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【読書記録】『文学者とは何か』安部公房/三島由紀夫/大江健三郎

『文学者とは何か』
安部公房/三島由紀夫/大江健三郎 中央公論新社 2024年

タイトルの3人の文学者、そして阿部公彦先生の解説。「なんかすごいのかも」という自家製の変な熱に浮かされて買ってしまいました。しかし。
読むうちにふと、「なぜこれを読んでいるのか?」という疑問が冷めた頭をよぎる(ミーハーだから、というのは大前提)。わたしはとくに彼らの愛読者というわけでも、日本文学好きというわけでもないので、会話の内容についていくガッツが断然不足している。

思い起こせば、小説を多少は取り揃えていた実家の本棚には、彼らの本がいろいろ並んでいました(なかには初版本も)。幼いころから、読みはしないけれども作者名やタイトルが脳のどこかにインプットされていたのでしょう。今でも「読んどかなきゃ」という謎の義務感・焦燥感に駆り立てられて、文庫本を買い求めて読んだりしています。ともあれ、この門前の小僧的な「背表紙効果」に操られ、三巨匠のファンであるかのように錯覚して、わたしは本書を手に取ったに違いありません、きっと。

そんなわたしにも本書の凄さだけはわかります。
「大作家」たちの鼎談および対談は、おもねりや内輪ウケがまったくなくて、会話の書き起こしなのに言葉の精度というか純度が高く、この1冊まるごと宝石箱のような「作品」として完成しています。
個人的には、彼らの小説をもっと読み、言及されているほかの文学者についてもう少し親しみ、大正~昭和の文壇についてネタを仕込んでから、再度読んだらもっと深く楽しめるだろうと感じました。

鼎談と総当たり戦の対談は、それぞれ生み出す化学反応がみごとに違います。
才気煥発な若き日の大江、怜悧で理知的な安部。
そして、自分大好きで、サービス精神が旺盛な三島。持論を開陳するときの絢爛たる言葉のチョイスで、キラキラパワーをまき散らしています。

本書のトリを飾るのは、三島が自決して20年後の、安部と大江の対談。
そこにはいないのに、誰よりも鮮やかな存在感を発揮しているのはやはり三島なのでした。
やっぱり三島なのです! 100歳のお誕生日おめでとうございます!

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