人。

もう(涙)
胸キュントキメキ恋愛描写の狭間にさっきまでの津野くんと水季がサブリミナル効果のようにちらついてしまいます。
どうにかしてくれ!!(大好きです。ありがとうございます)(サブリミナル津野、怖すぎ)

この時はきっと好きな具材入りのコンビニおにぎりを躊躇いなく買っていたであろう水季が、今や節約して塩むすびを握る。
そんな水季が、津野くんと一緒におにぎりを握って津野くんのおにぎりにかじりついた時に、きっと夏とのこのシーンを思い出したであろうこと。
津野くんの靴ひもがほどけた時に、きっとあの日の夏とのやりとりを思い出したであろうこと。
ひとつひとつ思い出して、ひとつひとつ打ち消して、揺れて、おしまいにして。
水季の想い、泣ける。

「夏くんに言ってもわからない」とか「届かない」とか、夏と水季が別れてしまうまでのすれ違いや、想い合うがゆえに明かせず飲み込んだことにより開いてしまった二人の距離、好き同士で恋人だったけれど親として命を背負っていく二人にはなれなかった理由の本質、みたいなものも感じさせますね。

はあ。
とりあえず私もヘッドフォンして机に突っ伏すので、夏くん、起こしにきてくれますか?
おにぎりあげるよ?(怖)


本当のおしまい

さきほどの大学シーンの直後、図書館の休憩室で寝ていて目覚める水季のシーンに移ります。
今私たちが見せ(つけ)られていた夏とのトキメキおにぎりの記憶は、水季が夢に見て思い出していたシーンということでしょうか。
トキメキおにぎり。
テクマクマヤコン。
すみません、語感につられて思い出しただけです。

その様子を見ていた津野、水季がイヤフォンをしていたので「何聴いてるの?」と聞くと、「SUPERCAR」と答え、元カレの影響とかじゃないですよと笑う水季。
何を聞いているのか、夏に対しては教えないでからかったけど、津野くんには素直に答える水季。
あの時も、この時も、聞いていたのは同じ曲かもしれません。
私は失礼ながらSUPERCAR「Lucky」に詳しくないのですが、歌詞に何か通じるものがありますね。

-南雲水季「別に趣味が同じとかそういうのじゃなかったんで。むしろ私が教えてあげてたし。」
-津野晴明「今でも好きなの?」
-南雲水季「はい。解散してるんでライブとかは行ったことないですけど。」
-津野晴明「ううん。それ教えてあげた人。」
-南雲水季「ああ。そういうのじゃないですね。」
-津野晴明「手繋げないやつ?」
-南雲水季「うーん。手、届かない、って感じです。」
-津野晴明「なるほどね。」

「恋のおしまい」より

この会話も。つくづくうますぎる脚本です。

夏のこと、「手が届かない」と表現した水季。
海を連れて夏のアパートへ行って弥生を目撃してしまうのは、時系列的にこれよりも後だと思うので、弥生がいるからもう届かない、ということではないですよね。
並んで手を繋いでいたつもりだったけれど、自分から手を放してしまったから、もう、届かない人?
自分から遠ざけてしまったから?
どことなくふわんとしていて掴みどころがない夏くんだったから?
夏に対する感情は、現在進行形での恋愛感情ではない、届かないけれど、特別なものだから?
解釈の余地が色々ありそう。また本編に繋がっていくかもしれませんね。
「手が届かない」、津野にとっての水季のようでもあり、ちょっと切ないです。

休憩室のテレビでは、東京オリンピックについてのニュースが流れます。
「次のオリンピック、海小学生だ」と笑った水季。
その夏を、今年のオリンピックを、水季は迎えることが出来ずに亡くなったと思うと、苦しいです。
時系列がリアル。
本当に、この世界のどこかにいるみたい。

「大きくなったら津野さんにお世話になることだんだん減ってくると思う」という水季に、「まだ当分手かかるだろうし。海ちゃんのことなら、頼ってよ。他に頼れる相手出来たら、それはそれで。俺はもういいし。」と津野。
津野はここで、確かに、恋を終わらせた。その意思表示をした。
ここから、そばにいる他人として水季と海を支えていくことを選んだ津野くんです。

他に相手が出来たらそれはそれで、という津野に対して、水季が言ったこと。

「この人でさえ私やめといたんですよ。こんな、相手にもお父さんにもいい人。もうおしまいです。もう、そういう恋愛とか、楽しいことはもういい。十分楽しかったし。うん。余っちゃうくらい、十分。余った分だけで余生生きれます。」

「どっちの話してる?」と津野くんに聞かれて、「どっちもです」と答えた水季。
津野くんとの恋も、夏くんとの恋も、ここであらためて、終わらせた水季。
もう自分は恋愛はしない。海を一番に、海の母親として生きていく。
その決意を言葉にした水季はちょっぴり切なそうで、でも強さもあって、余ったごはんを冷凍庫にしまうように、ふたつの恋をおしまいにして、胸の奥の奥の奥の方のフォルダにしまった水季でした。
新しい恋ははじめないということ、2つのフォルダはもう更新しないということ、自分の意思で、また決めたんだね。


それぞれの日々

その後、いつも通り子ども向けに絵本を読み聞かせる津野。

「パジャマを通してちくちくちくちく庭の芝生がお腹を刺します。その気持ちのいいこと気持ちのいいこと。思わずうっとりしてしまいます。そしてルラルさん自慢の芝生の庭は、みんなで寝そべる場所になりました。」

これ、津野くんが読み上げていた物語のおしまいの文言ですが、まるで津野くんみたいですね。
水季や海を受け止めて、手を差し伸べて、休ませてあげて、心地よくさせてあげて、いつしかみんながそうやって、安心して寝そべる場所。
それが津野くん。
きっと夏や弥生にとっても、そんな存在になるのではないでしょうか。

一方、水季は海を寝かしつけながら読み聞かせ。
その絵本のおしまいの言葉は、「私はいつも見てますよ。おしまい。」。
亡くなっても海や津野を見守っているという水季の想いに通じるようで、津野も水季も恋をおしまいにする合図かのように絵本を閉じて物語を閉じる、ちょっと切ない描写です。

場面切り替わって、一人アパートにいる夏。
弥生さんと付き合う直前の頃の回想シーンのようです。
弥生さんとのLINEのやりとりを見返している夏。
二人の出会いは仕事ですが、LINEからするとどうやら二人は一緒にごはんをしたようで、また行きましょうと、次の約束をしたい夏くんが弥生にアタックしている様子です。
こちらの二人は、恋のはじまり、ですね。

意を決した様子で、弥生さんに電話をかける夏。
緊張した様子の夏、「百瀬さん、今何してますか?」と聞くと、ペディキュア塗ってるって言われたんでしょうね。
「ペディキュアってなんですか…?」の夏くん、編み込みに動揺していた夏くんと重なります(笑)
今ペディキュア塗ってたって言う弥生さんも、なんか弥生さんらしくてかわいい。

水季にとってのペディキュアは特別なものでしたが、弥生さんは美容院で髪の毛もよくケアしているように、日頃から身だしなみやセルフケアとして塗っていそうですよね、ペディキュア。
化粧品の企画開発的なお仕事をしているのもあって、美容や美しく整えることに対する感度も高そうだし、ちゃんとそういうの気を遣ってやってるんだろうな。
弥生さんが悪いわけではまったくないです。
でも、シングルマザーの水季との対比にもなっています。

足の爪ね、と理解して笑う夏くん。
俺は音楽聴いてたけどと言いつつ、「言ってもわかんないかもしれないんで」と詳細は言わない夏くん。
SUPERCAR聴いてたの?教えて夏くん。

今週末とかどうですか、百瀬さんに合わせますと、ごはんに誘う夏。
弥生の返事を聞いて、笑顔になる夏。
年下彼氏、可愛いな。般若から再び口角が上がりました。

一方、その頃の水季は、綺麗に塗ったペディキュアをオフ。
マニキュアを手に取り、「余り過ぎた」と呟きます。

きっと何色も持っているマニキュアを日常的に使っている弥生さんと、思い切って買ったたったひとつのマニキュアもおそらく1度しか使わないことになったであろう水季。
水季の恋のおしまいと、夏の恋のはじまり。

別日、いつも通り朝の出勤途中、コンビニに寄った津野は、みかんヨーグルトを見つけます。
一回手に取るものの、少しだけ考えて、そっと棚に戻し、カップ麺とおにぎりを持ってレジへ。
一方水季、お弁当の用意をしながらおにぎりを握る朝、余ったごはんを見て、少しだけ考えて、おにぎりにせず、簡単にラップで包んで冷凍庫へ。
恋をおしまいにして、"いつもの"日常に戻っていった二人です。

誰も悪くなくて、みんなそれぞれ自分の人生を生きているだけ。
それでいいし、そうやって日々は続いていく。
それだけのこと。なのに、ちょっと切ない。
そんな描写で終わった、特別編、「恋のおしまい」でした。




以上!
特別編とはいえ通常運転で今回も長文になりました。

いつも以上に恋愛で、いつも以上に胸キュンで、いつも以上にドラマチックだった気がします。
この特別編を踏まえて本編を観返すことで、見えてくるものも多そう。
来週は第9話、弥生と夏の関係に変化がありそうですね。
この作品に関わるすべての人が、健康でありますように。

また来週です!ありがとうございました。

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