ハーブティーのお話 その6 ゼロから1を作り出す。
オリジナルのハーブティーをブレンドしてくださいとの
ご依頼をいただきます。
カフェでメニューとしてお使いいただくケースや
販売するケース、ノベルティでお使いになるケースなど様々です。
書いたレシピは200本程度。
基本的にはご依頼を頂いて複数試作品を作り
1つ採用が多いので、お蔵入りになっているレシピのほうが
圧倒的に多いのです。
ご依頼を頂く場合
ご依頼主(クライアント)は実現したいハーブティーのイメージを
持ってこられます。
かなり抽象度が高いものから、逆にサンプルをお持ちになって
この味と香りを再現してくれとのご依頼もあります。
「フルーティーで飲みやすく、甘い感じで・・・」
とオーダーを受けた場合
「どんなフルーツをイメージされますか?」
「実際に味が甘いほうがいいですか?香りが甘い感じですか?」
「提供されるのは主に女性ですか?男性ですか?」
などお話させて頂いて具体的な味や香りへと落とし込みます。
また、
クライアント様の想い、オリジナルハーブティーを作る意図をお聞きして
その土地の特色、お店の雰囲気や歴史、今のトレンドなどを加味して
関連性をもたせていきます。
そのオリジナルハーブティーは、そこに有る必然性がないと
どこにでも有るブレンドと同じ事となり
わざわざオジリナルである意味合いがなくなってしまうのです。
とある温泉旅館のご依頼でオリジナルを作ったケース。
ティーバックを客室に置いて、
ご到着の際に召し上がって頂き
まずは、ハーブティーでほっと寛いで頂きたいとのご依頼でした。
遠方でしたので実際にそこへ足を運ぶことが出来なかったので
ホームページで旅館の雰囲気、お客様に対する想い
お料理などできるだけ多くの情報を集め
その温泉地の歴史、立地など間接的な部分の情報も集めます。
山深いところでジビエや川魚料理などがご自慢でしたので
そこにヨーロッパのハーブティーをお出ししても
その旅館を訪れたお客様からすると
とてもチグハグな印象を持たれてしまうと考えました。
では、どういったハーブティーならお客様がご当地らしさを
感じていただけるか?
また一方で、クライアント様の「お着きになったお客様に
ハーブティーでほっと寛いで頂きたい」との想いが
どんなハーブティーだったら実現できるのか?
それをずーっと、ずーっと考え続け、紡いでいくのです。
お客様の立場になって想像を膨らませ・・
部屋に入り、荷物を置き、景色を眺める
客室で何を感じるか? 何が寛ぎになるのか?
景色や匂い、茶碗の温度、畳の手触り・・・
道中の出来事を話をしながら、テーブルに置かれた
ハーブティーが目にとまり、お湯を注いで口にする。
その時の香りは・・・んー・・・・その時の香りは・・・・
・・・。・・・。・・・。
この「んーその時の香りは・・」を長い時は1ヶ月くらい
アタマの中に置いておきます。
すると、様々な情報や浮かんだアイディアなどが重なり合って
形に現れてきます。
ここまで見えてきたら、後はそのおぼろげな形をつかまえて再現できる
ハーブをチョイス→テイスティング→ブレンドをしていきます。
このご依頼で実際にブレンドした内容は
ハトムギ
クマ笹
甜茶
メドースイート
ヨモギ
クマ笹、ヨモギで山の恵みを感じ、
ハトムギと甜茶で香ばしさと甘み、
メドースイートでほんのり花の様な香りをだして、和風に仕上げました。
この0→1工程でいつも感じるのは、自分の限界です。
当たり前だけれど、自分が思いつかないことは作れない。
いつもの散歩で自然を感じ、人の想いをくみ取り、情報感度を高くし
総合的に表現する。
ハーブティーブレンドの難しさは実際のテクニックではなく
「カタチ以前」をいかに豊かに持っているか?だと思っています。