再掲【詩】「逢瀬」
「久しぶり」から始まった会話が
お互いの寂しい近況と
アルコールの量とがやっぱり化学反応
終電を半ば意図的に逃して
ふらつきながら密室へのドアをくぐる
今でも蠱惑的な体に触れて反応する僕に
キミも反応して
すんなり繋がるオペレーション
声と汗と音で快感を探り合う
でもマエみたいに夢中になれない
醒めた瞳を見せないようにしてる
それでも気づいてる
戻りたくても戻れないことに
キミも同じなのかな
つかんでいる腕が少し痛かったり
噛み締めてる唇に違和感を持ったり
快楽の浅瀬をうろついている感じ
キツくしてしまうのは
苛立ち?歯痒さ?
昇っていかない気持ちに
半ば焦りながら動かす体
「欲しい」だけで突き進んでいけた
それはもはや「今は昔」
確実に年を経たんだなと思いながら
もがくようにキミの中で果てにたどり着いた
でもマエみたいに笑い合えない
醒めた酔いの中軽くキスを交わす
笑顔は見せるけど
シャワーに行った背中を見送ってため息
キミも同じなんだろ
朝までの眠りの浅さだったり
服を身につける途中の仕草だったり
後悔を背負い込みかけてる感じ
それでも別れ際の改札で
「またね」と言ってしまう
すっきりしないその気だるさを
お互い感じながらも
振り切ることができないんだ
「スキ」だけでホントは満たされないのに
満たされてる気になってた「あの頃」を
今になっても引きずったままなんだ
あがくようにこの逢瀬を繰り返す
どちらからともなく
おもいだしたように
なにかがあふれては
すがるようにこの逢瀬を繰り返す
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