【詩】「この日常」
朝目覚めて
口許を汚した血を拭う
もうたいしたことのない儀式
思い悩んでも時間は過ぎていく
一瞬一瞬が積み重なっていく
パンにバターを塗りながら
新聞のろくでもない記事に目をやる
TVは天気予報に価値を付け加えてる
振り返っても過去には戻れない
だから後悔が消えない
どれだけ誰かと言葉を交わしても
満ちることのない僕の中の月
どんなに欲しがっても焦がれても
もう手に入れることができない
スーツ姿の僕は
数字のジャングルを彷徨ってる
でも出口が分かってる単純な迷路
他人の生の原資を見ることに自分の時間を潰す
テンキーを叩く音が高くなる
この勢いでしか過ごせない僕がいる
強がっても絶望はなくなることがない
胸の中でずっと静かに蠢いている
いつから本当に諦めたのだろう
僕は自分を打ちのめし続けてきたよ
駅のプラットフォームから見ていたのは
もう届かない憧れの人たち
来ない「明日」の姿をじっと見つめた
明かりを消した部屋のベッドに横たわって
眠れない心で闇に囲まれた
そして痛みに包まれながら目を閉じた
この僕は一体どこまで行けるだろう
この日常を僕はどこまで過ごせるだろう
どれだけ誰かと笑顔を見せ合っても
もう満ちることのない僕の中の月
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