anti-Hagibis|被災地で掃除のお手伝いをしてきた、その3
今日もしかしてもう春ですか? というくらい、夕方からとめどなく鼻水が出るんですけど……くしゃみも出る。でも目は痒くないから……何これ?
うーん、まあいいか。
そろそろ、まとめ
ここは宿の帳場。真ん中の枠はたぶん囲炉裏…?
畳は全部はぐられて、この白い粉は石灰です(右の紙袋も)。ガレージやピロティみたいにコンクリ基礎の場所なら消毒液で済むけど、こういう木の縁の下で地面は土だと、そういうわけにもいかない。
かと言って、洪水で運ばれてきた雑菌をそのままにもしておけないということで、こうして石灰を撒いて発熱させ、殺菌するんだそうです。
台風のあの週末、12日(土)のうちに近所の方が来て、畳や家財を「手伝うから、運べるだけ運ぼう」と2階に上げる作業を手伝ってくれたのだそうです。人付き合いって、コミュニティって、本当に大事。
それでも何もかもを運べるわけはなく、あのお椀や、写真には撮らなかったけど大量のたとう紙(中身が入っている厚みの……涙)が詰まったゴミ袋を見送った。
『足りないのは物ではなく愛と想像力なんじゃないか』
これは私とは別に、別の日、別の場所へ手伝いに行っていた友人の言葉。
今日は水没してエンジンのかからない車を2人で10台以上手押しでレッカーに積みやすいように片してきました。
両腕とふくらはぎがピンピンです。
最近リーチマイケルに似てると言われる機会が多いのはこの為だったんじゃないかと思います。
リーチマイケルが車を押してると思った人もいると思います。そんな私は1試合も観ていませんが🏉
ガッツリ食らった被災者達もテレビなんか観てる暇なんかなく、当然スポーツから勇気をもらえる訳ないと思うのです、だからスポーツで勇気をもらった皆さんが被災者の皆さんを助けるべきなんじゃないでしょうか。
『足りないのは物ではなく愛と想像力なんじゃないか』とどこにいても胸が詰まる思いでした。
10/21(月)の投稿です。本当にそう思う、マジ同意(あと実は私も、リーチマイケルがTVに映るたび同じこと思ってた、そこも同意 笑)。
私がお手伝いした旅館のご主人が、昼休憩中にこぼしていた溜め息。
「俺に直接言ってきたわけじゃないんだけどさ。ボラセンから来てくれたなかのひとりが『なんでこんな旅館なんかを自分たちが手伝わなきゃいけないんだ』『商売やってるとこなんて後回しにして、今もっと優先すべき場所があるだろう』って。言ってるのが聞こえちゃったんだよね」
被災そのものに対しては一切「辛い、理不尽だ、なぜ自分が」というようなことを仰らなかったご主人が、このことだけは本当に残念そうにこぼしていた。「商売しててもしてなくても、みんな同じ被災者なんだけどな」とも。
確かに、飯山市は豊野町や長野市穂保と比べたら、被災の程度はずっと「まし」だと思う。
今回それでも私が飯山に向かったのは、20日(日)時点では社協経由の行き先が定められなかったことがひとつ、そして自分自身のボランティア経験の無さ・体力の無さから、いきなりハードな現場に入る勇気が無かったことがひとつ。そういう理由からではあったのだけれど
深刻な被害が起きているエリアには全国から衆目と支援が集まっている一方で、比較的(あくまで「比較的」)ダメージの浅かった所は救助の手がなかなか回らなかったりする、という想像をしてのことでもあった。
私がお手伝いしてきた旅館さんは、水害掃除をするには少しご年配のお母さんがいらっしゃる他は、ご夫婦ふたりだけで切り盛りされている旅館。それを……「商売屋なんか後に回せ」?
……商売屋にだって、生活はあるのに?
夫婦ふたりしかいなくて、一般住宅より大きな構えのこの建物を、ふたりだけで、ボランティアの手伝いなんかあてにせず、全部自分たちだけで片付けろと? これからどれだけ無収入の期間が続くか分からない今この状況で?
聞いてる私も心底不快で、ご主人の気持ちを思うとお椀や着物の時よりも辛かった。悲しかった。
それって「自分の満足のためのボランティア」だよね。
それを言った人物はどうやら、“ボランティア慣れ”してる風な人物だったそうな。
きっと彼(彼女か? 不明)は、たとえば福祉施設とか、病院とか、そういう場所の手伝いが優先だと言いたかったんだろう。それは想像がつく。
でも、社協は罹災者からの要請を受けて、ボランティア登録者を集めて配置を決めて、極力迅速に効果的にきめ細やかに復旧復興の促進をと考えて指揮を執っているいるはず。災害の混乱のなかではそううまくはいかないこともあるかもしれない、でも、少なくとも、そういう観点でもって事に当たっているはず。
社協(ボラセン)経由でのボランティアの活動場所と活動内容はその時次第だし、その時、配置される先は「今まさに助けを必要としている場所」には違いないんだよ。個人宅だろうと、商売屋だろうと、福祉施設だろうと。そこには、困ってる人がいるんだから。
そんなことも分からずに、想像せずに、
よりにもよって被災した当事者の耳に入る場所で
「なんでこんなとこに自分が来なきゃならない」
なんて。
書いてて涙が出てきた。馬鹿野郎。
夕方から止まらない鼻水が今も止まらないのに涙まで出たらもう鼻の両穴にティッシュを突っ込むしかないだろうが、馬鹿野郎が。
(あ、画像リンク切れ?)
(大丈夫です)
(よーくご覧ください。フェイク画像です)
(引っかかった人は罰ゲームです、両鼻にティッシュ詰めてください。これで私とお揃いだネ☆)
さて、そろそろ本当にまとめ。これにて一旦。
とにかく今は人手が必要です。
私は次、いつ、どこへ行けるか今の時点では見通しが立っていないけれども、だんだんと県外在住者でも申し込める先も見えてきたし、タイミングをみてまたお手伝いに行くつもりです。必要な装備も揃えたことだし!
自己満足野郎には雑菌だらけのヘドロ団子を投げつけてやりたい気分だけど、かく言う私だって打算がゼロというわけじゃなかった。
私の約40年の人生を振り返っても、10年刻みくらいで明らかに気候が変わっってきているとハッキリ分かる。こんなにも気候が変動しているなかで、いつ何が起きるか、誰にも予測はつかない。
私の暮らす上越は豪雪地帯で、春〜秋には雨が多くて、だけど不思議と台風被害だけはほとんど無い地域、だった。今までは。でも、明日からもそうだと誰が言える?
いつ何が起こるかわからない状況で、上越について言えば、台風への備えは最弱クラスなんじゃないかと思う。それこそ関東や東海地方に雪が降ったら即マヒするのと同じくらいの脆さで、台風にはきっと弱い。
水害によって、どういうことが起こるのか。どういう対応が必要になるのか。そのために、どんな備えが必要なのか。
すぐ真隣の長野で大規模水害が起きた今この時こそ、現場を見てよく学ぶべきだと、それが私の打算でした。
私は後学のため見聞させていただきながら、被災された皆さんにとっては、たった1人工だとしても、無いよりはきっとまし。何かの力になることはできるはず。「何ができるかわからないけど、できることは何でもしよう」、そういう気持ちと思考での初めての災害ボランティアでした。
あの旅館さんも、たった1日お手伝いしただけじゃまだ何も終わってない。今回つながったこのご縁をこれきりにせず、きっとまた顔を出そうと思ってます。
だけど直近次回のボランティアは、本当に深刻だという豊野か長野市……千曲川決壊エリアの辺りへ行くつもりで、検討中。まだ、いつ行けるかもはっきりはしてないけれど。
今回この『anti-Hagibis』をつらつらと書いたのは、私と同じように「災害ボランティアなんてしたことない」という人がきっと世の中にはまだいっぱいいるだろうと思ったからで(根拠:私)、人は誰しも、経験の無いことにはたたらを踏むものだと思ったから。
でも
何もボランティアに限った話じゃなく経験したことのない何かなんてまだこの世には山ほどあるし、全人類すべからく何かのバージンである
「やったことが無いからできない」なんてことは実はそう多くはないはずで、できないとしたらたぶんそれは「やる気が無いから」。何かの理由をつけて、無理ということにしてるから、だよね。
本当に無理なのって、後期高齢者の方とか、幼児とか、妊婦さんとか、今まさに入院中の病人・怪我人とか、そういう人々をケアしなきゃならない立場にいる人とかだけだと思うんですよね。
でも、災害は人の事情なんか知らん顔してある日突然やってくる。
その時に、あなたはきっと思うはず。
「誰か助けて」と。
今、絶望的な環境と気持ちのなかで助けを必要としてる人たちがいます。ねえ、動ける人は助けに行きませんか。
その行動はきっといつか、あなた自身を助けることになる。
『anti-Hagibis』おわり。
ここまで読んでくださりありがとうございました。そして、重ね重ね! 小菅さんに Special Thanx です、ありがとうございました!